Last Updated on 2025-06-20 17:03 by admin
スターバックスは2025年6月10日、ラスベガスで開催されたリーダーシップ・エクスペリエンスイベントにて、生成AIアシスタント「Green Dot Assist」を発表した。
Green Dot AssistはMicrosoft Azure上のOpenAI技術を基盤とし、米国とカナダの35店舗でパイロット導入される。
バリスタやマネージャーは店内のiPadから利用でき、ドリンクレシピの検索、材料切れ時の代替提案、機器トラブル対応、シフト調整など多様な業務支援を行う。
2026年度(2025年秋開始)には全米・カナダでの本格展開が予定されている。最高技術責任者Deb Hall Lefevreは、業務効率化と従業員支援が目的であると述べた。
CEOブライアン・ニコルの下、同社は売上回復とカフェ本来の体験重視を掲げ、従業員支援型AI導入を推進している。
From: Starbucks brews up AI to support baristas instead of replace them
【編集部解説】
Green Dot Assistは、バリスタやマネージャーが業務中に即座に必要な情報へアクセスできるよう設計されたAIアシスタントです。これまでマニュアル参照や社内ネットワーク検索が必要だったレシピやトラブル対応、シフト調整などを、店内のiPadから自然言語で質問するだけで即時に解決できるようになりました。
材料切れ時の代替提案やフードペアリングの推奨など、現場の柔軟な対応力も強化されます。
このAI導入の背景には、近年の売上低迷や顧客体験の再強化という経営課題があります。無人化や自動化による効率追求だけでは顧客満足度が向上しないという反省から、スターバックスは「人間らしい接客」と「業務効率化」の両立を目指しています。
AIが業務を奪うのではなく、従業員の成長や働きやすさを後押しする役割として位置付けられている点が特徴です。
一方で、AIの誤回答(ハルシネーション)やシステム障害などのリスクも指摘されています。スターバックスはMicrosoftと協力し、情報の正確性を担保する仕組みを導入しています。今後は他業態への波及や、AIと人間の協働による新しい店舗運営モデルの確立が期待されます。
【用語解説】
生成AI:
ユーザーの指示に基づき文章や画像などを生成する人工知能技術。
ハルシネーション:
AIが事実と異なる回答を生成する現象。
フードペアリング:飲み物と食べ物の最適な組み合わせを提案する手法。
【参考リンク】
スターバックス コーヒー ジャパン(外部)
スターバックスの公式サイト。商品情報や店舗検索、企業活動などを掲載。
Microsoft Azure(外部)
マイクロソフトのクラウドサービス公式サイト。AIやデータ分析の最新情報も提供。
OpenAI(外部)
ChatGPTやDALL·Eなどを開発するAI企業の公式サイト。
【参考動画】
【参考記事】
Starbucks’ new game plan to roll out AI chatbots at cafes could serve as a litmus test for the industry(外部)
AI導入の背景や業界への影響、リスクについて分析している。
Starbucks deploys virtual assistant to improve workflows(外部)
Green Dot Assistの業務支援機能や今後の展開計画を紹介している。
Starbucks to roll out Microsoft Azure OpenAI assistant for baristas(外部)
導入イベントや経営戦略、今後の技術拡張について速報している。
Starbucks AI assistant, powered by Microsoft, aims to help baristas focus more on coffee and customers(外部)
イベントの様子や経営陣のコメントを現地レポートとして掲載している。
【編集部後記】
AIが現場を支援するカフェが増える中、みなさんは「人とAIが協力する店舗」でどんな体験を期待しますか?
AIが業務をサポートすることで、バリスタやスタッフはどんな新しい価値を生み出せるでしょうか。ご自身が訪れた際に体験したいサービスや工夫について、ぜひ想像してみてください。