Google「Expert Intelligence」発表|購入した本がGemini NotebookのAI知識源に

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Googleで優先するソースとして追加するボタン

電子書籍をAIに読ませること自体は珍しくありません。今回のGoogle「Expert Intelligence」で注目したいのは、Google Play Booksの対象書籍を、利用資格を確認しながらAIの情報源として使える点です。本を「読む」だけでなく、必要なときに何度も問い直す使い方が始まります。


2026年8月27日、Googleは「Expert Intelligence」を発表した。Google Play Booksの対象電子書籍をGemini Notebookの情報源として追加し、本の内容に基づく質問への回答やInfographics、Audio Overviews、Quizzesの生成が可能になる。開始時点では10万冊以上が対応する。

Google公式ブログでは書籍の所有が必要と説明している一方、公式ヘルプでは購入済みの対象書籍についても追加手順を案内している。今後はGeminiアプリやGoogle検索のAI Modeにも展開する予定だ。

From: 文献リンクGoogle announces ‘Expert Intelligence’ to let you add Play Books in Gemini Notebook

【編集部解説】

「本をAIに読ませる」だけなら、これまでもできた

Gemini Notebookはこれまでも、PDF、Webサイト、YouTube動画、Google Docs、Google Slides、Word、画像など、多様な資料をソースとして追加し、その内容に基づいて質問したり、Audio Overviewなどへ変換したりできました。今回のExpert Intelligenceで重要なのは、単純に電子書籍という新しいファイル形式が追加されたことではありません。Google Play Booksの対象電子書籍を、書籍へのアクセス資格を確認しながら、そのままAIの情報源として利用できるようになったことです。

従来であれば、書籍の内容をGemini Notebookで扱いたいユーザーは、利用可能なPDFなどを自分で用意してソースとして追加する必要がありました。Expert Intelligenceでは、対象書籍であればGemini Notebookの「Add sources」からPlay Booksを選択し、利用可能なタイトルを直接追加できます。自分でPlay Booksへアップロードした書籍は対象外で、出版社側が機能を有効にしていない書籍や、言語・フォーマットの条件を満たさない書籍も利用できません。

「検索するAI」ではなく「この本を根拠に考えるAI」

対象書籍を追加すると、ユーザーは本の内容について質問し、書籍を直接根拠とした回答を得られるほか、Infographics、Audio Overviews、Quizzesなどを生成できます。Gemini Notebookでは回答がNotebook内のソースに限定してグラウンディングされるため、一般的なWeb検索結果から回答する場合とは性質が異なります。

たとえば、ビジネス書を読んだ後に「自分のチームの状況では、この考え方をどう適用できるか」と質問したり、書籍と自分のメモを同じNotebookへ入れて比較したりできます。Googleも、書籍と日記、写真などユーザー自身の情報を組み合わせる利用方法を例示しています。

ここには、電子書籍を「最初から最後まで読むコンテンツ」だけでなく、必要なときに何度も参照し、自分の状況に当てはめる知識源として扱うという設計思想が読み取れます。

アクセス資格をAI利用にも適用する設計

Expert Intelligenceでは、書籍へのアクセス資格がAI利用にも反映されます。Google公式ブログでは対象書籍を利用するには所有が必要と説明しています。一方、Google Playの公式ヘルプでは、購入済みの対象書籍についてGemini Notebookへ追加する手順も案内されています。

Notebookを他人と共有した場合でも、共有相手が同じ書籍へのアクセス資格を持っていなければ、その書籍の内容を利用できません。さらにGoogleの公式ヘルプでは、Play Booksの電子書籍から生成したArtifactsを含むNotebookは公開共有できないと案内されています。

これは、生成AIが書籍の代替物を無制限に配布する仕組みではなく、書籍へのアクセス制御をAI利用にも適用する方向で設計されていることを示しています。Googleは著者や出版社と協力してこれらの制御を設計したとしており、Expert Intelligenceによって新しいコンテンツ発見や著者と読者の接点につなげたい考えも示しています。

日本から使う場合は「英語書籍中心」が現時点の制約

開始時点ではBloomsbury、De Gruyter Brill、Johns Hopkins University Press、Macmillan Publishers、O’Reilly Media、Penguin Random Houseなどの出版社から10万冊以上が対応しています。

ただし、Googleの公式ヘルプでは対象を一部の英語電子書籍としています。現時点で日本語書籍への対応は公式情報から確認できません。対象タイトルはGoogle Play Booksの商品ページにある「Tools」からGemini Notebookの表示を確認できます。

また、Play Booksの電子書籍をソースとして追加・利用できるのは現時点ではGemini Notebookであり、Geminiアプリ側では利用できません。Googleは今後、Expert IntelligenceをGeminiアプリやGoogle検索のAI Modeへ広げ、第三者サービスの購読コンテンツ、ビジネス調査レポート、教科書なども対象にする方針です。

今回の発表は「Geminiが本を読めるようになった」というだけではありません。書籍へのアクセス資格を確認しながら、対象コンテンツをAIの情報源として利用する仕組みをGoogleが作り始めたことがポイントです。今後、書籍だけでなく有料レポートや購読コンテンツまで同じ仕組みで扱われるようになれば、AIに「何を知っているか」ではなく「どの専門知識へのアクセス権を与えるか」が重要になる可能性があります。

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【編集部後記】

本を読み終えたあと、「あの内容、どこに書いてあったっけ」と探し直すことは結構あります。購入した本そのものをAIの知識源として何度も使えるなら、個人的にはかなり便利そうだと感じました。一方で、本を最初から最後まで読む体験と、AIを通して必要な部分だけ取り出す体験は、やはり少し違うものだとも思います。それでも、読んで終わりだった一冊が、その後も相談相手のように残り続けるのは面白い変化です。

皆さんなら、手元にあるどの本を最初にGemini Notebookへ入れてみたいでしょうか。日本語書籍にも対象が広がり、著者や出版社にもメリットのある形でこの仕組みが育っていくことを期待したいです。


【参考リンク】

Gemini Notebook Help(Google公式)(外部)
GoogleのAIリサーチアシスタント「Gemini Notebook」の公式ヘルプ。対応ソース、チャット、Audio Overview、クイズ、Infographicsなど各機能の利用方法を確認できる。

Google Play Books(公式)(外部)
Googleが提供する電子書籍・オーディオブックサービス。Expert Intelligenceでは、対象書籍へのアクセス資格を確認しながらGemini Notebookの情報源として利用する。

Gemini(公式)(外部)
Googleの生成AIアシスタント。Expert Intelligenceは今後Geminiアプリにも展開する方針が示されているが、Play Books電子書籍との直接対話は現時点ではGemini Notebookに限定されている。

【参考記事】

Expert Intelligence: a new way for you to engage with trusted content|Google(外部)
2026年8月27日のGoogle公式発表。Expert Intelligenceの狙い、10万冊以上の対応書籍、出版社・著者との協力、アクセス制御、GeminiアプリやAI Modeへの今後の展開を説明している。

Expert Intelligence|Google Play Help(外部)
Expert Intelligenceの利用条件と操作方法を説明する公式ヘルプ。一部の英語電子書籍が対象であること、出版社・言語・フォーマットにより利用できない書籍があること、自分でアップロードした本は対象外であることを確認できる。

Add or discover new sources for your notebook|Gemini Notebook Help(外部)
Gemini Notebookで利用できるソース形式とPlay Books電子書籍の追加方法を説明する公式資料。対象書籍を「Add sources」から直接追加できることを確認できる。

Notebooks in Gemini Apps|Gemini Notebook Help(外部)
Gemini NotebookとGeminiアプリの違いを説明する公式資料。Notebook側では回答がソースだけにグラウンディングされ、Play Booksの対象電子書籍との対話も現時点ではGemini Notebookに限定される。

Use public notebooks and featured notebooks in Gemini Notebook|Google(外部)
Notebookの共有仕様を説明する公式ヘルプ。Play Books電子書籍から作成したArtifactsを含むNotebookは公開共有できないことが明記されている。

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乗杉 海
SF小説やゲームカルチャーをきっかけに、エンターテインメントとテクノロジーが交わる領域を探究しているライターです。 SF作品が描く未来社会や、ビデオゲームが生み出すメタフィクション的な世界観に刺激を受けてきました。現在は、AI生成コンテンツやVR/AR、インタラクティブメディアの進化といったテーマを幅広く取り上げています。 デジタルエンターテインメントの未来が、人の認知や感情にどのように働きかけるのかを分析しながら、テクノロジーが切り開く新しい可能性を追いかけています。

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