2026年2月19日、TheCryptoBasicが報じたところによると、Google Trendsのデータで「Bitcoin going to zero」というフレーズの検索関心度が2026年2月にピーク値100に達し、過去最高を記録した。
前回のピークは2022年6月のスコア72であり、3年半以上ぶりの最高値となる。Bitcoinは2025年10月6日に過去最高値の126,080ドルを記録した後、約47%下落している。市場の感情を0から100のスケールで測定するCrypto Fear & Greed Indexは記事公開時点(2月19日)で11を示しており、2026年2月6日には過去最低の5まで低下していた。Coin Bureauの共同創設者ニック・パックリンはXへの投稿で、同指数が25を下回った際の90日間の平均フォワードリターンはわずか2.4%であると指摘し、極度の恐怖時の購入が短期的に有効とは限らないと主張した。
一方、反論として極度の恐怖後の12ヶ月間では平均300%超のリターンが記録されてきたとの指摘もある。
From:
Bitcoin ‘Going to Zero’ Google Searches Hit All-Time High in February 2026 | KuCoin
【編集部解説】
今回の「Bitcoin going to zero」検索急増は、暗号資産市場の心理を映し出す興味深い現象です。ただし、このデータの読み解きには注意が必要です。
Google Trendsのスコア100は、選択した期間内での相対的な検索関心の最高値を意味するものであり、絶対的な検索ボリュームの最大値を示すわけではありません。つまり「かつてないほど大勢が検索した」とは限らず、「設定した比較期間内で最も注目された」ということです。
注目すべきは、2022年と現在では恐怖の性質が根本的に異なる点です。2022年の市場パニックはTerra/Lunaの崩壊やFTXの破綻といった暗号資産業界内部の構造的な問題が相次いだことが原因でした。元記事が示す前回の検索ピーク(2022年6月)はTerra/Luna崩壊の直後にあたり、同年11月にはFTX破綻がさらなる打撃を与えています。一方、2026年2月の下落は、トランプ政権による関税政策の拡大、米国とイランの緊張激化、ケビン・ウォーシュの次期FRB議長指名に伴う金融引き締め懸念など、マクロ経済要因が主な引き金となっています。
この違いは市場構造の変化を反映しています。Bitcoinはもはや暗号資産愛好家だけの資産ではなく、グローバルなマクロ資産としての性格を強めています。VanEckの分析によれば、今回の下落は「秩序だったデレバレッジ」であり、2022年のような無秩序な崩壊とは異なると評価されています。
ETFの資金動向もこの変化を裏付けています。CNBCの報道によれば、過去3ヶ月間でスポットBitcoin ETFから約58億ドルの資金が流出しました。しかし、過去1年間では依然として約142億ドルの純流入が維持されており、長期投資家の大部分はポジションを保持していることが示唆されています。BitwiseのCIOマット・ホーガン氏は、売りを主導しているのはETF投資家ではなく、長年蓄積したポジションを縮小している暗号資産トレーダーだと指摘しています。
もう一つ見逃せないのが、Bitcoinの伝統的な「4年サイクル」が崩れた可能性です。半減期翌年の2025年は、歴史上初めて年間リターンがマイナスで終了しました。これは、ETFや企業の財務戦略を通じた機関投資家の参入により、市場の価格決定メカニズムが変質したことを示唆しています。価格形成の原動力が、半減期による供給ショックからグローバルな流動性とFRBの金融政策へとシフトしつつあるのです。
予測市場のデータも市場心理の厳しさを物語っています。Decryptの報道によると、PolymarketのトレーダーはBitcoinが80,000ドルに到達する前に60,000ドルまで下落する確率を68%と見積もっており、Kalshiでは年内に40,000ドルを下回る確率が約36%と予測されています。
ただし、Standard Charteredの分析では50,000ドルへのさらなる下落の可能性を指摘しつつも、その後は過去最高値への回復を見込んでいます。CryptoQuantのアナリストはBitcoinの「究極の弱気相場の底」を55,000ドルと推定しており、それ以下への下落は想定していません。
歴史的に見れば、「Bitcoin is dead(Bitcoinは死んだ)」という宣言はこれまで幾度となく繰り返されてきました。そしてその多くは、長期的には優れた買い場となってきたという事実があります。恐怖が最高潮に達するとき、市場は往々にして転換点に近づいています。ただし、それが「いつ」訪れるかは、短期と長期で大きく異なります。今回の記事で紹介された90日間リターンと12ヶ月間リターンの議論は、まさにその本質を突いたものといえるでしょう。
【用語解説】
Google Trends(スコア100)
Googleが提供する検索トレンド分析ツール。スコア100は選択した期間内での相対的な検索関心の最高値を意味し、絶対的な検索回数を示すものではない。
Crypto Fear & Greed Index
Alternative.meが開発した暗号資産市場のセンチメント指標。ボラティリティ、取引量、SNSの反応、Bitcoin支配率、Google Trendsデータなどを複合的に分析し、0(極度の恐怖)から100(極度の貪欲)のスケールで市場心理を数値化する。
フォワードリターン
ある時点から一定期間後に得られるリターン(収益率)のこと。「90日間フォワードリターン」とは、購入日から90日後までの価格変動に基づく収益率を指す。
デレバレッジ(Deleveraging)
レバレッジ(借入やデリバティブを使った投資の拡大)を縮小するプロセス。市場の下落局面で、投資家がリスクを縮小するためにポジションを解消する動きを指す。
スポットBitcoin ETF
現物のBitcoinを裏付け資産として保有する上場投資信託。2024年1月に米国で承認され、従来の証券口座からBitcoinへのエクスポージャーを得ることを可能にした。
アキュムレーション(蓄積)戦略
価格が低迷している期間に段階的に資産を買い増していく長期投資戦略。短期的な値上がりではなく、長期的な価格回復を見据えた手法である。
【参考リンク】
Google Trends(外部)
Googleが提供する無料の検索トレンド分析ツール。特定キーワードの世界規模の検索関心を時系列で可視化できる。
Crypto Fear & Greed Index(Alternative.me)(外部)
暗号資産市場のセンチメントを毎日数値化して公開。ボラティリティやSNSデータなど複数要素から算出している。
Coin Bureau(外部)
ニック・パックリンが共同創設した暗号資産の教育・分析メディア。月間300万人以上の読者に偏りのない情報を提供。
SoSoValue(外部)
暗号資産ETFの資金フローデータを提供するプラットフォーム。米国上場のスポットBitcoin ETFの日次動向を追跡可能。
【参考記事】
Bitcoin Price Going to Zero Narrative Roars Back — But the Data Tells a Different Story(外部)
2022年と2026年の恐怖の性質の違いをマクロ要因の観点から分析。個人投資家の恐怖が専門家の変化に遅れる傾向を指摘。
‘Bitcoin Going to Zero’ Google Searches Rise With Crypto Sentiment in the Dumps(外部)
Polymarket・Kalshiの予測市場データとStandard Chartered・CryptoQuantの価格見通しを報道した記事。
In bitcoin price plummet, ETF flows are down but aren’t signaling ‘crypto winter’ investor panic(外部)
スポットBitcoin ETFの資金流出58億ドルと純流入142億ドルのデータを基に、長期投資家の動向を分析した記事。
What Triggered Bitcoin’s Major Selloff in February 2026?(外部)
VanEckの公式分析。2026年2月の下落を「秩序だったデレバレッジ」と評価し、構造的破綻ではないとの見解を提示。
February Bear Trap: Bitcoin’s 2026 Crash Explained(外部)
「ウォーシュ・ショック」による機関投資家のポジション解消と、Bitcoin市場の構造変化を詳細に分析した記事。
Bitcoin’s 46% Slump Shakes Traders with Open Interest Dropping to $21B(外部)
未決済建玉の急減と市場時価総額1.2兆ドル以上の減少を報道。マクロ安定時の回復シナリオも紹介している
【編集部後記】
「Bitcoinがゼロになる」という検索が過去最高を記録した今、みなさんはこの状況をどう受け止めていらっしゃるでしょうか。恐怖が市場を覆うとき、それは終わりの始まりなのか、それとも新たな局面への入り口なのか。
過去の市場サイクルが必ずしも繰り返されるとは限りませんが、こうした極端なセンチメントの瞬間にこそ、冷静にデータを見つめ直す価値があるのかもしれません。みなさんの見立てをぜひお聞かせください。







































