OpenAIのアプリケーション部門CEOフィジ・シモ氏は、2025年12月16日のSubstack投稿で、Apple MusicがChatGPTと統合される予定であることを明らかにした。
OpenAIは同年10月に「Apps in ChatGPT」を開始し、Spotify、Booking.com、Canva、Coursera、Figma、Expedia、Zillowなどが初期パートナーとなった。
シモ氏によると、今後Adobe、Airtable、Apple Music、Clay、Lovable、OpenTable、Replit、Salesforceなどが新設のディレクトリに追加され、開発者は自作アプリを審査のため提出できるようになる。Apple MusicアプリはSpotifyと同様に、自然言語によるプロンプトからプレイリストを作成できる機能を備える見込みだ。
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Apple Music is coming to ChatGPT, OpenAI announces
【編集部解説】
OpenAIとAppleという2つの巨大テック企業の連携は、AI時代における音楽体験の新しい形を示しています。ChatGPTが単なる対話型AIから、日常生活に深く組み込まれたプラットフォームへと進化している証左と言えるでしょう。
今回の統合で注目すべきは、自然言語による音楽検索の可能性です。従来の音楽サービスでは、アーティスト名や曲名を正確に覚えていなければ目的の楽曲にたどり着けませんでした。しかしChatGPTを介することで、「あの映画のあのシーンで流れていた曲」といった曖昧な記憶からでも楽曲を特定できるようになります。
この機能は、Spotifyが2025年10月にChatGPT統合を実現した際にも実装されており、ユーザーから高い評価を得ています。Apple Musicも同様のアプローチを採用することで、プレイリスト作成の労力を大幅に削減し、音楽との出会い方そのものを変革する可能性があります。
一方で、OpenAIが構築しつつあるエコシステムの広がりも見逃せません。Adobe、Salesforce、OpenTableといった多様な領域のサービスがChatGPTに統合されることで、ユーザーは単一のインターフェースから複数のサービスを横断的に利用できるようになります。これはAppleが長年追求してきたエコシステム戦略と類似しており、両社の協業は興味深い意味を持ちます。
Apps SDKのプレビュー終了が示唆されている点も重要です。開発者が自由にアプリを統合できるようになれば、ChatGPTは単なるAIアシスタントから、あらゆるデジタルサービスを統合するハブへと変貌するでしょう。
ただし、プライバシーやデータ管理の観点からは慎重な検討が必要です。音楽の嗜好は個人の内面を反映する情報であり、それがAIによって解析・活用されることへの懸念は避けられません。両社がどのようなデータ保護ポリシーを設定するかが、今後の普及の鍵を握ることになります。
【用語解説】
Apps SDK(アプリケーション・ソフトウェア開発キット)
開発者が特定のプラットフォーム向けにアプリケーションを作成するためのツール集。ChatGPTのApps SDKは、サードパーティのサービスをChatGPTに統合するための開発環境を提供する。
【参考リンク】
OpenAI(外部)
ChatGPTを開発したAI研究企業。人工知能の安全性と有益性を追求し、GPTシリーズをはじめとする先進的なAIモデルを提供している。
Apple Music(外部)
Appleが提供する音楽ストリーミングサービス。1億曲以上の楽曲を配信し、世界中で利用されている。空間オーディオやロスレス音質にも対応。
Spotify(外部)
世界最大級の音楽ストリーミングサービス。2024年10月にChatGPTとの統合を実現し、AIを活用したプレイリスト作成機能を提供。
9to5Mac(外部)
Apple製品とテクノロジーに特化したニュースサイト。Apple関連の最新情報、リーク、レビューを迅速に報道している。
【参考記事】
ChatGPT Gets Apple Music Integration and New Image Generator(外部)
OpenAIがChatGPTにApple Music統合を発表。音楽推薦とプレイリスト作成が可能になり、画像生成機能も4倍高速化された。
Apple Music integration could be coming to ChatGPT(外部)
Apple MusicのChatGPT統合について詳報。自然言語でアプリを起動し、プレイリストを作成できる仕組みを解説している。
Apple Music to integrate with ChatGPT, announces OpenAI(外部)
フィジ・シモCEOによる発表を報道。Spotify統合の成功を踏まえ、Apple Musicユーザーにも同様の体験を提供する狙いがある。
【編集部後記】
音楽との出会い方が、また一つ変わろうとしています。「あの映画で流れていた曲」といった曖昧な記憶から、AIが瞬時に楽曲を見つけてくれる未来は、もうすぐそこです。みなさんは、どんな風にこの機能を使ってみたいですか?
思い出の中に眠っている音楽を掘り起こすのも良いですし、気分や状況を言葉で伝えるだけで最適なプレイリストが生まれる体験も魅力的です。AIが日常のあらゆるサービスと結びつき始めた今、私たちの生活はどう豊かになっていくのでしょう。一緒に、この変化を見つめていきましょう。































