Last Updated on 2024-06-13 07:03 by admin
Adobeは、PhotoshopやSubstance 3Dのユーザーからの懸念を受け、利用規約(ToS)の言葉遣いを見直した。同社は、ユーザーがAdobeに無制限のアクセス権を与えることを示唆する内容の調整を発表したが、これによりユーザー生成コンテンツをAIモデルのトレーニングに使用する意図があるとの疑念が生じた。
Adobeは、顧客のコンテンツを使って生成AIをトレーニングしないと説明し、この声明を利用規約に追加することで、Adobeが許可を得たライセンスコンテンツや著作権が失効した公共ドメインのコンテンツのみを使用してAdobe Fireflyをトレーニングしていることを強調した。
しかし、いくつかのアーティストは、自分の作品を参照する画像がAdobeのストックプラットフォームにあることを発見した。Adobeは、利用規約をより早く現代化すべきだったと認め、技術の進化に伴い、日常業務だけでなく、法的要件を簡潔に説明する言語も進化させる必要があると述べた。
また、ユーザーからの信頼を得るためにはフィードバックを真剣に受け止め、新たな変更の議論の土台とする必要があると認識している。Adobeは、顧客が自分のコンテンツを所有しており、製品改善プログラムからオプトアウトする選択肢があり、ローカルに保存されたコンテンツをスキャンしないことを強調している。
Adobeは6月18日に新しい利用規約を発表し、顧客の作品に対してAdobeが許可されていることをより明確にすることを目指している。
【編集者追記】用語解説
- Photoshop:
Photoshopは、Adobeが開発した画像編集ソフトウェアです。ピクセルベースの画像、ラスター画像、ベクター画像の編集に多くの機能を備えています。レイヤーベースの編集システムを使用し、透明性をサポートする複数のオーバーレイでラスター画像の作成と変更ができます。プロ用途に設計されていますが、初心者でも使用できるチュートリアルが多数あります。 - Substance 3D:
Substance 3Dは、Adobeが提供する3Dアセット作成ツールのスイートです。Substance Designer、Substance Painter、Substance Sampler、Substance Stagerなどのアプリで構成されています。3Dモデルの作成、テクスチャリング、マテリアル作成、3Dシーンのレンダリングなどが可能です。ゲームやVFX、アニメーション制作で広く使われています。 - Adobe Firefly:
Adobe Fireflyは、Adobeが開発した生成AIモデルのファミリーです。テキストプロンプトから画像やテキストエフェクト、3Dアセットなどを生成できます。Creative Cloudアプリに統合されており、クリエイターのワークフローを加速させることを目的としています。ウェブブラウザから無料で利用できる制限付き版と、有料のプレミアム版があります。
【参考リンク】
Adobe Inc.オフィシャルサイト(外部)
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【ニュース解説】
Adobeが最近、PhotoshopやSubstance 3Dなどの製品に関する利用規約(ToS)の更新を行い、その内容が大きな議論を呼んでいます。この更新では、Adobeがユーザーから提供されたコンテンツに対して広範なアクセス権を持つことが示唆され、特にユーザー生成コンテンツをAIモデルのトレーニングに使用する可能性があるとの懸念が生じました。これに対し、Adobeは顧客のコンテンツをAIトレーニングに使用しないと明言し、利用規約にこの旨を追加することでユーザーの不安を和らげようとしています。
この問題は、AI技術の進化とそのトレーニングに使用されるデータの出所に関する広範な議論の一部です。Adobeは、自社のAIツールであるAdobe Fireflyをトレーニングする際に、Adobeがライセンスを持つコンテンツや著作権が失効した公共ドメインのコンテンツのみを使用していると説明しています。しかし、一部のアーティストは自分の作品がAdobeのストックプラットフォームで無断で使用されていることを発見し、この説明に疑問を投げかけています。
この一連の出来事は、利用規約の言葉遣いとその透明性の重要性を浮き彫りにしています。Adobeは、技術の進化に伴い、法的な言語もまたユーザーにとって理解しやすい形で進化させる必要があると認めています。また、ユーザーからの信頼を獲得し維持するためには、フィードバックを真摯に受け止め、それをもとに改善を図ることが不可欠であるとの認識を示しています。
Adobeが提案する新しい利用規約は、ユーザーが自分のコンテンツに対する所有権を保持し続けること、製品改善プログラムからのオプトアウトが可能であること、そしてAdobeがローカルに保存されたコンテンツをスキャンしないことを明確にすることを目的としています。これらの変更は、ユーザーと企業間の信頼関係を強化し、透明性を高めることに寄与するでしょう。
この問題は、デジタルコンテンツの所有権、プライバシー保護、そしてAI技術の倫理的な使用に関するより広範な議論にも影響を与えます。企業がユーザーのデータをどのように扱うか、そしてそのデータをどのように利用するかについての透明性は、今後も重要な議題であり続けるでしょう。Adobeのこの一連の対応は、他のテクノロジー企業にとっても重要な参考点となり、ユーザーの信頼を獲得し維持するための方針を再考する契機となるかもしれません。
from No AI training in newly distrusted Terms of Service, Adobe says.