著名なインサイダーTom Hendersonが報告したところによると、コンソールメーカーはXboxとPlayStationの次世代機を当初予定の2027-2028年から遅延させるかどうかを議論している。
遅延の理由はRAM不足で、RAMメーカーがより多くのRAMを生産するためのインフラを構築できるまで待つことを期待してのことである。この状況は、AIへの急速な需要に起因しており、過去数か月でRAMモジュールの価格が数百パーセント上昇している。現行機のXbox Series X|SとPS5も価格上昇の可能性があり、次世代コンソールが最終的に登場した際には法外な価格になる可能性が指摘されている。Xboxは2027年リリースを目標としていたが、2028年以降まで延期される可能性がある。
From:
Report: Xbox & PlayStation Could Delay Next-Gen Consoles Due To RAM Price Increases
【編集部解説】
今回のRAM価格高騰は、単なる一時的な供給不足ではなく、半導体産業全体の構造変化を示す重要なシグナルとなっています。AI向けのHigh-Bandwidth Memory(HBM)という高速メモリの需要が急増し、メモリメーカーが従来のDDR4やDDR5といったコンシューマー向けDRAMの生産ラインをHBMに転換しているためです。HBMは縦方向に積層する高コストなチップで、GPU向けに大量に使用されますが、製造の収益性が高いため、メーカーはこちらを優先しています。
この影響はゲーム機業界に留まりません。PC製造大手のDell、Lenovo、HPは2026年初頭に15〜20%の価格上昇を予定しており、PC部品販売会社のCyberPowerPCは2025年12月に「RAM価格が500%急騰した」と公式発表しました。スマートフォン業界でもXiaomi等が20〜30%の小売価格引き上げを警告しており、メモリコストは現在、新しいPCの部品コスト全体の約18%を占めるまでになっています(2024年の約2倍)。
ポジティブな側面として、業界は可能な限り急速にRAM生産能力を拡大しており、新技術によって製造が容易になる見込みもあります。技術専門家のMoore’s Law Is Deadは、2027年にPS6の製造が予定されている時点で、RAM不足がまだ影響を及ぼすかどうかは予測が難しいと指摘しています。短期的には2026年に不足が続く可能性が高いものの、中長期的には生産能力の増強により状況が改善する可能性があります。
ただし、次世代コンソールが元々高価格になると予想されていた中で、このRAM価格高騰が加われば、消費者にとって「法外な」価格帯になるリスクがあります。従来、コンソールメーカーはハードウェアを一定程度補助金的に販売してきましたが、この戦略が維持できるかどうかが問われる局面となっています。
【用語解説】
RAM(Random Access Memory)
コンピュータの主記憶装置で、データの一時保存に使用される。ゲーム機では処理速度やマルチタスク性能に直結する重要な部品であり、容量と速度が性能を左右する。
DRAM(Dynamic RAM)
電力供給がある間だけデータを保持する揮発性メモリで、定期的にリフレッシュが必要。コンシューマー向けPCやゲーム機で広く使われる標準的なRAMの形式である。
HBM(High-Bandwidth Memory)
メモリチップを垂直方向に積層した高速メモリ技術。AI処理やデータセンター向けGPUに使用され、従来のDRAMより高速だが製造コストが高く、現在は供給が逼迫している。
DDR5(Double Data Rate 5)
2020年に標準化された最新世代のDRAMメモリ規格。DDR4と比較して帯域幅が向上し、消費電力が削減されており、次世代ゲーム機での採用が予想されている。
【参考リンク】
Xbox公式サイト(外部)
Microsoftが運営するXboxの公式サイト。最新のゲーム機情報、ゲームタイトル、Xbox Game Passなどのサービスに関する情報を提供している。
PlayStation公式サイト(外部)
ソニー・インタラクティブエンタテインメントが運営するPlayStationの公式サイト。PS5を含む製品情報やゲームタイトル、サービスの詳細を掲載している。
Insider Gaming(外部)
ゲーム業界の独占ニュースやリーク情報を扱う専門メディア。Tom Henderson等の著名なインサイダーが寄稿し、未発表情報や業界動向を報じている。
【参考動画】
【参考記事】
RAM Shortage 2025: How AI Demand is Raising DRAM Prices(外部)
2025年のRAM不足について詳細に解説した記事。AI需要の急増により、DRAMからHBMへの生産シフトが進み、PC部品コストの18%をRAMが占めるまでになった経緯や、Dell、Lenovo等の大手メーカーが15〜20%の価格上昇を予定している状況を報告。CyberPowerPCが500%の価格急騰を発表したことにも言及している。
PS6 Release Date Could Be Delayed Due to RAM Shortages, New Report Claims(外部)
VICEによるPS6発売遅延の可能性に関する報道。Tom Hendersonのレポートを基に、2027年のPS6製造時点でRAM不足が影響するかどうかは予測困難であること、技術専門家の見解を交えて分析している。
Report: Rising RAM costs could shift next-gen console launch plans(外部)
次世代コンソールの発売計画に対するRAMコスト上昇の影響について報じた記事。GPU市場への影響も含めて、半導体業界全体の構造変化を分析している。
Why RAM Prices Are Surging in 2025(外部)
Acerの公式ブログによる2025年のRAM価格高騰の原因分析。AI向けHBMの需要増加により、メモリメーカーが従来のコンシューマー向けDRAM生産ラインをHBMに転換している業界構造の変化を詳述している。
【編集部後記】
AI開発競争が思わぬ形でゲーム機の未来に影響を及ぼしています。半導体メーカーが収益性の高いHBM生産にシフトする中、PC、スマートフォン、ゲーム機が軒並み価格上昇に直面しているのは興味深い現象です。次世代コンソールが「法外な」価格になった場合、従来の補助金モデルは崩壊するのでしょうか。それとも、クラウドゲーミングやサブスクリプションへの移行を加速させるのでしょうか。リリース時期よりも、価格戦略とビジネスモデルに注目が集まります。































