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Anthropicが3種類のクローラーを公式説明——各種Claudeボットの違いとブロック方法

[更新]2026年2月26日

AnthropicはWebからのデータ収集にClaudeBot、Claude-User、Claude-SearchBotの3種類のロボットを使用している。ClaudeBotはAIモデルのトレーニング用データ収集を目的とし、Claude-UserはユーザーがClaudeに質問した際にWebサイトへアクセスするエージェントである。Claude-SearchBotはユーザーの検索結果の品質向上を目的としてWebを巡回する。

サイトオーナーはrobots.txtファイルを編集することで各ボットのアクセスを制限またはブロックできる。ブロックする場合は「User-agent: ClaudeBot / Disallow: /」の記述をrobots.txtに追加する方法が有効であり、IPアドレスによるブロックは継続的な効果を保証しない。Anthropicは現時点でIPレンジを公開していないが、将来変更される可能性があるとしている。問い合わせ先はprivacy@anthropic.comである。

From: 文献リンクDoes Anthropic crawl data from the web, and how can site owners block the crawler? | Claude Help Center

【編集部解説】

今回Anthropicが公開・更新したのは、自社のWebクローラーに関する公式ドキュメントです。これは単なる技術仕様の説明にとどまらず、AI企業とWebサイトオーナーの関係性を根本から問い直す、重要な動きです。

このドキュメントが注目される背景には、2024年から2025年にかけて急速に広まった「AIクローラーブロック」の流れがあります。BuzzStreamの調査(Search Engine Journal報道より)によると、上位ニュースサイトの79%が少なくとも1つのAIトレーニングボットをブロックしており、71%がリトリーバル系・検索系ボットも同様にブロックしています。つまり、多くのサイトが「AIクローラーをブロック」という戦略を取ってきたわけです。

しかしAnthropicは今回、3種類のボットをそれぞれ明確に分離して説明することで、この「一括ブロック」戦略の盲点を突いています。ClaudeBotをブロックしてもClaude-UserやClaude-SearchBotは止まらず、逆にClaude-SearchBotをブロックすればClaudeの検索結果に自サイトが表示されなくなる可能性があります。サイトオーナーは今後、「何をブロックし、何を許可するか」をより戦略的に判断しなければならない時代に入りました。

注目すべきデータとして、AnthropicのClaudeBotは2025年7月時点で、サイトに送り返した訪問者1人に対して38,065ページをクロールしていたという報告があります。半年前の比率は286,930:1であり、数値は改善傾向にあるものの、依然として大きな不均衡が残っています。この数字はクローラーが「人間の代わりにコンテンツを消費している」規模感を如実に示しており、サイトオーナーが懸念を持つのも自然なことです。

一方でAnthropicは、カリフォルニア州のAB 2013(トレーニングデータ透明性法)への対応として、データ収集方法の詳細な開示を進めています。今回のドキュメント更新もこうした規制の流れと無関係ではなく、「業界標準に従っている」という姿勢を明示することで、法的リスクを低減しようとする意図も読み取れます。

ポジティブな側面としては、ボットを細分化して透明性を高めるこのアプローチは、サイトオーナーに細かな選択権を与えるという点で一歩前進です。「トレーニングには使わせたくないが、ユーザーの質問には答えられるようにしたい」という設定が可能になり、コンテンツ提供者とAIサービスの共存モデルが現実的になりつつあります。

潜在的なリスクとして見落とせないのは、robots.txtはあくまで「お願い」に過ぎないという点です。Anthropicは遵守を明言していますが、悪意ある第三者のボットには効果がなく、法的拘束力も持ちません。またIPアドレスによるブロックが機能しないと明記されている点も、サイトオーナーにとっては選択肢の少なさを意味します。

長期的な視点では、AIが検索・情報取得の主要チャネルになりつつある今、「AI検索に載るか載らないか」はSEOと同等かそれ以上の重要性を持ちます。Claude-SearchBotをブロックすることは、Googleの検索インデックスから外れることと同義になる日が来るかもしれません。Webコンテンツの流通構造そのものが、静かに、しかし確実に変わろうとしています。

【用語解説】

robots.txt
ウェブサーバーのルートディレクトリに置かれるテキストファイル。クローラー(ロボット)に対して「どのページにアクセスしてよいか・してはいけないか」を伝える業界標準の仕組みである。法的拘束力はなく、あくまでもクローラーへの「お願い」として機能する。

User-agent
robots.txtでクローラーを識別するための名前。「User-agent: ClaudeBot」のように記述することで、特定のボットのみにルールを適用できる。「User-agent: *」と書けば全クローラーへの設定になる。

Disallow
robots.txtに記述するディレクティブで、クローラーのアクセスを禁止するパスを指定する。「Disallow: /」と書けばサイト全体へのアクセスを拒否できる。

【参考リンク】

Anthropic(外部)
2021年設立のアメリカのAI安全性研究企業。Claude AIを開発・提供するパブリック・ベネフィット・コーポレーション。

Claude(claude.ai)(外部)
AnthropicのAIアシスタント。問題解決・データ分析・コーディングなど幅広いタスクに対応。Web・アプリ・APIで利用できる。

Claude ヘルプセンター:クローラーに関するページ(外部)
Anthropicの3種類のクローラーの役割とrobots.txtを使ったブロック方法を解説した公式サポートページ。

【参考記事】

Anthropic clarifies how Claude bots crawl sites and how to block them(外部)
Anthropicが3種類のクローラーの役割を明確化したことを伝え、各ボットのブロック方法とその影響を整理した報道記事。

How to Govern AI Crawler Access to Your Website in 2026(外部)
ClaudeBotのクロール比率(38,065:1)などCloudflareの数値データを引用し、AIクローラーの規模感を解説した技術記事。

Anthropic’s Claude Bots Make Robots.txt Decisions More Granular(外部)
BuzzStreamの調査データ(上位ニュースサイトの79%・71%がボットをブロック)を引用しながら、ボット分離による「一括ブロック」戦略の盲点とサイトオーナーの対応を論じた解説記事。

Anthropic clarifies what its three web crawlers do — and how to block them(外部)
各ボットのブロックがもたらす実務上の影響をコード例交えて整理。ボット分離の構造的問題をわかりやすく解説した記事。

【編集部後記】

あなたのサイトのrobots.txtを、最後に見直したのはいつですか?

かつてrobots.txtは、Googlebotへの指示書でした。しかし今や、そこに書くべき相手はGoogleだけではありません。ClaudeBot、GPTBot、PerplexityBot……AIが次々とWebを巡回し、コンテンツを読み込み、学習し、ユーザーへの回答に変えていく時代が、すでに始まっています。

今回Anthropicが3種類のボットを明確に分けて説明したことは、一見すると技術的なアップデートに過ぎません。しかしその本質は、「AIとWebの関係を、誰がどうコントロールするのか」という問いを、サイトオーナー一人ひとりに突きつけていることだと私たちは受け止めています。

「トレーニングには使われたくないが、ユーザーには見つけてほしい」「検索には載りたいが、学習データにはなりたくない」——そんな細かい意思表示が、ついにrobots.txt一枚で可能になりました。これはコンテンツ提供者にとって、小さいようで大きな一歩です。

一方で、robots.txtはあくまで「紳士協定」です。Anthropicのような誠実な企業が遵守を宣言しても、すべてのクローラーが同じ姿勢を持つとは限りません。ルールに頼るだけでなく、自分のコンテンツをどう守り、どう流通させるかを主体的に考える力が、これからのWeb運営者には求められます。

私も、コンテンツを発信するメディアライターの一人として、この問題を他人事とは思っていません。AIとコンテンツの関係がどう変わっていくのか、引き続き皆さんと一緒に追いかけていきます。

投稿者アバター
乗杉 海
SF小説やゲームカルチャーをきっかけに、エンターテインメントとテクノロジーが交わる領域を探究しているライターです。 SF作品が描く未来社会や、ビデオゲームが生み出すメタフィクション的な世界観に刺激を受けてきました。現在は、AI生成コンテンツやVR/AR、インタラクティブメディアの進化といったテーマを幅広く取り上げています。 デジタルエンターテインメントの未来が、人の認知や感情にどのように働きかけるのかを分析しながら、テクノロジーが切り開く新しい可能性を追いかけています。

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