advertisements

Mozilla、FirefoxにAI完全ブロック機能を追加──ユーザー選択を最優先

[更新]2026年2月4日

Mozilla、FirefoxにAI完全ブロック機能を追加──ユーザー選択を最優先

MozillaはFirefoxに新しいAI制御機能を追加すると発表した。2月24日にリリースされるFirefox 148以降、デスクトップブラウザの設定内に専用のAI制御セクションが設けられる。この機能により、ユーザーは現在および将来の生成AI機能をまとめてブロックするか、個別に管理するかを選択できる。

管理対象となるのは、翻訳機能、PDFの代替テキスト、AI強化タブグルーピング、リンクプレビュー、サイドバーのAIチャットボットである。チャットボットはAnthropic Claude、ChatGPT、Microsoft Copilot、Google Gemini、Le Chat Mistralから選択可能だ。すべてのAI機能を使用したくない場合は「AIエンハンスメントをブロック」トグルをオンにすることで、ポップアップやリマインダーが表示されなくなる。設定したAI設定はアップデート後も維持される。

この機能はFirefox Nightlyで先行利用できる。

From: 文献リンクAI controls are coming to Firefox | The Mozilla Blog
アイキャッチはMozilla公式blogより引用

Mozilla公式blogより引用

【編集部解説】

今回のMozillaの発表は、AI機能の実装とオプトアウトの両立という、ブラウザベンダーにとって極めて難しい課題への一つの回答です。

従来、多くのブラウザではAI機能が追加されても、それを完全に無効化する明確な方法が提供されていませんでした。Microsoft EdgeやGoogle Chromeでは、AI機能をワンクリックで完全にオフにする手段がなく、個別の設定を探し回る必要があります。Mozillaはこの状況に対して「AI kill switch(AI停止スイッチ)」という内部名称で呼ばれる機能を実装し、ユーザーの選択権を明確に保証する姿勢を示しました。

この機能が重要なのは、単なる利便性の問題ではなく、プライバシーとデータ主権の問題だからです。AIチャットボット機能では、ユーザーが選択したテキストやページタイトルが外部のAIサービスに送信されます。Firefoxはこれらの会話内容にアクセスしませんが、各チャットボットプロバイダーのプライバシーポリシーは異なります。匿名モードや会話削除機能の有無もプロバイダーごとに異なるため、ユーザーは自身のリスク許容度に応じて選択する必要があります。

技術的な観点では、この「Block AI enhancements」トグルは階層的な設定構造を持ち、個別の機能制御よりも優先されるグローバルオーバーライドとして機能します。つまり、一度オンにすれば、すべてのAI関連処理が無効化され、将来追加される新しいAI機能も自動的にブロックされる仕組みです。設定はアップデート後も維持されるため、ユーザーは一度設定すれば繰り返し対応する必要がありません。

Mozillaの新CEOの下でAIファーストへの方向転換が進む中、この機能はFirefoxのアイデンティティを示す試金石となります。プライバシーとユーザー選択を重視してきたFirefoxが、AI時代においてもその価値観を維持できるかどうか。業界全体がこの動きを注視しています。

【用語解説】

生成AI
テキスト、画像、音声などのコンテンツを生成する人工知能の総称である。大規模言語モデル(LLM)を基盤とし、ユーザーの指示に応じて新しいコンテンツを作り出す能力を持つ。

オプトアウト
サービスや機能の利用を事前に拒否する選択肢のことである。オプトイン(事前同意)の対義語で、ユーザーが明示的に拒否しない限り機能が有効になる仕組みとは異なり、ユーザーが能動的に機能を無効化できる権利を指す。

データ主権
個人や組織が自身のデータに対して持つ管理権限と決定権のことである。どのデータをどの事業者に送信するか、どのように利用されるかを自ら選択できる権利を意味する。

Firefox 148
2026年2月24日にリリース予定のFirefoxブラウザのバージョンである。新しいAI制御機能が初めて実装されるリリースとして位置づけられている。

【参考リンク】

Mozilla公式サイト(外部)
非営利組織Mozillaの公式サイト。プライバシーを重視した製品開発を行っており、組織のビジョンやマニフェストも公開されている。

Firefox公式サイト(外部)
Mozillaが提供する無料Webブラウザの公式サイト。デスクトップ版およびモバイル版のダウンロードが可能。

Firefox Nightly(外部)
Firefoxの開発版ブラウザで、最新機能をいち早く試せる。AI制御機能などの新機能を先行して利用できる。

Mozilla Connect(外部)
Mozillaのコミュニティフィードバックプラットフォーム。ユーザーがアイデアを提案し、製品に関するフィードバックを共有できる。

Claude(Anthropic)(外部)
Anthropicが開発した次世代AIアシスタント。安全性、正確性、セキュリティを重視して設計されている。

ChatGPT(OpenAI)(外部)
OpenAIが開発した生成AIチャットボット。GPT-4などの大規模言語モデルを使用し、テキスト、音声、画像生成に対応。

Microsoft Copilot(外部)
Microsoftが提供する生成AIチャットボット。GPT-4シリーズをベースとし、Microsoft 365アプリケーションとの統合が特徴。

Google Gemini(外部)
Googleが提供するエブリデイAIアシスタント。画像生成、Deep Research、パーソナライズ機能などを備える。

Le Chat(Mistral AI)(外部)
フランスのMistral AIが提供する生成AIツール。Web検索、ドキュメント処理、マルチモーダル対応などの機能を持つ。

【参考記事】

You’ll finally be able to turn off Firefox’s AI features – OMG! Ubuntu(外部)
Firefox 148に新しいAI制御設定が追加され、ユーザーがすべてのAI機能を一括でオフにできることを報じている。

Mozilla announces switch to disable all Firefox AI features – BleepingComputer(外部)
Mozillaが全AI機能を無効化するスイッチを発表。AI機能のオプトアウトが技術系ユーザーから強く求められていた背景を解説。

Firefox 148 Adds Master Toggle to Disable All AI Features – CtrlAltNod(外部)
AI制御機能の詳細な仕様を解説。マスタートグルがグローバルオーバーライドとして機能する技術的な仕組みについて説明。

Firefox adds AI, but Mozilla Promises a Full Off Switch – gHacks(外部)
MozillaがAI機能を追加する一方で完全なオフスイッチを約束。AI kill switchという内部名称で呼ばれていた機能の開発経緯に触れる。

【編集部後記】

ブラウザは私たちがデジタル世界と接する最初の窓です。その窓にAIが組み込まれていくとき、あなたはどう感じますか?便利さを求めますか、それとも静かにネットサーフィンを楽しみたいですか?

今回のFirefoxの取り組みは「選ぶ権利」を明確にした点が興味深いと感じています。AIを使いたい人も、使いたくない人も、どちらも尊重される。当たり前のようで、実は当たり前ではないこの選択肢。みなさんが普段使っているブラウザは、こうした選択肢を提供してくれているでしょうか?ぜひ一度、設定画面を覗いてみてください。

投稿者アバター
TaTsu
『デジタルの窓口』代表。名前の通り、テクノロジーに関するあらゆる相談の”最初の窓口”になることが私の役割です。未来技術がもたらす「期待」と、情報セキュリティという「不安」の両方に寄り添い、誰もが安心して新しい一歩を踏み出せるような道しるべを発信します。 ブロックチェーンやスペーステクノロジーといったワクワクする未来の話から、サイバー攻撃から身を守る実践的な知識まで、幅広くカバー。ハイブリッド異業種交流会『クロストーク』のファウンダーとしての顔も持つ。未来を語り合う場を創っていきたいです。

読み込み中…

innovaTopia の記事は、紹介・引用・情報収集の一環として自由に活用していただくことを想定しています。

継続的にキャッチアップしたい場合は、以下のいずれかの方法でフォロー・購読をお願いします。