令和8年版情報通信白書は、第Ⅰ部第2章第2節で小規模言語モデル(SLM)とフィジカルAIの動向を扱っている。白書はパラメータ数が百億程度までのモデルをSLMとして取り扱う。国立情報学研究所の佐藤一郎教授は、汎用LLMのコモディティー化が見込まれるため日本は領域特化型のAIに注力すべきだとし、電車の運転士が行う指さし確認を例に、AIで品質を高めた業務の仕方そのものの海外展開と国際標準化の先導が日本の勝ち筋になり得ると述べている。
Preferred Networksグループのエッジデバイス向け軽量モデル「PLaMo Lite」は、日本語質問応答のJSQuADで0.86を記録した。同社は2025年、GENIAC第3期のテーマとして、エッジ環境向けの軽量な視覚言語モデルの開発に取り組んだ。東京大学松尾研究室発のEQUESは製薬業界向け特化型LLM「JPharmatron-7B」を発表した。
楽天モバイル、AWL、楽天ヴィッセル神戸は総務省事業により、ノエビアスタジアム神戸でSLMを活用したエッジAIの実証を2025年6月に開始した。実施予定期間は2026年1月までとされていた。
白書を読み解く
白書が選んだ2つの技術
第2章第2節には、前置きが置かれています。AI分野は日々新たな技術やモデルが発表され、すべてを取り上げることはできない。だから——
日本が有する強みやポテンシャルという観点も踏まえながら
動向を概観する、と。
網羅ではなく、選別です。そして選ばれたのは小規模言語モデル(SLM)とフィジカルAIの2つでした。
どちらも「巨大な計算資源で汎用性を追う」路線とは別の道です。前編で触れた数字を思い出すと、この選択の背景が見えてきます。2025年に資金調達を受けたAI企業は米国1,953社に対し日本56社。研究力の国別順位は10位から12位。正面から張り合う体力はない、という現実認識の上に立った節だと読めます。
「どこまでが小規模か」が決まっていない
SLMはSmall Language Modelの略で、LLMに比べてパラメータ数が小さいモデルを指します。ところがこの「小さい」の基準が定まっていません。
| 誰が | どこまでをSLMとするか |
|---|---|
| 海外のベンチマーク研究論文 | 70億以下 |
| IBM | 白書は「数十〜数百億程度」と紹介 |
| 人工知能学会の論文 | 140億以下とする事例も |
幅がありすぎるため、白書は自ら線を引きました。おおよそ百億パラメータ程度まで。
ここで一点、注記が必要です。
白書はIBMの見解として「数十〜数百億程度」と紹介し、脚注で出典ページの参照日を2026年1月30日と記しています。一方、2026年7月時点の同じIBM日本語ページは、SLMのパラメータ数を数百万から数十億の範囲と説明しています。
半年のあいだにページが更新された可能性が高く、どちらかが誤りだと断じることはできません。ただ、定義を比較するときは数字だけでなく、いつ時点の記述かまで見る必要がある——SLMという語がまだ固まっていないことの、思わぬ裏づけかもしれません。
なお140億以下とする事例の出典は、白書の脚注によれば杉山弘晃氏の論文(『人工知能』40巻3号、人工知能学会)です。行政文書が「定義が統一されていない」と認めたうえで作業定義を置くのは、地味ですが誠実な処理だと思います。
エッジで動くことの意味
SLMの利点は、単に軽いことではありません。軽いから、手元で動く。
計算量が抑えられるため、計算資源や電力に制約のある環境でも動作します。つまりエッジデバイスでの実行に向いている。そしてここが本質なのですが——
完全にローカルで推論する構成なら、処理のたびにデータをクラウドへ送る必要がありません。もっとも、モデルの更新や外部情報の検索、複数端末の連携で通信を使うエッジシステムもあります。
データを外に出さずに済む設計が可能なため、白書は個人情報などのプライバシー保護やセキュリティの観点で期待が集まっていると書いています。金融やコード生成のように、機密性の高い領域での活用が想定されるのもこの理由です。自社の設備内でシステムを動かすオンプレミス環境との相性も良い。
一方で限界も明記されています。パラメータ数の少なさは、そのまま知識の守備範囲の狭さと複雑な推論の弱さにつながります。だから実務では、RAGで外部の知識を補うか、LLMとSLMを組み合わせて使い分ける構成が有効だと整理されています。
SLMはLLMの代わりではなく、役割分担の相手です。
「パソコンだけがSLMを必要とする」という予測
国立情報学研究所の佐藤一郎教授の指摘に、目を引く一節があります。
スマートフォンやタブレットでは、端末上で動かせるSLMの性能に限界があり、ユーザーが満足する水準に届くか不確実です。だからSLMの利用が必須にはならない。
ところがパソコンは違うと言います。スマートフォンやタブレットとの差別化のために、SLMが動くことが必須になってくる可能性がある。
SLMが動く必要があるデバイスと、そうでないデバイスで二極化が進む
これは買い替えの判断に直結する予測です。「AIが動くPC」が単なる宣伝文句ではなく、カテゴリを分ける条件になるという見立てだからです。ここは筆者としても注目したい部分です。
モデルではなく、業務のやり方で勝つ
この節で最も踏み込んでいるのが、次の指摘です。
汎用LLMはコモディティー化が見込まれる
コモディティー化とは、差別化が難しくなって一般的な商品になっていくこと。誰が作っても似たようなものになり、価格競争に飲まれていく。だから日本は領域特化型のAIに注力すべきだというのが佐藤教授の主張です。
狙うべき領域として挙げられたのは、音声対応のAIと、製造現場など、市場が大きく、安全性が高く高品質な日本の業務の特性を活かせる分野。
そして抽象論で終わらせず、具体例が出てきます。
電車の運転士が行う「指さし確認」。
現状は実施者本人の確認作業にとどまります。ここにAIを入れると、指さし確認のし忘れをAIが指摘してくれるようになる。
教授はその先に商機を見ます。指さし確認をはじめとする、高い安全性や品質を実現する日本型の業務のやり方は、海外では導入が進んでいないものも多い。だから——
AIを利用して品質を高めた安全な業務の仕方そのものを海外展開していくことや、業務の仕方の国際標準化を先導していくことが、日本の勝ち筋になり得る
輸出するのはモデルではなく、業務のやり方。そういう発想です。
前編で見た数字が、ここで別の意味を持ちはじめます。日本企業が生成AIに期待する効果は「効率化」が61.6%で1位、「品質向上」は32.2%。他3か国はすべて品質向上が首位でした。
効率化偏重は弱点にも見えます。しかし裏を返せば、品質を担保する業務プロセスを持っているということでもある。この読み替えができるかどうかが、佐藤教授の提案を活かせるかの分かれ目でしょう。
なお教授は2025年に『2030 次世代AI 日本の勝ち筋』(日経BP)を刊行しています。
PLaMo Liteの数字を、正確に読む
この節で唯一、数値による性能比較を示したのが、Preferred NetworksグループのSLM「PLaMo Lite」の日本語性能です。
| ベンチマーク | PLaMo Lite(1B) | 比較対象 |
|---|---|---|
| JSQuAD F1(日本語質問応答) | 0.86 | Phi-2(2.7B)0.34/Gemma(2B)0.65 |
| WMT20 4shot(日英翻訳) | 0.20 | Phi-2(2.7B)0.021/Gemma(2B)0.14 |
| Jaster 0shot | 58.0% | GPT-3.5 turbo 56.7%/Swallow Instruct(13B)42.4% |
1Bは10億パラメータです。比較対象のPhi-2は2.7倍、Gemmaは2倍、Swallow Instructは13倍の規模があります。それでも日本語のベンチマークでは上回り、JasterではGPT-3.5 turboをわずかに超えている。
数字の背景を補っておきます。PLaMo Liteは、子会社のPreferred Elementsがフルスクラッチで開発した1,000億パラメータのモデルPLaMo-100Bの開発成果を基に構築された、10億パラメータのモデルです。事前学習には、PLaMo-100Bが生成した日本語・英語のテキストを含む合計4兆トークンが使われています。小型モデルの開発に、大規模モデルで得た知見と生成データを活用した点が特徴です。
ただし、一点だけ添えておく必要があります。
このベンチマークは2024年8月28日の提供開始時に公表されたものです。白書もその発表を出典としています。比較対象のGPT-3.5 turboは当時から2年近く経過し、Preferred Networks自身もPLaMo 2、PLaMo 3へと世代を進めています。
この数字を「現在のモデル性能全般でGPT-3.5を上回る」と読むのは適切ではありません。それでも、10億パラメータで13倍規模のモデルを日本語タスクで上回った事実は、SLMという方向性の可能性を示しています。白書がこのデータを引いた意図も、最新性ではなく方向性の提示にあると読めます。
なおJasterは日本語性能を評価する標準ベンチマークで、GENIACではそのうちNLI、QA、RC、MC、MR、FAの6カテゴリからなるセットが評価に用いられています。全問正解で1点満点という設計です。
国家試験問題で評価されたモデルが、社内環境で動く
もう一つの事例が、東京大学松尾研究室発のスタートアップEQUESによる製薬業界向け特化型LLM「JPharmatron-7B」です。
白書は「薬剤師国家試験や医師国家試験などの成績で、当時公表されていた他モデルを上回る成績を収めた」と記しています。
70億パラメータという規模がポイントです。同社の発表によれば、この軽さゆえに社内ネットワークやローカル環境でも運用できます。
製薬業界が扱うのは、治験データや未公開の化合物情報です。外に出せないデータを扱う業界にとって、「手元で動く」ことは性能と同じ重みを持ちます。ここにSLMの価値が凝縮されています。
EQUESはあわせて、製薬・薬学分野の評価基準そのものが不足している状況を踏まえ、日本薬剤師国家試験・名寄せ・齟齬点検の3タスクからなる独自ベンチマーク「JPharmaBench」を作成して公開しました。同社の発表では、同規模のオープンモデルであるMeditron3-Qwen2.5-7BとLlama-3.1-Swallow-8B-Instruct-v0.3の2モデルとの比較において、全評価項目で上回ったとされています。
モデルだけでなく、測る物差しから作る。領域特化とはそういう作業なのだと、この事例は教えてくれます。
開発は経済産業省とNEDOによるGENIACの一環です。ここでもGENIACが出てきました。
ノエビアスタジアム神戸で試されたもの
3つ目は、実際に現場で試されたシステムです。
楽天モバイル株式会社、エッジAIに強みを持つAWL株式会社、楽天ヴィッセル神戸株式会社の3社が、総務省の「地域社会DX推進パッケージ事業(AI検証タイプ)」として、ノエビアスタジアム神戸で実証を開始しました。各社の発表によれば、開始は2025年6月、実施予定期間は2026年1月までとされています。
構成が巧妙です。
監視カメラの近くに「ファーエッジ」を置き、複数のファーエッジを「エッジサーバー」でつなぎます。ファーエッジには画像認識AIが載り、人物や異常を検知・分析。そして——
エッジサーバーの通信混雑具合とリスクに応じて、情報をテキスト・動画・静止画に圧縮する。
緊急度が低ければ軽いテキストで、重要なら映像で。状況に応じて送るものの形を変え、通信負荷を抑える設計です。エッジサーバーは複数のファーエッジから届いた情報をSLMで統合し、要約と指示を生成して警備員にレポートします。
白書が期待される利点として挙げるのは、クラウドAIと比べて通信の混雑による影響を受けにくいことと、クラウドの高性能GPUを使うより省電力・省コストであることの2点です。なお各社の発表では、通信量の削減や通信負荷の最適化が検証項目として示されています。
大規模施設の警備は、まさに「通信が混む場所で、即時性が要る」用途です。SLMがどこで効くのかを、この事例は具体的に示しています。
フィジカルAIでも、同じ構造が繰り返される
この節のもう一方の柱、フィジカルAIについても触れておきます。
CRDS(科学技術振興機構 研究開発戦略センター)の定義はこうです。センサやアクチュエーターなどの物理的な機構を通じて環境と相互作用し、得られた入力と動作の結果に基づいて知能を獲得・発達させる、身体性を備えた人工知能。
そして日本の位置づけについて、CRDSの資料はこう整理しています。米中は、大規模でデータドリブンな汎用性の実現を重視する。日本は、実用性を重視し、各分野の社会実装に即したロボット技術を活用する分野特化型のアプローチ。
SLMの節で佐藤教授が述べた「領域特化型に注力すべき」と、同じ形です。技術は違うのに、戦略の輪郭が一致している。
佐藤教授はフィジカルAIについても具体的な勝ち筋を挙げています。日本の工場で働いていた熟練者など、作業手順を熟知している人材を活用してAIの学習を進めること。そして現場での実用化では、作業をすべて自動化しようとするのではなく、人間がやるべき作業とロボットに任せるべき作業をうまく切り分けること。
指さし確認の話と、まったく同じ発想です。すでに現場にある「うまくやる方法」を、AIで強化する。
なお白書は、東京大学の触覚センサシート(約20cm四方に476個のセンサ、5本指ハンドに190個)、Thinker株式会社の近接覚センサ、ファナックのオープンプラットフォーム、ugoの「ugoPro」、Preferred Roboticsの「カチャカ」といった具体例を並べています。これらは別の記事で扱うに値する厚みがあります。
GENIACという共通の背骨
この節を通して読むと、ある名前が繰り返し現れます。
GENIAC(Generative AI Accelerator Challenge)。経済産業省とNEDOによる生成AI開発支援プログラムです。
| 事例 | GENIACとの関係 |
|---|---|
| Preferred Networks の視覚言語モデル | 第3期テーマとして採択 |
| EQUES「JPharmatron-7B」 | 第2期として2024年10月に採択 |
| Direava(外科手術支援) | GENIACのテーマ |
| Turing(自動運転) | GENIACのテーマ |
さらに各社の発表まで辿ると、関係の深さが見えてきます。PLaMo Liteの母体となったPLaMo-100Bは、GENIACの支援でフルスクラッチ開発されました。またPLaMo Liteの性能評価では、LLM-jp由来のJasterについて、Preferred Networksが「GENIAC特有のカテゴリセット」と説明する6カテゴリが使われています。
モデル開発と実証事例の多くがGENIACの支援を受け、既存の評価基盤も政策事業のなかで共通の物差しとして使われている。そういう関係です。
白書はこの構図を明示していませんが、並べれば見えてきます。日本の領域特化型AIが公的支援プログラムを土台に育っているという姿です。これは強みでもあり、依存でもあります。支援が途切れたときに自走できるか。ここは今後の焦点になりそうです。
領域特化は、逃げではなく選択か
最後に、この節の主張をどう受け取るかについて。
「汎用では勝てないから特化する」と読めば、後退の言い訳に聞こえます。しかし別の読み方もできます。
SLMがエッジで動くことの価値は、規模の小ささから来ています。データを外に出さない設計にできる。通信への依存を減らせる。省電力である。同じ端末性能、消費電力、通信条件のもとでは、大型モデルが実現しにくい特性です。製薬会社の社内環境で、国家試験問題を含む評価に取り組んだモデルを運用できること、スタジアムの警備が通信混雑の影響を受けにくいこと——どちらも「小さいから可能になった」ことです。
そして指さし確認の例が示すのは、日本の現場に蓄積された業務のやり方が、AIの学習素材として価値を持つという視点です。モデルの性能競争とは別の資産です。
ただし、これが機能する条件があります。前編で見たとおり、日本企業で「生成AIに社内データを学習させたり、参照可能なデータベースを構築したりしている」のは24.5%。中国73.0%、米国57.2%、ドイツ54.4%と比べて大きく下回ります。
現場のやり方から価値を十分に引き出すには、それをデータやルールとして使える形に整える必要があります。業務のやり方で勝つという戦略は、そこにかかっている——筆者はそう読んでいます。
領域特化という選択が正しいかどうかは、まだ判定できません。ただ、白書がこの2つの技術を選び、同じ構造の戦略を2度述べたことは、日本のAI政策の方向性を示す記録として残ります。
【編集部後記】
「指さし確認」という言葉が行政文書に出てきたとき、少し笑ってしまいました。日本のAI戦略を語る資料に、鉄道の現場の所作が例として置かれている。ところが読み進めるうちに、これは笑うところではないと思い直しました。誰も真似していない習慣が、そのまま資産になり得るという話だからです。
ただ、この戦略には条件があります。前編で見た「社内データを学習させたりデータベースを構築したりしている」日本企業は24.5%でした。現場のやり方から価値を引き出すには、それを使える形に整えなければならない。指さし確認をAIに教えるには、まず指さし確認を記録する必要があります。
もう一つ、書きながら考えさせられたことがあります。SLMの定義を整理した表で、白書が引いたIBMの数値と、現在のIBMのページの数値が違っていました。白書の脚注には参照日が書かれています。半年のあいだに、同じページの記述が変わったようです。数字は正確に見えるぶん、出典と日付まで辿らないと分からないことがある。
みなさんの職場にも、外から見れば変わっている「うまくやる方法」があるはずです。それは面倒な慣習でしょうか。それとも、まだ誰も価値に気づいていない資産でしょうか。
なお今回は、白書がSLMと並べて扱ったフィジカルAIには深く踏み込みませんでした。触覚センサ476個のシートや近接覚センサ、ムーンショット目標3の14名のプロジェクトマネージャーなど、それぞれ独立した記事になる材料が残っています。
【用語解説】
小規模言語モデル(SLM):Small Language Modelの略。大規模言語モデル(LLM)に比べてパラメータ数が小さいモデルを指す。厳密な定義は統一されておらず、白書はおおよそ百億パラメータ程度までのモデルをSLMとして取り扱っている。
パラメータ:モデルが学習によって獲得する内部の数値の集まり。モデルの規模を示す目安として用いられる。1Bは10億パラメータを意味する。
エッジデバイス:クラウドに送らず、手元の端末側でデータ処理を行う機器。パソコン、スマートフォン、産業機器、ロボットなどが該当する。SLMは計算量が抑えられているため、こうした環境での実行に適する。
オンプレミス環境:クラウドを使わず、自社の設備内にシステムを設置して運用する形態。機密データを扱う場面で選択される。
RAG(検索拡張生成):外部の資料を検索し、その内容を反映させて回答を生成する仕組み。SLMの知識のカバー範囲の狭さを補う手段として、白書が有効なアプローチに挙げている。
コモディティー化:差別化が難しくなり、一般的な商品として扱われるようになること。白書に登場する有識者は、汎用LLMについてこの見通しを示している。
領域特化型AI:特定の業界や業務に絞って学習させたAI。汎用モデルより軽量でありながら、その領域では高い精度を発揮しうる。
JSQuAD:日本語の質問応答能力を評価するベンチマーク。文章を読んで質問に答える能力を測る。F1は正確さと網羅性を組み合わせた評価指標である。
Jaster:日本語性能を評価する標準ベンチマーク。GENIACでは、そのうちNLI、QA、RC、MC、MR、FAの6カテゴリからなるセットが評価に用いられている。全問正解で1点満点となる。
0shot/4shot:AIに例示を与えずに解かせる方式が0shot、4つの例を与えてから解かせる方式が4shotである。
トークン:AIが文章を処理する際の最小単位。単語や文字の一部に相当する。学習データの量を示す指標として使われる。
フィジカルAI:センサやアクチュエーターなどの物理的な機構を通じて環境と相互作用し、得られた入力と動作の結果に基づいて知能を獲得・発達させる、身体性を備えた人工知能。科学技術振興機構 研究開発戦略センターによる定義である。
アクチュエーター:モーターなど、ものを動かす装置。フィジカルAIが実空間に働きかける際の出力機構にあたる。
ファーエッジ:エッジのなかでも、センサやカメラに最も近い位置に置かれる処理装置。ノエビアスタジアム神戸の実証では、監視カメラの近くに設置され画像認識を担う。
エッジサーバー:複数のファーエッジを接続し、集まった情報を統合・処理する装置。神戸の実証ではSLMを用いて情報を要約し、警備員へのレポートを生成する構成がとられている。
GENIAC(Generative AI Accelerator Challenge):経済産業省とNEDOによる生成AIの開発力強化を目的とした支援プログラム。計算資源の提供や開発・実証の支援などを行う。白書に登場する複数の事例がこのプログラムから生まれている。
地域社会DX推進パッケージ事業(AI検証タイプ):総務省による、地域におけるデジタル技術の実装を支援する事業。ノエビアスタジアム神戸のエッジAI実証はこの枠組みで行われている。
【参考リンク】
総務省|情報通信白書(外部)
白書の入り口となる公式ページ。各形式へのリンク、英語版、昭和48年以降のバックナンバー検索が集約されています。
IBM|小規模言語モデル(SLM)とは(外部)
白書がSLMの定義の一つとして引用したページ。現在はパラメータ数を数百万から数十億の範囲と説明しています。
株式会社Preferred Networks(外部)
PLaMoシリーズを開発する企業の公式サイト。子会社のPreferred Elementsが基盤モデル開発を担っています。
Preferred Networks|PLaMo Liteの提供開始(外部)
2024年8月28日付の発表。本記事のベンチマーク値、4兆トークンでの事前学習、Jasterの説明の原典です。
PLaMo 公式サイト(外部)
PLaMoシリーズのAPIおよびチャットサービスの申込ページ。国産基盤モデルの提供形態を確認できます。
Preferred Networks Tech Blog(外部)
同社の技術ブログ。PLaMoシリーズの開発経緯や評価結果が公開され、モデルの世代交代を追えます。
株式会社EQUES(外部)
東京大学松尾研究室発のAIスタートアップ。製薬分野をはじめとする領域特化型AIの開発と社会実装に取り組みます。
EQUES|製薬特化の大規模言語モデル「JPharmatron-7B」を開発(外部)
70億パラメータで社内ネットワークやローカル環境でも運用できること、JPharmaBenchの構成が記載されています。
Hugging Face|EQUES/JPharmatron-7B(外部)
JPharmatron-7Bの公開ページ。モデルの詳細な仕様と評価結果、利用時の留意点を確認できます。
Hugging Face|EQUES JPharmaBench(外部)
製薬・薬学分野の評価ベンチマーク。日本薬剤師国家試験、名寄せ、齟齬点検の3タスクで構成されます。
AWL株式会社|ノエビアスタジアム神戸での実証(外部)
実証の採択と構成を伝える発表。ファーエッジがリスクレベルと通信輻輳度を判断する仕組みが分かります。
楽天モバイル|ノエビアスタジアム神戸での実証(外部)
実証の目的と構成を説明する発表。テキスト、画像、動画クリップの3段階で情報を送る設計が示されます。
LLM-jp|llm-jp-eval(外部)
Jasterを生成する日本語評価基盤の公開リポジトリ。GENIACで用いられるカテゴリセットの母体です。
Thinker株式会社(外部)
近接覚センサを開発する企業。対象物との距離および姿勢をリアルタイムで計測する技術を扱っています。
ugo株式会社(外部)
2018年創業のロボット開発企業。「ugoPro」は2024年度第11回ロボット大賞優秀賞を受賞しています。
株式会社Preferred Robotics(外部)
Preferred Networksからスピンオフした企業。「カチャカ」は2024年度第11回ロボット大賞総務大臣賞を受賞。
科学技術振興機構 研究開発戦略センター(CRDS)(外部)
本記事で引用したフィジカルAIの定義を示した機関。研究開発の戦略提言を継続的に発信しています。
国立情報学研究所(外部)
白書に登場する佐藤一郎教授が所属する研究機関。情報学の基礎から応用まで幅広い研究を担っています。
【参考記事】
総務省|令和8年版 情報通信白書 PDF版(外部)
第Ⅰ部第2章第2節にSLMとフィジカルAIの記述。本記事の定義、有識者の指摘、図表の原典です。
IBM|小規模言語モデル(SLM)とは(外部)
白書が脚注で示した出典。白書の参照日と現在の記述に差がある点を確認した根拠です。
Preferred Networks|PLaMo Liteの提供開始(外部)
白書が図表Ⅰ-2-2-1の出典に挙げた発表。ベンチマーク値、4兆トークン、開発方法の根拠です。
EQUES|製薬特化の大規模言語モデル「JPharmatron-7B」を開発(外部)
運用環境、JPharmaBenchの3タスク構成、比較対象2モデル、GENIAC採択の出典です。
AWL株式会社|ノエビアスタジアム神戸での実証(外部)
3社の構成と、実証の開始が2025年6月、実施予定期間が2026年1月までであることの出典です。
LLM-jp|llm-jp-eval(外部)
Jasterを生成する評価基盤。JasterとGENIACの関係を確認した根拠です。
Preferred Networks Tech Blog|PLaMo 3シリーズ 8B・31Bの事前学習の検証(外部)
白書引用のベンチマークが2024年時点であり、その後も世代が進んでいることを示す資料です。












