アイデアを思いついたその日に、自宅のデスクで製品化できる時代がやってきました。CES 2026でxToolが発表したAI駆動の製造プラットフォームは、個人クリエイターと大企業の境界線を曖昧にしようとしています。
xToolは2026年1月3日、CES 2026での出展を発表した。ベネチアン・エキスポのブース#55251で最新製品を展示する。同社のフラッグシップ製品であるxTool P3は、CES 2026 Innovation Awardsのエンタープライズ・テクノロジー部門で受賞した。P3は80W CO₂レーザーエンジンを搭載し、36インチ × 18インチの作業エリアを持つ。
また、世界初のAIクラフティングエージェントであるAImakeを発表する。AImakeはxTool Studioと統合され、デザイン生成から製作まで対応する。さらに、初のUVプリンターをプレビューし、2026年第2四半期の市場投入を予定している。xToolは2021年以来、80カ国以上でデスクトップレーザーカッターや彫刻機などを提供している。
From:
xTool Defines the Next Chapter of Creative Manufacturing at CES 2026

PRNewswireより引用
【編集部解説】
今回のxToolによるCES 2026での発表は、単なる新製品の披露ではなく、デスクトップ製造業界における大きな転換点を示すものです。
まず注目すべきは、xTool P3がCES 2026 Innovation AwardsのEnterprise Technology部門でHonoreeに選出された点です。この受賞は、デスクトップサイズのレーザー加工機が、もはや趣味の領域を超えて本格的な生産用途に耐える製品として認められたことを意味します。80W CO₂レーザーエンジン、36インチ × 18インチという作業エリア、そしてデュアルカメラとLiDARを組み合わせた自動化創造システム(ACS™)の搭載により、従来は大型産業機械でしか実現できなかった精度と生産性を、デスクトップサイズで達成しています。
AImakeについては、実は2025年10月にF2とともにすでに発表されていますが、CES 2026での展示は、この技術をより広い製造業界に認知させる重要な機会となります。AImakeの革新性は、単なるAI画像生成ツールではなく、レーザー加工やクラフト制作に特化した「AIクラフティングエージェント」である点にあります。会話型のインターフェースを通じて、デザインの生成から編集、そして製造用ファイルの出力まで、一気通貫で対応することで、クリエイターのワークフローを劇的に短縮します。
特筆すべきは、AImakeがxTool Studioと完全統合されており、生成されたデザインを直接xToolの機械へ送信できる点です。これにより、「アイデアから物理的な製品まで」というデジタル・トゥ・フィジカルの流れが、これまでにないスピードと容易さで実現します。
初のUVプリンターのプレビューも重要な意味を持ちます。UV印刷市場は、グローバルで2024年に約14.4億ドル規模とされ、2033年までに19.2億ドルへ成長すると予測されています。しかし、既存のデスクトップUVプリンターは、クリエイターの期待に応えきれていないという課題がありました。xToolが「Print on Anything」をコンセプトに掲げ、携帯電話ケース、アクリル装飾、革製品、金属製ギフト、マグカップなど、円筒形のアイテムを含む幅広い素材への印刷を可能にする製品を開発していることは、この市場のギャップを埋める試みとして注目に値します。
さらに興味深いのは、xToolが採用している「共創アプローチ」です。2026年第2四半期の市場投入に向けて、リリース前に共創プログラムを開設し、実際のクリエイターに機能やワークフローの洗練に参加してもらうという手法は、ユーザーのニーズを正確に捉えた製品開発を実現するための戦略的な取り組みです。
これらの発表を通じて浮かび上がるのは、xToolが目指す「AI駆動のクリエイティブ製造プラットフォーム」というビジョンです。スタンドアロンのツールから、ソフトウェア、ハードウェア、そして実世界の生産を結びつけるエコシステムへの転換は、個人クリエイターや小規模スタジオが、かつては大企業にしかできなかった製造能力を手に入れることを意味します。
デスクトップレーザーカッター市場全体を見ると、2023年に約53億ドルの規模があり、2032年までに102億ドルに成長すると予測されています。この成長の背景には、パーソナライゼーション需要の高まり、オンデマンド製造の普及、そしてメイカームーブメントの進展があります。xToolのような企業が、AIとハードウェアを統合した使いやすいツールを提供することで、この市場の成長はさらに加速していくでしょう。
今回のCES 2026での展示は、クリエイティブ製造の民主化という大きな潮流の中で、テクノロジーがどのように個人の創造力を解放し、ビジネスの可能性を広げていくのかを示す象徴的な事例となりそうです。
【用語解説】
CES(Consumer Electronics Show)
全米民生技術協会(CTA)が主催する世界最大級の家電・技術見本市。毎年1月に米国ラスベガスで開催され、最新のテクノロジー製品やイノベーションが発表される。2026年の開催は1月に予定されている。
CES Innovation Awards
CESを主催する全米民生技術協会(CTA)が運営する表彰プログラム。優れたデザインとエンジニアリングを持つ製品を28のカテゴリーで表彰する。各カテゴリーで「Best of Innovation」と「Honoree」が選出される。
CO₂レーザー
二酸化炭素を媒質として使用するレーザー。波長は10.6μm(赤外線領域)で、木材、アクリル、革、紙などの非金属素材の切断・彫刻に優れる。産業用レーザー加工機で広く使用されている。
LiDAR(Light Detection and Ranging)
レーザー光を使用して対象物までの距離を測定する技術。自動運転車やロボティクスで活用されているが、レーザー加工機では素材の高さを自動検出してフォーカスを調整するために使用される。
自動化創造システム(ACS™)
xToolが開発した自動化技術の総称。デュアルカメラによるライブプレビュー、LiDARベースのオートフォーカス、AutoLift Zプラットフォームなどを統合し、セットアップ時間と手動操作を削減する。
UVプリンター
紫外線(UV)を利用してインクを瞬時に硬化させる印刷技術を採用したプリンター。従来の印刷方法では困難だった素材(金属、ガラス、プラスチック、革など)への印刷が可能で、耐久性の高い印刷結果が得られる。
デジタル・トゥ・フィジカル
デジタルデータ(3Dモデル、デザインファイルなど)を物理的な製品に変換するプロセス。3Dプリンター、レーザーカッター、CNCマシンなどを使用して、アイデアを実際の製品として具現化する。
共創アプローチ(Co-creation)
企業と顧客やユーザーが協力して製品やサービスを開発する手法。ユーザーのニーズを正確に捉え、実際の使用シーンに最適化された製品を作るための戦略的な開発プロセス。
メイカームーブメント
個人が手軽にものづくりを行い、共有する文化的・社会的運動。3Dプリンターやレーザーカッターなどのデジタル工作機械の普及により加速し、DIY文化とオープンソースの精神を融合させている。
【参考リンク】
xTool公式サイト(外部)
2021年設立のデスクトップレーザーカッターおよびスマート製造ツールのグローバルブランド。80カ国以上で製品を提供。
xTool P3製品ページ(外部)
CES 2026 Innovation Awards受賞製品。80W CO₂レーザー搭載、36×18インチの作業エリア。
AImake公式サイト(外部)
世界初のAIクラフティングエージェント。クラフト専門知識と主要AIモデルを統合しアイデアから製作まで対応。
CES Innovation Awards公式サイト(外部)
全米民生技術協会(CTA)主催の製品表彰プログラム。28のカテゴリーで革新的な製品を表彰。
xTool CES 2026特設ページ(外部)
CES 2026でのxToolの出展情報、展示製品、ブース位置などの詳細情報を提供するページ。
【参考記事】
85+ Laser Cutting Machines Statistics for 2025(外部)
レーザーカッティングマシン市場の統計。2024年のグローバルCO₂レーザー市場は17.04億ドル。
Laser Cutting Machines Market Size, Share, Forecast 2032(外部)
2023年の市場規模は53.16億ドルで、2032年までに101.93億ドルに達すると予測。
80w CO2 Laser Cutter P3 – CES Innovation Awards(外部)
CES Innovation Awards公式サイトのxTool P3紹介ページ。2026年Honoree選出の詳細。
Laser Cutting Machines Market Size & Share Report, 2030(外部)
2030年までに103.5億ドルに達し、2024-2030年のCAGRは5.7%と予測。
UV Inkjet Printer Market Size | Growth & CAGR of 5.06%(外部)
2026年のUVインクジェットプリンター市場は17.39億ドルで、2035年までに27.10億ドルへ成長予測。
xTool Unveils F2: The Best Portable Dual Laser Engraver Powered by AI Crafting Agent(外部)
2025年10月のプレスリリース。AImakeが世界初のAIクラフティングエージェントとして初発表された記事。
【編集部後記】
デスクトップサイズのツールで、かつては大企業にしかできなかった製造が可能になる時代が本当にやってきました。皆さんは、もし自分のアイデアを数時間で形にできるツールが手に入ったら、何を作りたいですか?AImakeのような技術は、デザインスキルの有無に関係なく、思いついたアイデアをすぐに試せる環境を提供してくれます。
小規模スタジオや個人クリエイターにとって、これはビジネスチャンスの拡大を意味するのか、それとも新たな創造の楽しみを開くものなのか。皆さんはどう感じますか?この技術が私たちの暮らしや働き方をどう変えていくのか、皆さんと一緒に見守っていきたいと思います。
































