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Cohere Command R+ GPT-4やClaude3も凌駕するLLMについてまとめてみた

Cohere Command R+ GPT-4やClaude3も凌駕するLLMについてまとめてみた - innovaTopia - (イノベトピア)

Last Updated on 2024-04-22 14:23 by admin

近年、OpenAIAnthropicなどのAIスタートアップが次々と強力な大規模言語モデル(LLM)を発表し、企業のAI活用を加速させています。
その中で、カナダのAIスタートアップであるCohereが開発した「Command R+」は、実際のビジネスユースケースに最適化された高性能なLLMとして注目を集めています。

Cohereの歴史

Cohereは2019年に、Aidan Gomez、Ivan Zhang、Nick Frosstの3人によってカナダのトロントで設立されました。
特に、CEOのAidan Gomezは、2017年にGoogle Brainの研究チームの一員として、現在の生成AIの基礎となるTransformerモデルを提唱した論文「Attention is All You Need」の著者の1人です。Cohereは設立後まもなく、Index VenturesやRadical Venturesから4,000万ドルを調達し、ジェフリー・ヒントンやフェイフェイ・リなどの著名な研究者からも個人投資を受けました。
その後、2022年5月には2.5億ドルの資金調達を行い、NVIDIAやSalesforceなどが出資に名を連ねました。2023年6月には2.7億ドルのシリーズCラウンドを実施し、NVIDIAやOracle、Salesforceなどから出資を受け、企業価値は22億ドルに達しました。
同年8月には、新たな資金調達ラウンドに向けた協議を行っていると報じられ、企業価値は30億ドル近くに上ると見られています。

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高い効率性と精度のバランス

Command R+は、高い効率性と強力な精度のバランスを重視して設計されており、企業が概念実証を越えて本番環境でAIを活用することを可能にします。
特に、CohereのEmbedおよびRerankモデルと組み合わせることで、ドキュメントやエンタープライズデータソースからの情報を必要とする高度なAIアプリケーションに対して高い精度を発揮します。

多言語対応と長文脈の処理

グローバルビジネスの現場で活用できるよう、Command R+は英語、フランス語、スペイン語、イタリア語、ドイツ語、ポルトガル語、日本語、韓国語、アラビア語、中国語の10の主要言語で高い性能を発揮します。
また、最大128,000トークンまでの長い文脈の処理が可能なため、複雑なタスクにも対応できます。

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ツール使用機能による自動化

Command R+のツール使用(Tool Use)機能により、開発者はCommand R+をタスクの自動化やCRM、検索エンジンなどの外部ツールを動かすエンジンとして活用できます。
これにより、複数のシステムにまたがる時間のかかる手作業を自動化し、ビジネスの効率化を図ることができます。

他社モデルとの比較

OpenAI GPT-4 / GPT-4 Turbo

OpenAIGPT-4は、Command R+と同様に企業向けの高性能なLLMですが、Command R+はToolTalk(Hard)やBerkeley Function Callingなどの主要なベンチマークテストでGPT-4 Turboを上回る性能を示しています。
また、GPT-4は主に英語での対話に特化しているのに対し、Command R+は10言語に対応しているため、グローバルビジネスでの活用に適しています。

Anthropic Claude 3

GoogleやAmazonから出資を受けているAnthropicのClaude 3は、GPT-4を上回る性能を持つとされ、企業向けAIの有力な選択肢の一つです。
Claude 3は、Opus、Sonnet、Haikuの3つのモデルから構成され、それぞれ異なる性能と用途に特化しています。
また、写真、表、グラフ、技術図面など、幅広い視覚フォーマットを処理できるマルチモーダル機能を備えています。
一方、Command R+は、より実践的なビジネスユースケースに特化し、高速かつ低コストで動作することを重視しています。

Google PaLM

GoogleのPaLMは、100以上の言語に対応し、会話の微妙なニュアンスまで理解できる高度な文脈理解能力を持っています。
ただし、PaLMはまだ研究段階のモデルであり、企業向けのサービスとしての提供は限定的です。

Microsoft Azure OpenAI Service

MicrosoftはOpenAIへの出資に加え、独自のAzure AIモデルカタログでMistral-Largeなどの大規模言語モデルを提供しています。
CohereはMicrosoftと提携し、Command R+をAzureで利用可能にすることで、Microsoftの大規模言語モデルとも協調・競合の関係にあります。協調面としては、Azure上でCommand R+を使用したいユーザーにとっての利便性向上や、Cohereにとっての大規模クラウドプラットフォームを通じたサービス提供のメリットがあります。
一方、競合面としては、MicrosoftのOpenAIモデルやMistral-Largeなどの独自モデルが、企業向けAIサービスとしてCommand R+と競合する可能性があります。ただし、この協調と競合のバランスは、両社の戦略次第で変化する可能性があり、今後も注目すべき点の一つだと言えるでしょう。

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データプライバシーとセキュリティ

Cohereは顧客企業のデータプライバシーとセキュリティを重視しており、プライベートなLLMの展開やデータ共有のオプトアウトなどに対応しています。
クラウドベンダーに依存せず、企業が望むセキュアな環境でCommand R+を活用できる点も大きな特徴です。

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まとめ

Cohere Command R+は、企業のAI活用を加速させる強力なツールとして大きな可能性を秘めています。
Transformerモデルの提唱者を創業メンバーに迎え、著名な研究者や大手テック企業から支援を受けながら急成長を遂げてきたCohereは、効率性、精度、多言語対応、長文脈処理、ツール連携など、ビジネス向けの機能を備えたCommand R+で他社との差別化を図っています。また、データプライバシーとセキュリティにも配慮した設計は、企業の要求に応えるものと言えるでしょう。
MicrosoftやOracleとの提携により、主要なクラウドプラットフォーム上での利用が可能になることで、さらなる普及が期待されます。AIの活用が企業の競争力を左右する時代において、Cohere Command R+は、OpenAIAnthropicなどの競合他社と並ぶ、有力な選択肢の一つとなるでしょう。
今後、Command R+がどのように企業のDXを推進し、ビジネスの革新をもたらしていくのか、その動向から目が離せません。

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TaTsu
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