Last Updated on 2025-04-25 23:41 by admin
OpenAIが開発した対話型AI「ChatGPT」は2024年時点で年間1,058.5GWh（10億585万kWh）の電力を消費している。この電力は米国の電気自動車約313万台をフル充電可能な量に匹敵する。
1リクエストあたりの消費電力は従来モデルで2.9Wh（Google検索の約10倍）だが、2024年5月に発表されたモデル「GPT-4o」では0.3Whまで効率化された。
2024年12月時点の週間アクティブユーザーは3億人に達する。大規模言語モデルの学習時消費電力はGPT-3で1.29GWh、GPT-4で62.3GWhを記録し、AIの高度化に伴うエネルギー問題が顕在化している。年間の電力コストは約1億3,970万ドル（1kWhあたり0.132ドル換算）で、1リクエストあたり0.00038ドルのコストが発生する。
from：ChatGPT consumes enough power in one year to charge over three million electric cars
【編集部解説】
ChatGPTのエネルギー消費に関する議論は、2023年から2025年にかけて大きく変化しています。従来は「1リクエストあたり約3Wh」「年間1,058.5GWh」など高い推計値が広く流布されてきましたが、2024年5月に登場した最新モデルGPT-4oでは、1リクエストあたりの消費電力が0.3Wh程度まで大幅に低減したという最新の研究結果が相次いで発表されています。
この効率化の背景には、AIモデル自体の改良やNVIDIA H100のような新世代チップの導入、データセンターの稼働率や冷却効率の向上など、複数の技術的進歩があります。従来の「3Wh」という数値は、旧世代のハードウェアや過大なトークン数を前提にした推計であり、現在の標準的な運用環境には当てはまらないことが明らかになっています。
ただし、ChatGPT全体の年間電力消費量は依然として大きな規模にあります。BestBrokersなどの調査では、2024年末時点で週3億人、1日10億件のリクエストが処理されており、年間消費電力量は約1,058.5GWhに達すると見積もられています。
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BestBrokersでの詳細な記述
AIの電力需要：年間3650億件以上のユーザークエリを処理するChatGPTの電力消費量を計算
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これはバルバドス（人口約28万人、種子島と同じくらいの面積の国）の年間消費電力に匹敵し、米国の家庭10万世帯分以上の消費量に相当します。一方、Balkan Green Energy Newsで報じられた「年間226.8GWh」という数値は、リクエスト数や計算方法の違いによるもので、実際の規模感はさらに大きいと考えられます。
AIのエネルギー消費は今後も増加が予想されており、国際エネルギー機関（IEA）は2026年までにAI関連の電力需要が2023年比で10倍に拡大すると予測しています。EUではAI法（EU AI Act）により、エネルギー効率や消費量の開示義務が段階的に導入され、企業の透明性や持続可能性が強く求められる時代に突入しています。
AIの社会実装が進むことで、データセンターの電力需要やCO2排出量、水資源の消費など、環境負荷に対する懸念も高まっています。一方で、AI技術の進化は産業効率化や省エネ制御、再生可能エネルギーの最適運用など、持続可能な社会への貢献も期待されています。今後は、モデルの軽量化やグリーン電力の活用、国際的な規制・基準の整備が不可欠となるでしょう。
【用語解説】
GPT-4o
2024年5月に発表されたOpenAIの最新モデル。「omni」を意味する「o」が示す通り、テキスト・音声・画像のマルチモーダル処理に特化し、従来モデル比3倍のエネルギー効率を実現した。
【参考リンク】
OpenAI公式サイト（外部）
ChatGPTやGPT-4oなどOpenAIのAI技術・研究・サービスの公式情報を掲載している。
BestBrokers（外部）
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