Metaは独自のAI検索エンジンの開発を進めている。この検索エンジンは、Googleに対抗する新しいサービスとなる見込みだ。
The Financial Timesの報道によると、Metaは現在、AIを活用した新しい検索エンジンの開発を行っており、これはウェブ全体をクロールして情報を収集する機能を持つ。この新サービスは、Metaの生成AIチャットボット「Meta AI」の機能を拡張するものとなる。
開発プロジェクトは、Meta CEOのMark Zuckerberg氏の指示のもと、2023年後半から本格的に進められている。現在はMetaの検索チームとAIチームが協力して開発を行っている。
新しい検索エンジンは以下の特徴を持つ:
– ウェブ全体をクロールして情報を収集
– リアルタイムの情報を取得可能
– 生成AIを活用した検索結果の提供
– MetaのAIチャットボットと統合された機能
なお、Metaは現在Microsoft Bingと提携しており、InstagramやWhatsAppなどのプラットフォームでBingの検索機能を利用している。この提携は2024年も継続している。
from Meta is reportedly working on its own AI-powered search engine, too
編集部解説
Metaが独自の検索エンジンを開発するというニュースは、検索エンジン市場に大きな影響を与える可能性がある動きとして注目されています。
現在の検索エンジン市場は、Googleが約91.62%、MicrosoftのBingが3.37%、Yahoo!が2.6%のシェアを占めており、Googleの圧倒的な優位が続いています。この状況下でMetaが新規参入を試みることは、市場に大きな変化をもたらす可能性があります。
特に注目すべきは、MetaがすでにInstagram、Facebook、WhatsApp、Messengerなど、数十億人規模のユーザーベースを持っているという点です。これらのプラットフォームに検索機能を統合することで、既存のユーザーを自然な形で新しい検索エンジンに誘導できる強みがあります。
また、MetaはすでにLlama 3という強力なAIモデルを開発しており、このモデルは既存のAIモデルと比較しても高いパフォーマンスを示しています。このAI技術と検索エンジンを組み合わせることで、従来の検索エンジンとは異なる、より知的な検索体験を提供できる可能性があります。
また、競合となるOpenAIも独自のAI検索エンジンを開発しています。
OpenAIは「SearchGPT」という独自のAI検索エンジンを開発中で、2024年7月にプロトタイプを発表しました。SearchGPTの特徴は、ウェブ全体をクロールして最新情報を取得し、AIが直接的な回答を提供する点です。重要なのは、OpenAIが出版社との協力関係を重視し、パブリッシャーがコンテンツの表示方法を管理できるツールを提供する計画を持っている点です。
一方で、懸念される点もあります。Metaは現在、検索機能においてMicrosoft Bingと提携関係にあり、この新しい取り組みが既存の提携関係に与える影響も注視する必要があります。
さらに、検索エンジン市場への参入には莫大なインフラ投資が必要です。Googleは世界中に多数のデータセンターを持ち、毎日膨大な量のウェブページをクロールしています。Metaがこのレベルのインフラを構築できるかどうかも、成功の鍵を握るでしょう。
プライバシーの観点からも重要な課題があります。Metaは既にソーシャルメディアを通じて大量のユーザーデータを保持しており、検索データも収集することになれば、データプライバシーに関する新たな懸念が生じる可能性があります。
長期的な展望として、この動きはAIと検索の融合という大きなトレンドの一部として捉えることができます。GoogleもBard(現Gemini)を通じてAI検索の強化を進めており、今後はAIを活用した新しい検索体験が標準になっていく可能性が高いと考えられます。
参考情報
【用語解説】
– クロール(Crawl):ウェブ上の情報を自動的に収集する作業。スパイダーやクローラーと呼ばれるプログラムが、ウェブページを巡回して情報を集めます。
– Llama:Metaが開発している大規模言語モデル(LLM)。オープンソースで公開されており、他社や研究者も利用可能です。
– リアルタイム検索:最新の情報をリアルタイムで取得できる検索機能。従来の検索エンジンは情報の更新に時間がかかりますが、この機能により最新情報へのアクセスが可能になります。
【関連サイト】
【関連動画】
MetaAiの紹介動画