毎年恒例のAppleの年次開発者会議「Worldwide Developers Conference (WWDC)」が、2024年6月10日から14日まで開催されます。WWDCとは、その名の通り「世界開発者会議」を意味し、Appleが主催する開発者向けのイベントです。しかし、単なる開発者向けイベントにとどまらず、Appleの最新ソフトウェア、ハードウェア、テクノロジーが発表される場として、世界中から注目を集めています。
過去のWWDCで発表された主なトピックを振り返ると、以下のようなものがあげられます。
- 2007年 – iPhone発表
- 2008年 – App Storeとモバイルソフトウェア開発キット発表
- 2011年 – iCloudサービス発表
- 2013年 – iOS 7とフラットデザインの導入
- 2014年 – Swift言語発表
- 2016年 – iOS 10、macOS Sierra、watchOS 3発表
- 2020年 – Apple Siliconの発表、Arm版macOS発表
- 2022年 – iOS 16、iPadOS 16、watchOS 9、macOS Ventura発表
- 2023年 – Vision Pro AR/VRヘッドセット発表
このように、WWDCではAppleの革新的な製品やサービス、ソフトウェアの新機能が数多く披露されてきました。
さて、今年のWWDC24ではどのような発表が行われるのでしょうか。現時点での主な予想は以下の通りです。
iOS 18/iPadOS 18
iPhoneとiPadの次期OSで、大規模な機能強化が予想されています。生成AIの統合により、メッセージアプリ、Siri、Spotlightなどの機能が大幅に向上する見込みです。ホーム画面のアイコンレイアウトのカスタマイズ機能強化や、Apple Mapsへのカスタムルートや等高線マップの追加なども報じられています。
macOS 15
Macの次期OSで、M3チップ搭載の新しいMacBookやMac Proとの連携機能が強化されるでしょう。生産性アプリにも生成AIの機能が統合される可能性があります。
visionOS 2
新ARヘッドセット「Vision Pro」向けのOSで、visionOS 2.0への大型アップデートが予告されています。Macとの連携強化、Personasアバターの改善、Bluetooth マウスサポートなどの新機能が期待されています。
AI/生成AI
Appleが独自開発したAIモデルの詳細が明らかになるかもしれません。生成AIをデバイス内で動作させる新しいアプローチが披露される見込みで、プライバシーとセキュリティを重視したAI活用の方針が示されるでしょう。
ハードウェア
M3チップを搭載した新しいMacBookやMac Proが発表される可能性があります。Vision Proの国際発売時期も明らかになるかもしれません。
Appleは長年、AIやマシンラーニングの分野で着実に実績を重ねてきました。現在のAI関連の主な取り組みとしては、以下のようなものがあげられます。
- 機械学習とAI専門のエンジニアチームを擁し、教師あり/なし学習、生成モデル、時系列学習、マルチモーダル入力など、幅広い分野を研究開発している。
- 自然言語処理の分野で、自然言語理解、機械翻訳、音声認識などの研究を行っている。Siri、音声読み上げ、音声認識フレームワークなどの製品開発にも携わっている。
- コンピュータビジョンの分野で、物体検出、画像認識などのアルゴリズム開発を行っている。ARKitなどのフレームワークにも貢献している。
- 機械学習プラットフォームであるCore MLの開発を行い、ヘルスケア、アクセシビリティ、プライバシーなどの分野でAIを活用している。
このように、Appleはハードウェア、ソフトウェア、アルゴリズムの全ての側面からAI技術の研究開発を行っており、今回のWWDC24でもAIに関する重要な発表が期待されています。
生成AIの分野では、他社に比べて遅れをとっていたAppleですが、プライバシーを重視しつつ、革新的なユーザー体験を実現できるかが注目されます。デバイス内でのAI処理を重視する一方で、クラウドベースのAIサービスとの連携も模索しているようです。
WWDCはAppleの最新戦略が明らかになり、テクノロジーの行方を占う上で欠かせないイベントです。今年はAIとARが大きな注目を集めそうですが、Appleならではの斬新なアプローチにも期待がかかります。開発者のみならず、一般ユーザーにとっても見逃せないイベントとなりそうです。
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