advertisements

楽天市場×YouTube、動画から直接購入できる「YouTubeショッピング」が日本上陸

[更新]2026年2月21日

YouTubeで気になった商品を、動画を離れずにそのまま楽天市場で買える。そんな購買体験が、日本でも現実になろうとしています。


2026年2月19日、楽天グループ株式会社は、Google社との提携により「YouTubeショッピング アフィリエイト プログラム」のパートナーシップを国内で初めて締結したと発表した。

これにより、YouTube動画の視聴中に「商品を表示」ボタンを押すと、同一画面上に楽天市場の商品名や価格が表示され、商品ページへ遷移して詳細を確認・購入できるようになる。楽天市場の出店店舗にとっては、YouTubeクリエイターの動画を通じた認知拡大や新規顧客獲得が期待される。

楽天はこれまでも「楽天アフィリエイト」やショッピングSNS「ROOM」を通じたインフルエンサー連携に取り組んでおり、本提携によりVコマース領域のマーケティング活動を強化する。

From: 文献リンク「楽天市場」、Google社との提携により「YouTube」動画から商品をシームレスに購入できる新しい購買体験を提供 | 楽天グループ株式会社

楽天グループ株式会社 公式プレスリリースより引用

【編集部解説】

「YouTubeショッピング アフィリエイト プログラム」とは、YouTubeクリエイターが動画内で商品にタグ付けし、視聴者がその商品を購入した際にクリエイターがコミッション(成果報酬)を得られる仕組みです。長尺動画、ショート動画、ライブ配信のいずれにも対応しており、視聴者は動画を視聴しながら同一画面上で商品情報を確認し、小売サイトへ遷移して購入できます。コミッション率は各ブランドや小売事業者が個別に設定し、支払いはAdSenseを通じて購入後60〜120日以内に行われます。

本プログラムは2023年に米国で開始され、2024年6月には韓国でCoupangを最初のパートナーとして展開されました。同年10月にはインドでFlipkartおよびMyntraと提携し、その後インドネシア、タイ、ベトナム、マレーシア、フィリピン、シンガポール、ブラジル、台湾へと段階的に対象地域を拡大しています。今回の楽天市場との提携は、日本における同プログラムの初のパートナーシップとなります。各国でその市場を代表するECプラットフォームが最初のパートナーに選ばれている点は注目に値します。

この提携を読み解くうえで見逃せないのが、日本における動画コマース(Vコマース)市場の競争環境です。2025年6月30日にはTikTok Shopが日本市場に参入し、アプリ内で商品の発見から購入までを完結できるサービスの提供を開始しています。ユニリーバ・ジャパンや日清食品といった大手ブランドが早期導入企業として名を連ねました。YouTubeとGoogleにとって今回の楽天との提携は、TikTok Shopに対する明確な競争戦略の一手と位置づけられます。

クリエイターにとっては、従来の動画概要欄にアフィリエイトリンクを手動で貼り付ける方式から、YouTube Studio上で商品をタグ付けし、インサイトや収益をまとめて管理できる方式への転換を意味します。リンク切れのリスクも軽減され、過去の動画からも継続的に収益が発生する可能性が生まれます。楽天市場の出店店舗にとっては、YouTubeクリエイターの個性ある動画を通じた新たな販路が開かれることになります。

一方で、留意すべき点もあります。日本では2023年10月に景品表示法に基づく告示が施行され、ステルスマーケティングが不当表示として規制対象となりました。クリエイターが企業から報酬を得て商品を紹介する場合、広告であることを消費者が判別できるよう明示する必要があります。YouTube側のプログラム設計上、商品タグは明示的に表示される仕組みですが、動画コンテンツの中で自然な紹介とアフィリエイトの境界がどのように運用されるかは、事業者側の責任としてあらためて注意が求められる領域です。

より長期的な視座でみると、この動きは「検索して購入する」というECの従来モデルから、「動画を見て発見し、そのまま購入する」というコンテンツドリブンなコマースへの移行が日本でも本格化していることを示しています。記者発表会ではGoogle日本法人代表の奥山真司氏が、YouTubeはもはや動画プラットフォームにとどまらず個人の創造性とクリエイターエコノミーの拠点であるという認識を示しました。

また、同発表会でGoogle/YouTubeは、日本の視聴者の76%がYouTubeを最も信頼できる動画プラットフォームと回答しているというデータや、国内のショッピング関連動画の再生時間が前年比80%以上増加しているという数値を提示しています。クリエイターエコノミーとECの融合は今後さらに加速することが予想され、楽天エコシステムとの相乗効果がどのような形で現れるのか、日本のEC市場の構造変化を見据えるうえで今後の展開に注目が必要です。

【用語解説】

Vコマース
動画(Video)、音声(Voice)、VR(Virtual Reality)を活用した新たなECビジネスモデルの総称である。楽天が用いている呼称。

クリエイターエコノミー
個人のクリエイターがデジタルプラットフォーム上でコンテンツを制作・発信し、それを収益化する経済圏を指す。広告収入、投げ銭、アフィリエイト、グッズ販売などが主な収益源となる。

【参考リンク】

Rakuten Group, Inc. Press Release(英語版)(外部)
楽天グループの英語版プレスリリース。グローバル向けに本提携の内容を掲載。

YouTube Shopping affiliate program – YouTube Help(外部)
同プログラムの公式ヘルプ。参加資格、対象国、コミッションの仕組みなどを掲載。

楽天市場(外部)
楽天グループが運営する日本最大級のインターネット・ショッピングモール。

ROOM(楽天ROOM)(外部)
楽天市場の商品を楽天IDでキュレーション・紹介できるショッピングSNSサービス。

消費者庁 ステルスマーケティング規制ページ(外部)
景品表示法に基づくステルスマーケティング規制の告示・運用基準・ガイドブックを掲載。

【参考記事】

Google, Rakuten to provide new shopping service in Japan on YouTube(外部)
共同通信配信。奥山氏・三木谷氏の発言を報道。米韓での先行展開にも言及。

Rakuten, Google to Collaborate in Product Promotion via YouTube(外部)
時事通信英語版。ライブ配信最大30商品、長尺・ショート最大60商品等の仕様を報道。

YouTube expands shopping features in South Korea(外部)
2024年6月の韓国展開時の報道。Coupangが最初のパートナー。Cafe24との協業にも言及。

The YouTube Shopping affiliate program arrives in India(外部)
Google公式ブログ。2024年10月のインド展開発表。Flipkart・Myntraとの提携を報道。

TikTok Shop Officially Launches in Japan(外部)
2025年6月のTikTok Shop日本参入の詳報。アクティブユーザー3900万人超の市場を解説。

「YouTube×楽天」が始動、動画の熱量で即ポチれる検索不要の買い物革命(外部)
記者発表会の詳報。信頼度76%のデータ、ショッピング動画再生時間前年比80%増を報道。

【編集部後記】

YouTubeで気になる商品を見つけたとき、概要欄のリンクを探してスクロールした経験はありませんか。今回の楽天市場とYouTubeの連携は、その小さなストレスを解消する一歩かもしれません。

動画を「観る場所」から「買い物が始まる場所」へと変えるこの動き、みなさんの普段の買い物体験はどう変わりそうですか。ぜひご意見をお聞かせください。

投稿者アバター
omote
デザイン、ライティング、Web制作を行っています。AI分野と、ワクワクするような進化を遂げるロボティクス分野について関心を持っています。AIについては私自身子を持つ親として、技術や芸術、または精神面におけるAIと人との共存について、読者の皆さんと共に学び、考えていけたらと思っています。

読み込み中…

innovaTopia の記事は、紹介・引用・情報収集の一環として自由に活用していただくことを想定しています。

継続的にキャッチアップしたい場合は、以下のいずれかの方法でフォロー・購読をお願いします。