株式会社PeopleX(本社:東京都新宿区、代表取締役CEO:橘大地)は2026年2月10日、AIエージェントサービス「PeopleX AI Copilot」の提供を開始した。第一弾として人材紹介向けの「PeopleX AI Copilot for 人材紹介」をリリースした。ボストン コンサルティング グループの調査によると、世界各国では登場から2年で35%の企業・組織がAIエージェントを導入し、44%が導入を計画している。日本では2025年時点で利用中の企業は3.3%だが、導入検討中または関心ありとした企業は6割超に及ぶ。
同サービスは、AIカウンセリング、求人レコメンド、履歴書・職務経歴書の自動作成、推薦書の自動作成、AIによる面接対策、AI一括エントリーの機能を提供する。PeopleXは資本金116百万円(資本準備金含む)で、対話型AI面接サービスなどを展開している。

【編集部解説】
人材紹介業界における「AIエージェント」の導入は、単なる業務効率化を超えた構造的な変革を意味します。今回PeopleXが発表した「PeopleX AI Copilot for 人材紹介」は、この変革の象徴的な事例といえるでしょう。
AIエージェントとは、従来の生成AIが「質問に答える」だけだったのに対し、自律的に判断し、複数のタスクを計画・実行できるシステムです。BCGの調査が示すように、登場からわずか2年で世界の35%の企業が導入しているという普及速度は、従来型AIや生成AIを上回っています。
人材紹介業界は、特にAIエージェントの恩恵を受けやすい領域です。キャリアアドバイザー(CA)の業務は、求職者との初回面談、求人のマッチング、書類作成の支援、面接対策など、定型化できる要素と人間的判断が必要な要素が混在しています。AIエージェントはこのうち前者を24時間365日体制で担当することで、CAは後者に集中できるようになります。
今回のサービスで注目すべきは「AI一括エントリー」機能です。一度受けたAI面接のデータを資産として保有し、複数社への応募に活用できるという設計は、求職者・人材紹介会社・求人企業の三者すべてにメリットをもたらします。これは従来の「一社ごとに面接」という前提を覆す発想であり、人材流動性の向上につながる可能性があります。
一方で、AIエージェントの導入には課題も存在します。日本では利用率がわずか3.3%にとどまり、世界平均から大きく遅れています。矢野経済研究所の調査によれば、多くの企業は「対話型AIを業務で活用することにようやくなじみ始めた段階」にあり、AIエージェントまで踏み込んでいるのは先行企業に限られています。
技術的な課題も無視できません。AIによる評価の公平性や透明性、プライバシー保護、そしてAIが生成した推薦文や評価の法的責任の所在など、人材という機微な領域だけに慎重な設計が求められます。PeopleXは既存のAI面接サービスで培った技術・知見を活かすとしていますが、実際の運用では想定外のケースも発生するでしょう。
長期的には、AIエージェントの普及は人材紹介業界の構造自体を変える可能性があります。属人性が排除され、サービス品質が標準化されることで、業界の競争軸は「人的ネットワーク」から「AIの精度とデータ資産」へシフトするかもしれません。この変化は、中小の人材紹介会社にとっては脅威にもなり得ますが、AIサービスへのアクセスが平等であれば、むしろ大手との競争条件が平準化される好機ともいえます。
慢性的な人手不足を背景に市場は拡大を続けており、AIエージェントがこの市場に本格的に浸透するのは、おそらく今後2〜3年が転換点になるでしょう。PeopleXの今回の発表は、その変革の予兆を示すものとして注目に値します。
【用語解説】
AIエージェント
単なる質問応答を超えて、自律的に判断し、複数のタスクを計画・実行できるAIシステム。従来の生成AIが「指示を待つアシスタント」だったのに対し、AIエージェントは「目標に向かって自ら考え、行動するチームメイト」として機能する。ツールの活用、データ分析、システム間の連携を通じて、人間の介入を最小限に抑えながら目標を達成できる。
生成AI
テキスト、画像、音声などのコンテンツを自動生成できるAI技術。ChatGPTに代表される大規模言語モデル(LLM)が代表例で、学習したデータから新しいコンテンツを生成する。生成AIは「質問に答える」ことが主な機能だが、AIエージェントはこれをベースにさらに「自律的に行動する」能力を持つ。
AX(AI Transformation)
AIを活用した業務やビジネスプロセスの変革。DX(デジタルトランスフォーメーション)がデジタル技術全般を指すのに対し、AXは特にAI技術による変革を意味する。単なる業務効率化を超えて、ビジネスモデルや組織構造そのものを再設計することを含む。
キャリアアドバイザー(CA)
人材紹介会社において、求職者のキャリア相談や求人紹介、選考対策などを担当する専門職。求職者と企業双方のニーズを理解し、最適なマッチングを実現する役割を持つ。面談、書類添削、面接対策など多岐にわたる業務を担当するため、AIによる業務効率化の対象となりやすい職種である。
【参考リンク】
株式会社PeopleX コーポレートサイト(外部)
AIで人事課題を解決する総合ソリューションカンパニー。2024年4月創業、代表取締役CEOは橘大地氏。
PeopleX AI Copilot for 人材紹介(外部)
人材紹介業務をAIが自律的に実行するサービス。2026年2月10日にサービス開始。
PeopleX AI面接(外部)
24時間365日対応可能な対話型AI面接サービス。新卒、中途、アルバイト採用に対応。
ボストン コンサルティング グループ(BCG)(外部)
世界的な経営コンサルティングファーム。AIエージェントに関するグローバル調査レポートを発表。
矢野経済研究所(外部)
日本の民間調査会社。国内企業の生成AI・AIエージェント利用実態調査を定期的に発表。
【参考記事】
AIエージェントを導入している企業は35%、生成AIの導入スピードを上回る~BCG、MITスローン・マネジメント・レビュー誌共同調査(外部)
BCGとMIT SMRが世界116カ国21業界の2,102名を対象に実施した調査。AIエージェントは登場から2年で35%の企業が導入し、44%が導入を計画している。従来型AIの導入率が8年で72%、生成AIが3年で70%だったのに対し、AIエージェントは最速の普及速度を示している。回答者の76%がAIエージェントを「道具より同僚に近い存在」と認識している。
国内生成AI/AIエージェントの利用実態に関する法人アンケート調査を実施(2026年)(外部)
矢野経済研究所が国内民間企業500社を対象に実施した調査。生成AIを活用している企業215社のうち、AIエージェントを利用中の企業は3.3%にとどまる。一方で、導入検討中が13.5%、関心ありが49.3%と、前向きな回答が全体の6割超を占めている。2025年は多数のAIエージェントが登場した年と位置づけられる。
AIの可能性を利益に変える――企業の取り組み調査 BCG AI RADAR 2025(外部)
BCGが世界19市場12業界の経営層1,803人を対象に実施した調査。67%の経営層がAIエージェントの活用を検討しており、日本では72%がAIトランスフォーメーションの一環として活用を検討している。企業の3分の2(68%)は従業員数を現状のまま維持する見込みで、AIによる人員削減を見込む経営層はわずか7%。
生成AIを日常的に使う人の割合は70%超の一方、従業員の利用率は51%にとどまる~BCG調査(外部)
BCGが日本を含む世界11の国・地域で1万600人以上を対象に実施した職場におけるAI活用に関する意識調査。生成AIの日常的な利用率は世界平均72%だが、日本は51%と低迷。AIエージェントが業務フローに統合されている割合は世界平均13%、日本は7%。AIエージェントの仕組みを理解している人は全体の3分の1、日本では13%にとどまる。
【編集部後記】
AIエージェントが人材紹介の現場を変えようとしています。みなさんは、AIが面談や書類作成を担当する人材紹介サービスを利用したいと思われますか。それとも、やはり人間のキャリアアドバイザーとじっくり話したいでしょうか。
この技術がどこまで人間の感性や判断を代替できるのか、正直なところまだ確信を持てていません。ただ、日本の人材紹介業界が抱える人手不足という現実を考えると、AIとの協働は避けられない選択肢なのかもしれません。
みなさんの業界では、AIエージェントはどのように活用されていくと思われますか。ぜひご意見をお聞かせください。







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