スマートグラスは「特別なガジェット」から「毎日かけるメガネ」へ――。全国に眼鏡市場を展開する株式会社メガネトップが、日本の眼鏡専門店チェーンとして初めてスマートグラス市場に参入する。Meta Ray-Banなど海外勢が技術で先行する中、「掛け心地」と「実店舗でのフィッティング」という日本企業ならではのアプローチで、2026年2月6日にLinseシリーズを発売する。
株式会社メガネトップ(本社:静岡県静岡市、代表取締役社長:冨澤昌宏)が展開する眼鏡市場は、スマートグラス『Linse(リンゼ)』とオーディオグラス『Linse Lite(リンゼライト)』を2026年2月6日(金)より眼鏡市場130店舗で発売する。
Linseは動画、写真、音楽を楽しめる次世代アイウェアで、1,200万画素のカメラ、内蔵スピーカー、複数のマイクを搭載し、ノイズキャンセリング機能を備える。Linse Liteはスピーカーとマイクを内蔵したオーディオグラスである。
AI スマートグラス市場の規模は2024年に13億ドルと評価され、2025年から2032年にかけて年平均成長率11.09%で推移すると予測される。眼鏡市場オンラインショップでの販売はない。
From:
動画・写真・音楽を楽しめるスマートグラス『Linse』眼鏡市場より2026年2月6日(金)発売
アイキャッチは株式会社メガネトップ公式プレスリリースより引用



【編集部解説】
今回の眼鏡市場によるスマートグラス参入は、単なる新製品発表以上の意味を持っています。これは日本の眼鏡専門店チェーンとして初めての試みであり、「2026年を日本のスマートグラス元年」と位置づける同社の戦略的な一手です。
最も注目すべきは「毎日かけるメガネとして成立するか」という開発基準でしょう。Meta Ray-Banが48グラムという軽量化を実現し、32GBのストレージやAI機能を搭載している一方で、Linseは撮影・音楽・通話というシンプルな機能に絞り込んでいます。これは技術的な制約ではなく、眼鏡専門店ならではの「掛け心地」と「日常使い」を最優先した結果と言えます。
もう一つの特徴が、オンライン販売を意図的に行わないという販売戦略です。全国130店舗の眼鏡市場でのみ取り扱うことで、顧客一人ひとりのフィッティングを重視し、店頭でのニーズ吸い上げを製品開発に活かす狙いがあります。Linseの価格は5万5000円、Linse Liteは1万9800円と、Meta Ray-Banと比較しても競争力のある価格帯に設定されています。
一方で、スマートグラスの普及には避けられない課題もあります。2025年にはAIスマートグラスのプライバシー懸念が大きな議論を呼びました。Metaのスマートグラスでは、撮影した画像がクラウドに送信されてAIトレーニングに使用されることが明らかになっており、同意なき撮影や監視への懸念が指摘されています。日本でも警察がウェアラブルカメラの試験運用を2025年8月から開始する際、撮影時の明示的な表示を義務付けるなど、慎重な対応が取られています。
市場環境を見ると、AIスマートグラス市場は複数の調査会社が成長を予測しています。Congruence Market Insightsによれば、2024年の市場規模は約1.3億ドルで、2032年までCAGR 15.2%で成長するとされています。一方、Polaris Market Researchは2024年を23.4億ドルと評価し、2034年に71.4億ドルに達すると予測しており、調査会社によって数値に幅はあるものの、いずれも二桁成長を見込んでいる点では一致しています。
眼鏡市場のアプローチは、技術先行ではなく「生活者視点」からのスマートグラス普及を目指すものです。プライバシー保護の仕組みや、撮影時の明示的な表示など、社会的な受容性を高める工夫が今後の課題となるでしょう。店舗ネットワークを活用した顧客との対話を通じて、日本市場に適したスマートグラスの在り方を探る試みとして、注目に値します。
【用語解説】
スマートグラス
カメラ、スピーカー、マイクなどを内蔵し、従来の眼鏡にデジタル機能を統合したウェアラブルデバイスである。撮影、音楽再生、通話、AR表示などの機能を持ち、ハンズフリーでの操作が可能となる。
オーディオグラス
カメラ機能を持たず、スピーカーとマイクのみを搭載した眼鏡型デバイスである。音楽再生や通話に特化しており、スマートグラスよりもシンプルな機能構成となる。
ノイズキャンセリング
周囲の騒音を検知し、逆位相の音波を生成することで騒音を打ち消す技術である。通話やオーディオ再生時に、環境ノイズを低減し、クリアな音声を実現する。
CAGR(年平均成長率)
Compound Annual Growth Rateの略で、一定期間における複利ベースの平均成長率を示す指標である。市場規模の成長予測を表現する際に用いられる。
フィッティング
眼鏡を装着者の顔の形状や耳の位置に合わせて調整する作業である。掛け心地や視野の最適化のため、専門店での調整が推奨される。
【参考リンク】
眼鏡市場 Linse特設サイト(外部)
スマートグラス「Linse」と「Linse Lite」の公式特設ページ。製品の詳細仕様、機能説明、取扱店舗情報を掲載
株式会社メガネトップ(外部)
全国に眼鏡市場を展開する眼鏡専門店チェーンの運営企業。日本の眼鏡専門店チェーンとして初のスマートグラス市場参入
S&S Insider – AI Smart Glasses Market(外部)
AIスマートグラス市場の調査レポート。2024年市場規模13億ドル、2032年までCAGR 11.09%成長を予測
【参考記事】
「眼鏡市場」がスマートグラス市場に参入 国内市場はどう変わるか(外部)
眼鏡市場のスマートグラス市場参入背景と戦略を分析。価格、販売戦略、日本市場への影響を詳述
Ray-Ban Meta Smart Glasses Review(外部)
Meta Ray-Banスマートグラスの詳細レビュー。48グラム、32GBストレージ、AI機能を備える
AI-powered Smart Glasses Market Insights(外部)
AIスマートグラス市場調査。2024年13.5億ドル、2032年まで CAGR 15.2%成長予測
AI Smart Glasses Market Size, Growth & Trends Report(外部)
AIスマートグラス市場の成長予測。2024年23.4億ドル、2034年71.4億ドルに達すると予測
Meta’s AI-Powered Smart Glasses Raises Privacy Concerns(外部)
Metaスマートグラスのプライバシー懸念を分析。画像のクラウド送信、AI学習利用などの課題を指摘
Police in Japan to trial wearable cameras from late August(外部)
日本の警察がウェアラブルカメラ試験運用開始。撮影時の明示義務など、プライバシー配慮を詳述
【編集部後記】
スマートグラスが「特別なガジェット」から「日常のメガネ」へと変わろうとしています。皆さんにとって、眼鏡は単なる視力矯正の道具でしょうか、それともファッションの一部でしょうか。もしそこにカメラや音楽機能が加わったとき、毎日の暮らしはどう変わるでしょう。
一方で、街中で誰かが常にカメラを身につけている光景を、私たちは自然に受け入れられるのか。技術の進化と社会の受容性、この両輪がどう回っていくのか。眼鏡市場の挑戦は、その答えを探る興味深い試みだと感じています。皆さんはどう思われますか。






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