Teslaは2026年1月28日、第4四半期決算説明会でModel SとModel Xの生産を終了すると発表した。CEOのイーロン・マスクは「名誉ある除隊で終了させる時が来た」と述べ、購入希望者には今が注文のタイミングだと伝えた。
Model Sは2012年、Model Xは2015年に発売されたTeslaの古参モデルで、現在の価格はModel Sが約$95,000、Model Xが約$100,000である。2025年のTeslaの納車台数約164万台のうち97%をModel 3とModel Yが占めた。
Teslaは記録上初の年間収益減少を報告し、過去4四半期のうち3四半期で売上が減少した。Fremont工場の生産ラインはヒューマノイドロボットOptimusの製造に転換され、年間100万台の生産能力を目指す。Teslaは今四半期にOptimus第3世代を発表予定で、これが量産を意図した最初の設計となる。
【編集部解説】
Teslaが2026年1月28日の第4四半期決算説明会で、Model SとModel Xという2つの象徴的な車両の生産終了を発表したことは、自動車産業だけでなく、ロボット産業にとっても重要な転換点となります。
この決定は単なる車種整理ではありません。TeslaがFremont工場の生産ラインを年間100万台のヒューマノイドロボットOptimus製造に転換することで、同社は「自動車メーカー」から「Physical AI企業」への本格的な変身を遂げようとしています。
Model SとModel Xは、それぞれ2012年と2015年に発売され、電気自動車を高級車市場に定着させた立役者でした。しかし2025年の販売実績を見ると、Model Sが5,889台(前年比52.6%減)、Model Xが13,066台(同34.2%減)と急激に減少しており、同年のTesla全納車台数約164万台のうちわずか1.2%しか占めていませんでした。これに対してModel 3とModel Yは97%を占め、価格も約$37,000と$40,000からと、より手頃になっています。
Teslaの2025年通期業績は、記録上初めての年間収益減少となる948億ドル(前年比3%減)を記録しました。これは電気自動車市場における競争激化、特に中国BYDなどとの競合、そしてイーロン・マスク氏の政治的発言による消費者の反発などが影響しています。第4四半期のGAAP純利益は8.4億ドルで、前年同期比61%減と大幅に落ち込み、通期のGAAP純利益も37.9億ドルと前年比46%減となりました。
こうした状況下で、Teslaは大胆な戦略転換を図っています。マスク氏は「Teslaの将来価値の80%がOptimusと関連AI事業から生まれる」と公言し、同社を「物理世界にAIをもたらす企業」として再定義しようとしています。
Optimusは身長173cm、重量57kgのヒューマノイドロボットで、Teslaの完全自動運転(FSD)技術を応用した自律移動能力を持ちます。工場作業からベビーシッターまで、あらゆる作業をこなせる汎用ロボットとして設計されており、目標価格は$20,000〜30,000と、競合他社の$100,000以上と比べて大幅に安価です。
ただし、Optimusの実用性については懐疑的な見方も残ります。2024年10月の「We, Robot」イベントでは、会場で披露されたロボットの多くが実際には遠隔操作されていたことが後に報道されました。バランス制御、細かい動作の正確性、バッテリー持続時間など、技術的課題は依然として山積しています。
一方で、Teslaは2026年第1四半期にOptimus第3世代を発表予定で、これが「量産を意図した最初の設計」になるとしています。同社は自動車製造で培った大量生産技術を活かし、競合他社が研究室レベルで開発している中、いち早く商業規模での生産を目指しています。
さらにTeslaは、マスク氏のAIスタートアップxAIに約20億ドルを投資することも発表しました。これはTeslaの「Master Plan Part IV」の一環で、物理世界にAIを統合する製品やサービスの開発を加速させる狙いがあります。
この戦略転換が成功すれば、Teslaは自動車産業の枠を超えた存在になります。しかし、電気自動車事業の収益が減少する中で、まだ商業化されていないロボット事業に巨額投資を行うことは、大きなリスクも伴います。「いつか誰もTeslaが自動車を作っていたことを覚えていないだろう」というマスク氏のビジョンが現実になるのか、それとも過度な期待に終わるのか、今後数年が正念場となるでしょう。
【用語解説】
Optimus(テスラ・ボット)
Teslaが開発中のヒューマノイドロボット。身長173cm、重量57kgで、Teslaの完全自動運転(FSD)技術を応用した自律移動能力を持つ。工場作業から家事まで幅広い用途を想定し、目標価格は$20,000〜30,000と競合製品より大幅に安価に設定されている。
Fremont工場
カリフォルニア州フリーモントにあるTeslaの主要生産施設。かつてGMとトヨタの合弁工場NUMMI(New United Motor Manufacturing, Inc.)だった場所を2010年にTeslaが買収。現在はModel S、Model X、Model 3、Model Yを生産しているが、Model S/Xラインは2026年第2四半期にOptimus生産ラインに転換される予定。
xAI
イーロン・マスクが2023年7月に設立した人工知能スタートアップ企業。「宇宙の真の本質を理解する」ことを目的とした偏りのないAIの開発を目指している。大規模言語モデル「Grok」を開発しており、2026年1月に200億ドルの資金調達を完了。TeslaはこのラウンドでxAIに約20億ドルを投資した。
Master Plan Part IV
TeslaがAIを物理世界にもたらす製品やサービスの開発を中心とした戦略計画。自動運転車両とヒューマノイドロボットを通じて、AIを実世界に統合することを目指している。
【参考リンク】
Tesla公式サイト(外部)
電気自動車、エネルギー貯蔵システム、太陽光発電製品を製造販売する米国企業の公式ウェブサイト
Tesla Optimus紹介ページ(外部)
Teslaが開発中のヒューマノイドロボットOptimusの情報を掲載
xAI公式サイト(外部)
イーロン・マスクが設立したAIスタートアップ企業の公式サイト。Grok AIモデルを開発
【参考動画】
【参考記事】
Tesla ends production of Model S and Model X vehicles, will focus on robots in 2026(外部)
Teslaが2026年第1四半期にModel S/X生産を終了し、Fremont工場をOptimus生産に転換
The Tesla Model S And X Are Dying Next Quarter To Make Room For Robots(外部)
Model S/Xの生産終了とOptimus年間100万台生産計画の詳細を報じた記事
Tesla Model S and X Discontinued: How Long You Have to Buy the Final Units(外部)
2026年第2四半期末までにModel S/X生産が完全終了することを詳しく報道
DEAD: Tesla Is Killing Off the Model S and Model X(外部)
2025年のModel S販売台数が5,889台(前年比52.6%減)と大幅減少したデータを報告
Tesla tops estimates for quarter, but wraps up first annual revenue drop on record(外部)
年間収益が948億ドルで記録上初の前年比減少(3%減)となったことを詳細に報告
Double-digit revenue decline: Tesla’s automotive business contracts(外部)
Teslaの自動車部門の収益が2025年に前年比10%減となり、3年ぶりの低水準を分析
【編集部後記】
Teslaが象徴的なModel S/Xの生産を終了し、ロボット製造に舵を切るという今回の決断は、私たちが目撃しているテクノロジー企業の進化を象徴する出来事だと感じています。自動車メーカーがロボット企業になる——この大胆な転換は成功するのでしょうか。それとも電気自動車という確立された事業を犠牲にした賭けに終わるのでしょうか。Optimusが本当に年間100万台規模で生産され、私たちの生活や産業を変えていくのか、皆さんはどう思われますか。






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