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Netflix、AIで映画制作を「10%良く・50%安く」 – ジェームズ・キャメロンの発言にサランドスCEOが見解

 - innovaTopia - (イノベトピア)

Last Updated on 2025-04-21 15:05 by admin

2025年4月18日、Netflixの共同CEOテッド・サランドスは第1四半期決算説明会で、AIの映画制作活用についてコメントした。

サランドスは、映画監督ジェームズ・キャメロンが「AIで大作映画の制作費を半分にできる」と発言したことに触れつつ、「AIによって映画制作が50%安くなるだけでなく、10%良くなる可能性がある」と述べた。

NetflixではすでにAIをVFXやプリビズ、ショットプランニングなど多様な制作工程で活用しており、従来は高予算作品に限られていた高度な映像表現が、低予算作品でも実現できるようになっている。

2019年公開の『アイリッシュマン』では高額なVFX費用がかかったが、2024年の『ペドロ・パラモ』ではAIの活用により、同等の効果を大幅なコスト削減で実現したという。Netflixは今後もAIをクリエイターや視聴者体験の向上に活用していく方針を示している。

from:Ted Sarandos Responds To James Cameron’s Vision Of AI Making Movies Cheaper: “There’s An Even Bigger Opportunity To Make Movies 10% Better”

【編集部解説】

NetflixのサランドスCEOがAIによる映画制作の質向上とコスト削減について語った今回の発言は、映像業界におけるAI導入の現状と将来像を象徴しています。これまでVFXやデエイジングといった高度な映像技術は、巨額の予算を持つ大作映画の特権でした。しかし、AI技術の進化により、低予算作品でも高品質な映像表現が可能となり、映像制作の民主化が進んでいます。

ジェームズ・キャメロン監督もAI活用に前向きな姿勢を示しており、2024年にはAIスタートアップ「Stability AI」の取締役に就任しています。キャメロン監督は「AIによる雇用喪失ではなく、効率化によってクリエイターがより創造的な仕事に集中できる環境を目指す」と述べています。

AI導入のメリットは、コスト削減や制作スピードの向上にとどまらず、クリエイターが本質的な創作活動に集中できる環境が整う点にあります。一方で、AIによる自動化がクリエイティブ職の一部を代替するリスクや、著作権・倫理に関する新たな課題も浮上しています。2023年のハリウッド脚本家・俳優組合のストライキでも、AIによる雇用リスクや知的財産の扱いが大きな争点となりました。

今後は、AIをどのように責任ある形でクリエイティブ産業に統合していくかが問われます。Netflixは「AIでクリエイターと視聴者の体験を向上させる」ことを目指しており、単なる自動化やコスト削減ではなく、より豊かな映像体験の創出に注力しています。AIの進化がもたらす映像制作の変革は今後さらに加速すると考えられますが、クリエイターの創造性や権利を守るためのルール作りも不可欠です。

【用語解説】

VFX(Visual Effects/視覚効果)
CGや合成などを用いた映像の特殊効果。AIの導入で制作コスト低減や表現力向上が期待されている。

デエイジング(De-aging)
俳優の顔や体をCG処理で若返らせる技術。従来は高コストだったが、AIの進化で低予算でも実現可能になっている。

【参考リンク】

Netflix公式サイト(外部)
世界最大級の動画配信サービス。映画・ドラマ・アニメなど多彩なコンテンツを提供。

Stability AI公式サイト(外部)
画像生成AI「Stable Diffusion」などを開発する英国発のAI企業。2024年、ジェームズ・キャメロンが取締役に就任した。

Ted Sarandos(IICプロフィール)(外部)
Netflix共同CEOテッド・サランドスの略歴と業績をまとめている。

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りょうとく
主に生成AIやその権利問題について勉強中。
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