Anthropic社は2024年12月12日、最新のAIモデル「Claude 3.5 Haiku」を一般ユーザー向けに提供開始した。2024年10月22日の発表、11月5日のAPI提供開始に続く展開となる。
主な特徴
- 200,000トークンのコンテキストウィンドウ
- First Token生成までの時間は0.8秒
- 出力速度は65.1トークン/秒
主要ベンチマークスコア
- SWE-bench Verified:40.6%
- HumanEval:88.1%
- MMUL:65.0%
価格設定
- API利用時:入力100万トークンあたり0.80ドル、出力100万トークンあたり4ドル
- Claudeチャットボット:無料版(1日約10回の交換)とPro版(月額20ドル)
【編集部解説】
まず注目すべきは、このモデルの位置づけの変化です。Claude 3シリーズでは「高速で安価な入門モデル」という立ち位置でしたが、3.5では「高速かつ高性能なプレミアムモデル」へと進化しています。これは価格設定にも表れており、入出力料金が4倍になっています。
性能面では特筆すべき進歩が見られます。コーディングベンチマークのSWE-bench Verifiedで40.6%のスコアを達成し、以前のフラッグシップモデルであるClaude 3 Opusを上回る性能を示しています。これは、AIモデルの小型化と高性能化の両立という技術的なブレークスルーを示唆しています。
実用面での大きな特徴は応答速度です。First Token生成までわずか0.36秒という高速性は、ChatGPTなど他の主要なAIチャットボットと比較しても優位性があります[2]。この即応性は、カスタマーサービスや教育プラットフォームなどリアルタイムの対話が重要な場面で特に価値を発揮するでしょう。
ただし、現時点ではいくつかの制限もあります。画像生成やウェブブラウジング機能は非搭載で、これらの機能を必要とするユーザーは他のモデルを検討する必要があります。
興味深いのは、AnthropicがAPI提供とチャットボット提供を並行して展開している点です。API経由での利用は従量課金制、チャットボットは月額定額制と、用途に応じて選択できる柔軟な提供形態を採用しています。
このモデルの登場は、AIの民主化にも一石を投じています。高性能なAIモデルを、より手頃な価格で提供することで、中小企業やスタートアップにも先進的なAI活用の門戸を開いています。
今後の展望として、このモデルはAIアプリケーション開発の新たな標準となる可能性があります。特に、高速なレスポンスと高度な推論能力の両立は、これまでのトレードオフを超える新しいユースケースを生み出すかもしれません。
ただし、モデルの高性能化に伴う責任の問題も考慮する必要があります。Anthropicは安全性評価を重視していますが、ユーザー側でも適切な利用ガイドラインの策定が求められるでしょう。