Last Updated on 2025-03-24 11:43 by admin
Metaが最近InstagramでAI生成コメント機能のテストを開始していることが明らかになった。この機能は「Write with Meta AI」と呼ばれ、新しいソーシャルメディア機能をよくテストするXユーザーのJonah Manzanoによって発見された。
TechCrunchが2025年3月21日に報じたこの機能では、投稿の下にあるテキストバーの横に鉛筆アイコンが表示され、タップするとMeta AIにアクセスできるようになる。
Meta AIは写真を分析し、コメントの3つの提案を生成する。例えば、リビングルームで笑顔の人の写真に対して「かわいいリビングルームのセットアップ」などのコメントを提案する。気に入らない場合は更新して他の提案を得ることも可能である。
Metaの広報担当者はTechCrunchに対し、「定期的にアプリ全体でMeta AIを使用するための機能をテストしている」と述べ、DMだけでなくコメント、フィード、グループ、検索などの領域でもMeta AIを活用する方針を示した。
Metaは2024年にもFacebookでAI生成コメントの要約機能をテストしており、今回のInstagramでのテストはその延長線上にあるものと見られる。ただし、この新機能がいつ、あるいは広く一般ユーザーに展開されるかは現時点では不明である。
from:Meta spotted testing AI-generated comments on Instagram
【編集部解説】
Metaが新たに展開するInstagramのAIコメント機能は、ソーシャルメディアの交流のあり方に新たな変化をもたらす可能性を秘めています。複数のメディアが報じているこの機能は、単なる利便性向上ツールなのか、それとも人間同士の交流の本質を変えてしまうものなのか、多くの議論を呼び起こしています。
この「Write with Meta AI」機能の仕組みを詳しく見てみましょう。ユーザーは投稿下のテキストバー横に表示される鉛筆アイコンをタップすることで、Meta AIによるコメント提案を受けることができます。AIは投稿写真を分析し、コンテキストに合った3つのコメント候補を生成します。例えば、リビングルームで笑顔の人の写真に対して「かわいいリビングルームのセットアップですね」といった提案をするわけです。
注目すべきは、この機能がMetaの広範なAI戦略の一環であるという点です。Metaの広報担当者が述べているように、同社はDM以外にも「コメント、フィード、グループ、検索」など様々な領域でAIを活用する方針を明確にしています。これはユーザー体験の向上という側面だけでなく、AIの学習データ収集という側面も持ち合わせているでしょう。
この機能がもたらす可能性としては、コミュニケーションの敷居を下げるという点が挙げられます。言葉に詰まったり、適切な表現が思いつかなかったりする場合に、AIの提案が会話のきっかけになるかもしれません。特に社会不安を抱える人々にとっては、オンラインでのコミュニケーションを容易にする助けになる可能性もあります。
一方で、この機能は「存在しない問題への解決策」とも言えます。コメントを書くという行為はそれほど難しいものではなく、それをAIに委ねることで、人間同士の真のつながりが希薄化する恐れがあるのです。
また、この機能はソーシャルメディアにおける「本物のアカウント」と「ボット」の境界線をさらに曖昧にする可能性があります。Meta自身がAIによる自動コメントを正当化することで、プラットフォーム上の真正性が損なわれる懸念もあるでしょう。
テクノロジーの進化という観点からは、この機能は単なるコメント提案にとどまらず、より広範なAIの社会実装の一部と捉えることができます。これはソーシャルメディアにおけるAIの役割拡大の一例であり、今後他のプラットフォームも同様の機能を導入する可能性があります。
しかし、最も重要な問いは「ユーザーがこの機能を受け入れるか」という点でしょう。テクノロジーは便利さを提供する一方で、人間らしさや真正性を損なってはならないのです。Metaがこの機能をテストし改良していく中で、イノベーションと人間らしさのバランスをどう取るかが鍵となるでしょう。
【用語解説】
Meta(メタ):
以前はFacebook, Inc.として知られていた企業で、Facebook、Instagram、WhatsApp、Threadsなどのソーシャルメディアプラットフォームを所有・運営している。2021年10月に社名を変更し、メタバース構築に注力している。
AI生成コンテンツ:
人工知能が作成したテキスト、画像、音声などのコンテンツ。人間が入力したプロンプトやパラメータに基づいて生成される。InstagramのAIコメント機能もこの一種である。
LLM(Large Language Model):
大規模言語モデルのこと。膨大な量のテキストデータで訓練され、人間のような自然な文章を生成できる人工知能モデル。Meta AIもこの技術を基盤としている。
Meta AI:
Metaが開発した人工知能アシスタント。2023年9月に発表され、テキスト生成、画像生成、情報検索などの機能を持つ。InstagramやWhatsAppなど複数のMetaアプリに統合されている。
【参考リンク】
Meta公式サイト(外部)
Metaの企業理念や製品、取り組みについて紹介している公式サイト。2025年現在の最新情報や企業戦略を確認できる。
Meta AI(外部)
Meta AIの機能や特徴を紹介するページ。音声対話や画像分析などの機能を確認できる。
Instagram公式ブログ(外部)
Instagramの新機能や更新情報を公式に発表するブログ。最新の機能アップデート情報を確認できる。
【編集部後記】
皆さんは友人のSNS投稿に、どんなコメントを残していますか?思わず笑ってしまうような冗談、感動を共有する言葉、あるいは単純な絵文字一つかもしれません。そんな何気ないやり取りが、オンライン上での人間関係を形作っています。
もし、AIがコメントを提案してくれる機能があったら使ってみたいと思いますか?便利だと感じるでしょうか、それとも何か違和感を覚えるでしょうか?テクノロジーと人間らしさの境界線は、私たち一人ひとりの選択によって形作られていくのかもしれませんね。皆さんの考えをぜひSNSでシェアしてください。