Last Updated on 2024-09-13 07:21 by admin
2024年9月11日、Adobe社は新しい生成AI機能「Firefly Video Model」を発表した。この機能は、テキストや画像から動画を生成する「Text to Video」と「Image to Video」、既存の動画を延長する「Generative Extend」の3つの主要機能を含む。
Firefly Video Modelは、2024年後半にAdobe Premiere Proのベータ版に組み込まれる予定で、同時期にFireflyの専用ウェブサイトでも利用可能になる。生成される動画の長さは現在5秒に制限されているが、将来的に延長される可能性がある。
Adobeは、このモデルが商用利用に安全であることを強調している。これは、オープンライセンスのコンテンツ、パブリックドメインのリソース、Adobe Stockの素材のみを使用してトレーニングされているためだ。
また、Adobeは2023年3月にFireflyを最初に発表して以来、すでに120億以上の画像と動画が生成されていると報告している。
Firefly Video Modelは、自然界の映像生成に特に優れており、風景、植物、動物などの映像を生成できる。また、カメラの角度、動き、ズームなどの詳細な制御も可能だ。
from:Adobe previews its upcoming text-to-video generative AI tools
【編集部解説】
まず、この発表の背景には、急速に進化する生成AI技術と、それに伴う動画制作ワークフローの変革があります。Adobeは長年、クリエイティブ業界のスタンダードとして君臨してきましたが、OpenAIやRunwayなどの新興企業が次々と革新的な生成AI技術を発表する中、自社の立ち位置を守るための戦略的な動きと言えるでしょう。
Firefly Video Modelの特徴は、既存の動画編集ワークフローに自然に組み込まれる点です。これは、プロの編集者たちの要望を丁寧にヒアリングした結果だと言えます。具体的には、「Generative Extend」「Object Addition and Removal」「Generative B-Roll」という3つの主要機能が提供されます。
「Generative Extend」は、既存の動画クリップを数秒延長できる機能です。これにより、編集の微調整や、トランジションのカバーなどが容易になります。従来は難しかった「あと少しだけ長く」というニーズに応えられる画期的な機能と言えるでしょう。
「Object Addition and Removal」は、動画内の物体を追加・削除する機能です。例えば、撮影時に映り込んでしまったマイクを消したり、逆に必要な小道具を後から追加したりすることができます。これにより、再撮影のコストを大幅に削減できる可能性があります。
「Generative B-Roll」は、テキストプロンプトから動画クリップを生成する機能です。これにより、ストックフッテージを探す手間が省け、また撮影が困難な場面や架空の概念を視覚化することも可能になります。
これらの機能は、動画制作の効率を飛躍的に向上させる可能性を秘めています。特に、短納期や低予算のプロジェクトにおいて、その真価を発揮するでしょう。