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HuggingChat再入門:無料オープンソースAIチャットの進化とPerplexity AIとの比較

HuggingChat再入門:無料オープンソースAIチャットの進化とPerplexity AIとの比較 - innovaTopia - (イノベトピア)

Last Updated on 2024-04-29 21:36 by admin

2023年4月にリリースされたHugging FaceのオープンソースチャットAI「HuggingChat」は、OpenAIのChatGPTに代替するAIチャットボットとして大きな注目を集めました。あれから約1年が経過し、HuggingChatは複数のAIモデルを取り込むなど着実に進化を遂げています。一方、クローズドソースのAIチャットであるPerplexity AIも高い性能で注目を集めています。ここでは、HuggingChatのリリース当初の特徴を振り返りつつ、この1年間で実現された進化の軌跡とPerplexity AIとの比較を交えて解説します。

Hugging Faceの設立とオープンソース活動

Hugging Faceは、2016年にClément Delangue氏、Julien Chaumond氏、Thomas Wolf氏の3人によって設立されました。当初はAIアシスタントアプリを開発していましたが、2017年にオープンソースのNLP(自然言語処理)ライブラリ「Transformers」をリリースし、方向性を転換。以降、同社はオープンソースのAIプラットフォームの提供に注力しています。

創業者のClément Delangue氏はCEOを務め、AIのオープンソース活動を牽引しています。同氏は「AIの民主化」を掲げ、誰もがAIの恩恵を受けられる世界を目指しています。

オープンソースのOpen Assistantがベース

HuggingChatは、ドイツの非営利団体LAIONが開発したオープンソースの対話AI「Open Assistant」をベースにしています。Open AssistantはMetaの大規模言語モデル「LLaMA」の650億パラメータバージョンを利用し、ChatGPTを超えることを目標としたプロジェクトです。

無料で利用可能、複数のAIモデルを選択可能

HuggingChatの大きな特徴は、無料で利用できることです。ログイン(会員登録)は必要ですが、厳しい制限はありません。また、2023年4月のリリース以降、Command R+やLlama 3、Gemmaなど性能や特徴の異なる複数のオープンソースAIモデルが選択できるようになりました。

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HuggingChatで選択できるモデル

日本語対応は改善の余地あり

HuggingChatは日本語にも対応していますが、UIは英語のみで、日本語の精度にも課題があります。リリース当初と比べると改善が進んでいますが、日本語で自然な会話を実現するには、さらなる改善が求められます。

【編集者追記】
UIは確かに英語で、日本語の精度に問題があるとは言いますが、執筆の際に触った感じでは相当なレベルで日本語についてきてくれていると感じました。

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案外日本語も問題ない

商用利用には制限あり

HuggingChatはLLaMA 30Bをベースにしているため、現時点ではライセンス上の制約から商用利用に制限があります。具体的には以下のような制限事項があります。

  • 月間アクティブユーザー数が70万人以下の場合のみ商用利用可能
  • 生成されたコンテンツを販売することは禁止
  • 生成されたコンテンツに基づくサービスの提供は可能だが、ユーザー数に応じた追加ライセンス料が必要
  • ベースモデルのライセンスが変更されない限り、これらの制限は継続

Hugging Face社はこの制限の緩和に向けて取り組んでいるようですが、具体的な変更はまだ発表されていません。商用利用を検討する際は、これらの制限事項を十分に理解し、必要に応じてライセンス条件を確認する必要があります。

ユーザーからの評価は向上傾向

HuggingChatに対するユーザーの評価は、リリース直後は性能面の課題を指摘する声もありましたが、その後のアップデートで徐々に改善されつつあります。オープンソースならではのコミュニティ主導の改善に期待する声も多いようです。

iOS版アプリのリリースとAndroidユーザーの利用方法

HuggingChatは当初Webブラウザからの利用のみでしたが、2023年4月25日頃にiOS版のアプリがApp Storeでリリースされました。一方、Android版アプリはまだリリースされていません。

ただし、AndroidユーザーもGoogleChromeなどのWebブラウザを使ってHuggingChatのWebサイトにアクセスすれば、iOSアプリと同様にAIチャットを利用することができます。OSの違いによる利用制限はほとんどありません。

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App StoreでのHuggingChat

HuggingChat Assistants

Hugging Faceはユーザーがカスタム AIチャットボットを作成できる「HuggingChat Assistants」もリリースしました。HuggingChat Assistantsは無料で簡単に作成でき、好みのAIモデルを選択し、アシスタントの名前やアバター、役割を設定するだけで、わずか数クリックでカスタムアシスタントを作れます。

Hugging Faceの有料プランのメリット

HuggingChatやHuggingChat Assistantsは無料で利用できますが、Hugging Faceには有料プランも用意されています。有料プランのメリットは以下の通りです。

  • プライベートモデルやデータセットの非公開での共有・管理
  • 推論APIの利用(無料プランではCPUのみ、有料プランではGPUも利用可能)
  • プロジェクトのプライバシー設定のカスタマイズ
  • 優先サポート
  • 新機能へのアーリーアクセス

一般ユーザーは無料プランで十分活用できますが、企業などは用途に応じて有料プランの検討が必要になるでしょう。

HuggingChatとPerplexity AIの比較

HuggingChatは、オープンソースのチャットAIとして新たな選択肢を提供しています。一方、同じくオープンソースのPerplexity AIは、GPT-4やClaude 3など高性能の大規模言語モデルを採用し、ウェブ検索機能やファイルのアップロード、APIとの連携など多彩な機能を備えています。

性能面では、現時点でPerplexity AIの方が優れていると言えます。Perplexity AIは有料プランの収益を開発に投資することで、着実に性能を向上させています。一方、HuggingChatは完全無料で気軽に利用できる点が大きなアドバンテージです。また、オープンソースならではのコミュニティ主導の開発により、今後さらなる進化を遂げていく可能性を秘めています。

ただし、Perplexity AIの無料プランでは一部機能に制限があり、高度な活用にはコストがかかります。HuggingChatとPerplexity AIは、どちらもアシスタントAI経由で複数のLLMとWebサーチ機能を使えるAIチャットサービスとして目が離せませんが、ニーズに応じて使い分けるのが良いでしょう。

Hugging Faceの新たな挑戦

創業者のDelangue氏は「HuggingChatは、オープンソースのAIを民主化する重要な一歩だ」と述べています。Hugging Faceは今後も、オープンソースの力を活かしてAI分野のイノベーションを牽引していくことでしょう。

商用利用の制限には注意が必要ですが、AIチャットの世界に新風を吹き込むHugging Faceの挑戦は、業界に大きなインパクトを与えるものと期待されます。HuggingChatに代表されるオープンソースAIチャットとPerplexity AIなどのクローズなAIチャットとの競争によって、この分野のさらなる発展が楽しみです。

【関連記事】
革新的なHuggingChat API、コスト効率と機能性でチャットボット開発を変革!

【参考リンク】
Hugging Faceオフィシャルサイト(外部)
Perplexity AI (Perplexity)オフィシャルサイト(外部)

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TaTsu
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