advertisements

Doppler Finance × Hex Trust、wXRPをマルチチェーンへ—XRP「運用時代」の幕開け

[更新]2026年3月13日

2026年3月4日、XRPLネイティブの利回りインフラを提供するDoppler Financeは、機関投資家向けデジタル資産金融機関のHex Trustと戦略的パートナーシップを締結した。香港での発表によると、両社はWrapped XRP(wXRP)をDoppler Financeの報酬アーキテクチャに統合し、XRP連動プロダクトを複数のブロックチェーンエコシステムに展開することを目的とする。

Hex Trustは機関投資家グレードのカストディおよびインフラ機能を提供し、wXRP関連プロダクトが規制されたカストディ基準を満たす形で設計されることを支援する。Doppler Finance機関投資家部門責任者のRox氏、およびHex TrustのCPO兼カストディ責任者Giorgia Pellizzari氏がそれぞれコメントを発表した。

From: 文献リンクDoppler Finance Partners with Hex Trust to Expand wXRP and Multi-Chain XRP Use Cases

【編集部解説】

今回の提携を理解するには、まずwXRP(Wrapped XRP)という概念を押さえておく必要があります。wXRPとは、XRPを1対1の比率で裏付けとして発行される「ラップされたトークン」であり、XRP Ledger(XRPL)の外側——たとえばEthereumなどの他のブロックチェーン——でXRPの価値を活用するために設計されています。Hex Trustは2025年12月にwXRPの発行・カストディを担う機関として正式に発表され、すべての裏付けXRPはKYC/AMLに準拠した機関投資家グレードの管理口座で分別保管され、保険対応・完全な監査可能性を備えています。

Doppler Financeは「XRPfi」という概念を打ち出したXRPL上のDeFiプロトコルです。休眠状態になりがちなXRP保有者の資産を、利回りを生む能動的な資産へと転換する仕組みを構築しており、機関投資家向けの利回り戦略やレンディングプロトコルなどを提供しています。今回Hex TrustのカストディインフラとDopplerの利回りアーキテクチャが統合されることで、規制に準拠した形でwXRPを報酬ボルト(Rewards Vault)に組み込む設計が可能になります。

注目したいのは、Doppler Financeの動きが今回だけに留まらないという点です。2025年12月にはSBI Ripple Asiaとの提携MOU(覚書)を締結し、日本・アジア市場を含む機関投資家向けXRP利回りインフラの整備に動いています。2026年2月にはOpenEdenとの連携も発表し、トークン化された米国国債(TBILL)やUSDOをXRPL上で活用したRWA(現実資産)利回りへのアクセスを実現しようとしています。今回のHex Trust提携はその延長線上にある、マルチチェーン展開の加速という文脈で捉えるべきでしょう。

このニュースが持つ意味は、単なる2社間の協業を超えています。XRPはこれまで「保有する資産」として位置づけられることが多く、DeFiエコシステムの中では存在感が薄い状況でした。しかし機関投資家グレードのカストディと組み合わせることで、XRPが「運用される資産」として機能し始める可能性があります。LayerZeroのOFT(Omnichain Fungible Token)規格を用いたクロスチェーン対応により、wXRP発行時点ではEthereum・Solana・Optimism・HyperEVMの4チェーンに対応しており、Hex Trustは150以上のブロックチェーンへの拡張が可能と述べています。

一方でリスクにも目を向けておく必要があります。クロスチェーンブリッジは過去に数多くのハッキング被害を受けてきた領域であり、ラップド資産のスマートコントラクトリスクは依然として無視できません。また、規制対応をうたっているものの、各国の規制当局がwXRPをどう分類するかは現時点で確定していません。機関投資家の本格参入には、法的位置付けの明確化が不可欠と言えます。

XRP現物ETFについても動きが加速しています。Canary Capitalが2025年11月13日に先行上場し、Grayscale(GXRP)とFranklin Templeton(XRPZ)は同年11月24〜25日にそれぞれ上場しました。各ファンドへの累計純流入額は2025年12月末時点で11億4,000万ドル($1.14B)を超えています。こうした機関投資家マネーの流入トレンドが続く中、XRPの「運用インフラ」を整備しようとするDoppler FinanceとHex Trustの動きは、時代の要請と合致しています。

【用語解説】

wXRP(Wrapped XRP)
XRPを1対1の比率で裏付けとして発行されるラップドトークン。XRP Ledger外の他のブロックチェーン上でXRPの価値を活用するために設計されており、DeFiプロトコルへの流動性供給を可能にする。発行時点でEthereum・Solana・Optimism・HyperEVMの4チェーンに対応し、150以上への拡張が見込まれている。

XRPfi
「XRP」と「DeFi(分散型金融)」を組み合わせた造語。Doppler Financeが提唱する概念で、XRPを利回りを生む能動的な資産として活用するDeFiエコシステム全体を指す。

報酬ボルト(Rewards Vault)
ユーザーが資産を預け入れると、スマートコントラクトを通じて自動的に利回りを獲得できる仕組み。Doppler Financeでは機関投資家グレードの審査済み利回り戦略を用いている。

カストディ(Custody)
機関投資家向けに暗号資産を安全に保管・管理するサービス。規制準拠のKYC/AML体制のもと、秘密鍵の管理や資産の分別保管を担う。Hex Trustはこの分野の主要プレイヤーである。

LayerZero / OFT(Omnichain Fungible Token)
複数のブロックチェーン間でトークンをシームレスに移動させるためのクロスチェーン通信プロトコルおよびトークン規格。wXRPのマルチチェーン展開を技術的に支える基盤として採用されている。

RWA(Real World Asset)
米国国債や不動産など、現実世界の資産をブロックチェーン上でトークン化したもの。Doppler FinanceはOpenEdenと連携し、TBILL(トークン化米国国債)やUSDOをXRPL上で活用している。

RLUSD
Rippleが発行する規制対応のUSDステーブルコイン。XRP Ledger上で流通し、DeFi利回り戦略の基軸資産として機能している。

【参考リンク】

Hex Trust 公式サイト(外部)
2018年設立の機関投資家向けデジタル資産金融機関。カストディ・ステーキング・マーケットサービスを提供し、複数国でライセンスを取得している。

Doppler Finance 公式サイト(外部)
XRP Ledger上に構築された機関投資家グレードの利回りインフラ。規制対応カストディと厳選された利回り戦略でXRPを能動的な資産へ転換することを使命とする。

XRP Ledger(XRPL)公式サイト(外部)
分散型パブリックブロックチェーンXRPLの公式情報サイト(日本語対応)。基盤技術の仕様・開発者向けドキュメントを網羅している。

Doppler Finance 公式ドキュメント(外部)
プロトコル設計・利回り戦略・リザーブ管理などの技術仕様を解説。XRPfiの全体像を把握したい開発者・機関投資家向けの公式資料。

【参考動画】

【参考記事】

Hex Trust to Issue and Custody Wrapped XRP (wXRP), Expanding Multi-Chain XRP Utility(外部)
Hex Trustが2025年12月にwXRP発行・カストディ機関として正式発表。LayerZero OFT採用と規制準拠体制について詳述。

Hex Trust Launches wXRP With $100M TVL via LayerZero(外部)
wXRPのTVLが$100Mに到達。Ethereum・Solana・Optimism・HyperEVM対応と150以上チェーンへの拡張計画を報告。

Spot XRP ETFs Add $483M in December, Inflows Hit $1.14B(外部)
XRP現物ETFの累計純流入額が2025年12月末に$1.14Bを突破。12月単月で$483Mが流入したことを報告。

SBI Ripple Asia partners with Doppler Finance for XRP Yield(外部)
2025年12月、SBI Ripple AsiaとDoppler FinanceがMOU締結。日本・アジア市場の機関投資家向けXRP利回りインフラ構築を目的とする。

Doppler Finance and OpenEden Announce Strategic Partnership to Expand Institutional-Grade RWA Yield on XRPL(外部)
2026年2月、DopplerとOpenEdenが提携。TBILL・USDOによる米国国債連動利回りをXRPL上で提供する枠組みを構築。

【編集部後記】

XRPといえば「保有して値上がりを待つ資産」というイメージを持っている方も多いのではないでしょうか。でも今、XRPは「運用される資産」へと静かに変わりつつあります。

機関投資家が本格的に動き始めたとき、私たちの関わり方も変わるかもしれません。みなさんはXRPの可能性を、どこまで広げてみたいと思いますか?

投稿者アバター
TaTsu
『デジタルの窓口』代表。名前の通り、テクノロジーに関するあらゆる相談の”最初の窓口”になることが私の役割です。未来技術がもたらす「期待」と、情報セキュリティという「不安」の両方に寄り添い、誰もが安心して新しい一歩を踏み出せるような道しるべを発信します。 ブロックチェーンやスペーステクノロジーといったワクワクする未来の話から、サイバー攻撃から身を守る実践的な知識まで、幅広くカバー。ハイブリッド異業種交流会『クロストーク』のファウンダーとしての顔も持つ。未来を語り合う場を創っていきたいです。

読み込み中…