Last Updated on 2025-04-30 07:27 by admin
ナターシャ・リヨン(米国の俳優・監督)は、生成AIを活用した新作SF映画『Uncanny Valley(アンキャニー・バレー)』の監督・主演を務めることが2025年4月29日に発表された。
脚本はリヨンとブリット・マーリング(『The OA』共同制作者)が共同執筆し、両名が主演も務める。物語は、人気のバーチャルリアリティ(VR)ゲームによって人生が一変する10代の少女を描く。
本作は、リヨンとブリン・ムーザー(『Body Team 12』『Lifeboat』監督)が共同設立したAI特化型スタジオAsteria(アステリア)が制作し、AIによる映像生成にはMoonvalley(ムーンバレー)社の「Marey(マレイ)」モデルを採用する。
「Marey」は、著作権クリア済み・ライセンス取得済みのデータのみで学習した“クリーン”な生成AIモデルであり、クリエイターへの正当な報酬を保証している。
Asteriaは本作を「アーティスト主導の倫理的AI活用」と位置づけ、従来の実写映画制作と最先端AI技術を融合させる。制作スケジュールや公開形式(劇場・配信)は未定。2023年のハリウッド業界ストライキや、2025年3月に400人以上のアーティストがAIの著作権問題に抗議した背景もあり、倫理的なAI活用の先例となることが期待されている。
from:Natasha Lyonne to direct and star in a new sci-fi film created with generative AI
【編集部解説】
『Uncanny Valley』は、生成AIと実写映像制作の融合という、ハリウッドでも最先端の試みです。AsteriaスタジオとMoonvalley社の「Marey」モデルは、著作権クリアなデータのみで学習されている点が大きな特徴で、従来のAI映像生成が抱える法的・倫理的リスクを回避しています。これは、AI業界全体でも非常に注目されているアプローチです。
AI技術の進化により、映像制作のコスト削減や短期間での高品質なビジュアル生成が可能になり、クリエイターの創造性を拡張する効果が期待できます。一方で、AIが生み出す映像が人間の感性や独創性にどこまで迫れるか、また「AIによる表現」が観客にどう受け入れられるかは未知数です。
2023年のハリウッドストライキや、2025年3月のアーティストによるAI抗議書簡など、AI活用に対する社会的関心も高まっています。今後は、AIと人間の協働による新しい映像表現や、業界全体でのルール策定が求められるでしょう。倫理的なAI活用がどこまで浸透し、映画制作の現場や作品そのものを変革していくか、今後も注視していきたいテーマです。
【用語解説】
クリーンAIモデル:
著作権クリアなデータのみで学習したAI。法的・倫理的リスクが低い。
倫理的AI:著作権・多様性・透明性・同意などに配慮したAI活用。
【参考リンク】
Asteria(Variety記事)(外部)
AI映像制作スタジオAsteriaの紹介記事。AIと伝統的アニメ技術の融合を解説。
Moonvalley(Fast Company記事)(外部)
AI動画生成モデルMareyの詳細。映像制作向けの高解像度AI技術を紹介。
Marey公式リリース(BusinessWire)(外部)
Mareyの特徴・機能・倫理性について解説。著作権クリアなAI活用の詳細。
倫理的AI解説(No Film School)(外部)
映画業界における倫理的AIの考え方を解説。バイアスや権利保護について。
【参考動画】
【編集部後記】
AIが映画制作の現場でどこまで活躍できるのか、そして「クリーンなAI」が本当に新しい表現の扉を開くのか――みなさんはどう感じますか?
もしご自身がクリエイターや観客だったら、AIが関わった作品にどんな期待や不安を抱くでしょうか。
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