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ChatGPT・Gemini・Copilot ── 日本の生成AI利用率が54.7%に急伸、ICT総研調査

[更新]2026年2月23日

ICT総研は2026年2月20日、「2026年2月 生成AIサービス利用動向調査」の結果を公表した。日本国内の生成AIサービス利用者数は2026年末に3,553万人、2029年末には5,160万人に達すると予測されている。

前回見通しと比べ、2026年末は+378万人の上方修正となった。2026年2月実施のWebアンケート調査(対象2,024人)では、54.7%が直近1年以内に生成AIサービスの利用経験があると回答し、前回の29.0%から25.7ポイント上昇した。サービス別利用率はChatGPT(OpenAI)が36.2%で最多、Gemini(Google)25.0%、Microsoft Copilot 13.3%、Claude(Anthropic)4.3%と続く。

利用者満足度はCanva AIが76.6ポイントで1位、ChatGPTが76.2ポイントで2位であった。週数回以上の利用比率ではSoraが73.9%、Gensparkが71.7%、Geminiが71.6%の順となった。

From: 文献リンク2026年2月 生成AIサービス利用動向に関する調査|ICT総研

【編集部解説】

今回のICT総研の調査が示す最大のインパクトは、日本における生成AIの利用経験率がわずか1年半で29.0%から54.7%へと急伸した点です。これは単なる数値の上昇ではなく、生成AIが「一部のテック好きのツール」から「ネットユーザーの過半数が触れたことのある技術」へと、社会的な位置づけそのものが変わったことを意味しています。

この急伸は、日本固有の文脈で捉える必要があります。総務省「令和7年版 情報通信白書」(2025年7月公表)によれば、日本の個人の生成AI利用経験率は26.7%にとどまり、中国(81.2%)や米国(68.8%)、ドイツ(59.2%)と比較して大きく後れを取っていました。一方、SimilarWebのデータによると、2025年12月時点で日本からの生成AIツールへのアクセス増加率は前年同月比214%に達し、米国・英国・ドイツの80〜95%台を大幅に上回っています。つまり日本は「出遅れたが、追い上げの速度では世界最速」という特異なポジションにあります。

サービス別シェアの変動にも注目すべき構造変化が見られます。前回調査ではChatGPTが18.3%で他を圧倒していましたが、今回Geminiが25.0%へと約2.8倍に急伸しました。その背景には、Google検索との統合やWorkspaceとの連携強化があると考えられます。GMO Research & AIの2025年2月調査でも、アクティブユーザーにおけるChatGPTのシェアは54.9%、Geminiは29.7%、Microsoft Copilotは14.6%と報告されており、ICT総研とは母集団の定義が異なるものの、上位3サービスの構図は共通しています。

満足度スコアが76.6点〜70.8点の狭い範囲に収束している点も見逃せません。これは、各サービスの基本的な品質が一定水準に達し、ユーザーにとって「どれを使っても大きく外れない」状態になりつつあることを示唆しています。今後の差別化は、精度や速度といった基本性能よりも、業務ワークフローへの統合度やエコシステムとの接続性によって決まる可能性が高いでしょう。

利用頻度データでは、SoraやGensparkといった比較的新興のサービスが「ほぼ毎日利用」の比率で上位に入っている点が興味深いところです。これらは利用者の母数こそ小さいものの、利用者のエンゲージメントが極めて高く、特定の用途で深く定着していることを示しています。

長期的な視点では、2029年末に5,160万人という予測は、日本のインターネット利用者(約1億人)の半数を超える規模です。生成AIが電子メールやSNSと同じ水準の「日常インフラ」になるシナリオが現実味を帯びてきています。その一方で、急速な普及は著作権侵害、ハルシネーション(誤情報生成)、個人情報の取り扱いといったリスクの拡大も同時に意味します。日本政府は現時点で比較的軽量な規制アプローチを採っていますが、利用者が5,000万人規模に達する局面では、より具体的なガイドラインや法的枠組みの整備が求められることになるでしょう。

【用語解説】

ハルシネーション(Hallucination)
生成AIが事実に基づかない誤った情報をあたかも正しいかのように生成する現象のこと。AIモデルの構造上、確率的に「もっともらしい文章」を出力するため、事実と異なる内容が含まれる場合がある。

エンゲージメント
ユーザーがサービスに対してどれだけ深く・頻繁に関与しているかを示す指標。利用頻度や滞在時間、継続率などで測定される。

エコシステム
特定のプラットフォームやサービスを中心に、関連する製品・サービス・開発者・ユーザーが相互に連携して形成する経済圏のこと。

ワークフロー
業務やタスクの一連の流れ・手順のこと。生成AIの文脈では、既存の業務プロセスにAIツールを組み込んで効率化することを指す場合が多い。

【参考リンク】

ICT総研(外部)
2011年設立の独立系ICT市場調査会社。通信・IT分野のアンケート調査やコンサルティングを展開している。

ChatGPT(OpenAI)(外部)
OpenAIが提供する対話型生成AIサービス。テキスト生成、要約、翻訳、コード作成など幅広い用途に対応する。

Gemini(Google)(外部)
Googleが提供する生成AIサービス。Google検索やWorkspaceとの統合により既存サービスとの親和性が高い。

Microsoft Copilot(外部)
Microsoftが提供するAIアシスタント。Microsoft 365製品群と連携し、業務効率化を支援する。

Claude(Anthropic)(外部)
Anthropicが開発・提供する対話型生成AIサービス。安全性と有用性の両立を重視した設計が特徴である。

Perplexity(外部)
AI検索エンジン。Web上の情報をリアルタイムに参照しながら、出典付きの回答を生成するサービスである。

Genspark(外部)
AIを活用した検索・情報整理サービス。複数の情報源から独自のページを生成して回答する。

Sora(OpenAI)(外部)
OpenAIが開発した動画生成AIサービス。テキストの指示から短編動画を生成する機能を持つ。

Canva AI(外部)
デザインプラットフォームCanvaに統合されたAI機能群。画像生成やデザイン自動提案などを提供する。

SimilarWeb(外部)
Webサイトやアプリのトラフィック分析を提供するデジタルインテリジェンス企業。NYSE上場。

GMO Research & AI(外部)
GMOインターネットグループ傘下のリサーチ企業。アジア圏を中心にAI関連の市場分析を展開している。

【参考記事】

Japan Has Shown The Greatest Adoption In AI Use In 2025, Shows SimilarWeb Data(外部)
日本の生成AIアクセス増加率が前年同月比214%に達し、主要国中で世界最速の伸びを記録したとの報告。

Japan’s Generative AI Market Penetration and Business Adoption Trends 2025(外部)
2025年2月時点の日本の生成AI利用率42.5%、ChatGPTシェア54.9%等を報告したGMO Research & AIの調査。

Japan and South Korea’s Generative AI Boom: Trends, Challenges, and Untapped Opportunities(外部)
総務省白書を引用し日本の個人生成AI利用率26.7%を国際比較。若年層の牽引役としての位置づけも分析。

Generative AI Risks and Countermeasures: Why Japan Lags Behind(外部)
日本の生成AI利用率が主要国より低い構造的背景を、スキル不足やROI不確実性の観点から分析した記事。

【編集部後記】

皆さんは普段、どの生成AIサービスをどんな場面で使っていますか? 今回の調査では、利用率だけでなく「どのサービスにどれだけ深く頼っているか」にサービスごとの個性が表れていました。

ChatGPT一強から複数サービス併存へと市場が動き始めた今、自分の用途に合ったAIを選び分ける目線が大切になってきそうです。皆さんの使い分けのヒントや発見があれば、ぜひ教えてください。

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TaTsu
『デジタルの窓口』代表。名前の通り、テクノロジーに関するあらゆる相談の”最初の窓口”になることが私の役割です。未来技術がもたらす「期待」と、情報セキュリティという「不安」の両方に寄り添い、誰もが安心して新しい一歩を踏み出せるような道しるべを発信します。 ブロックチェーンやスペーステクノロジーといったワクワクする未来の話から、サイバー攻撃から身を守る実践的な知識まで、幅広くカバー。ハイブリッド異業種交流会『クロストーク』のファウンダーとしての顔も持つ。未来を語り合う場を創っていきたいです。

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