スマホ向けインカム「LINE WORKSラジャー」アップデート|最大10チャンネル同時参加、通話先を瞬時に切り替え可能

[更新]2026年4月23日

通話先に合わせてスマホを持ち換えたり必要がなくなる時代が来ています。小売、運輸、介護、医療——フロントラインで働く人々のコミュニケーションを支えるインカム・トランシーバーアプリ「LINE WORKSラジャー」が本日アップデートされました。目玉機能は、最大10チャンネルへの同時参加。複数の現場や管理者をまたいでも、スマホ1台・チャンネル切り替えなしで全体を把握できます。管理の効率化にとどまらず、現場と本部を結ぶコミュニケーションの設計そのものを変える可能性を持つアップデートです。


LINE WORKS株式会社は2026年4月23日、スマホ向けインカム・トランシーバーアプリ「LINE WORKSラジャー」のアップデートを提供開始した。今回の目玉は、最大10件のチャンネルに同時参加できる「マルチチャンネル」機能の追加で、複数現場を管轄する管理者がチャンネルの切り替えや端末の複数台持ちなしに、各現場の状況をリアルタイムで一元把握できるようになった。同機能はアドバンストプランで利用可能。

あわせて、騒音環境下でのクリアな音声送受信を実現する「ノイズ低減機能」をAndroid・iOS両OSに追加した。管理者向けには、グループとチャンネルを連動させる「グループ連携チャンネル」機能、メンバー追加時にライセンスを自動付与する「ライセンス自動割り当て」オプション、MDM管理端末からのみログインを許可する「外部MDM連携」機能を追加した。このほか、Androidデバイスのバッテリー消費を約35%改善した。LINE WORKSラジャーは現在、小売・運輸・介護・医療機関を中心に2,000社で導入されている。

From: 文献リンクスマホでインカム・トランシーバーアプリ「LINE WORKSラジャー」がアップデート。最大10件のチャンネル同時参加に対応し、複数現場の一元把握が可能に

【編集部解説】

「ほんの数回のタップ」が、現場では大きい

今回のアップデートで最も注目すべきは、最大10チャンネルへの同時参加を可能にする「マルチチャンネル」機能です。現場の視点で見ると、この変化はそれほど小さなものではありません。

たとえば商業施設の警備や、複数フロアを持つ介護施設の運営、複数現場をまたぐ建設の統括など、こうした業務では、管理者は片手に無線やスマホ、もう片方の手で記録や指示書を扱い、目線は常に現場やモニターに置かれています。チャンネルを切り替えるための数回のタップは、操作そのものが負担というより、いま向き合っている物理的なタスクから一瞬視線と注意を引き剥がすことに本質的なコストがあります。


同時接続が広げる視野と、生まれうる新しい摩擦

一方で、常時複数のチャンネルにつながりっぱなしになることが、別種の課題を持ち込む可能性も考えておきたいところです。

たとえば話しかけたい側からは、「相手はいま自分のチャンネルにフォーカスしているのか、それとも別チャンネルの会話に注意を取られているのか」が見えにくくなったり、発話する管理者自身も、「いま自分が声を届けているのは、本当に意図したチャンネルか」を瞬間的に確認する必要が出てきたりも考えられます。LINE WORKSは発話可能なチャンネルのマイクアイコンを青色で示す仕様にしており、こうした懸念にUI側で配慮していることは伝わります。

このあたりは、運用が広がってから「想定通り問題にならなかった」「現場のオペレーションでカバーされた」という結論になる可能性も十分にあります。今後の使われ方を見守るべき論点として置いておくのが妥当でしょう。


管理者向け機能の地味な重要性

ユーザー機能ばかりに目が行きがちですが、今回のアップデートの実務的なインパクトは管理者向け機能のほうが大きい可能性があります。

「グループ連携チャンネル」は、管理画面で作ったグループとチャンネルのメンバーを同期させる機能です。人事異動や組織変更のたびにチャンネル側でメンバーを足し引きする手間がなくなる、という地味な改善ですが、現場ITを兼任で回している中小事業者にとって、この「忘れずに反映しなければならない作業」が一つ減ることの意味は小さくありません。

「ライセンス自動割り当て」も同じ筋の改善です。新規メンバー追加時に手動でライセンスを当てる作業が不要になり、月次の異動シーズンに発生しがちな「ライセンス未割り当てで使えない」というトラブルが構造的に防がれます。

そして「外部MDM連携」は、スタンダード・アドバンストプランで利用可能となりました。MDM(モバイルデバイス管理)で許可された端末からのみログインを通すことで、私物端末からの利用や紛失端末経由の不正アクセスを防ぐ仕組みです。BYOD(個人端末の業務利用)が広がる現場で、情報漏洩リスクの線引きを管理側で握り続けるための機能と言えます。

これらは「派手な新体験」ではありませんが、現場のITを兼任で回している担当者の、毎月の運用工数を確実に削る改善です。導入企業数の伸びと並走して必要になる、いわば「成熟期に入ったプロダクトに求められる地味な打ち手」が揃ってきた印象を受けます。


声と文字とAIが、現場で溶け合っていく

音声は本来、その場で消えていくものでした。トランシーバーで飛び交う指示も、立ち話で交わされる判断も、記録に残らないからこそ柔軟で、しかし振り返れないからこそ属人化していく。文字起こしとクラウド保存を当たり前に組み込むことは、現場のコミュニケーションを「記録できる対象」に変えていく長い変化の一部です。

その変化が完了した先で、私たちが現場の判断や指示の質をどう改善できるのか、あるいは「すべてが記録される現場」の働き方が人にとってどう感じられるのか、ここから先はまだ、誰にも答えが出ていない領域です。

【用語解説】

MDM(Mobile Device Management)
企業や組織が所有・管理するスマートフォン・タブレットなどのモバイル端末を、管理コンソールから一元管理するための仕組み。アプリの配布・削除、パスワードポリシーの適用、紛失端末のリモートロック・ワイプ、特定サービスへのアクセス制限などが可能。今回追加された「外部MDM連携」機能は、MDMに登録された端末からのみLINE WORKSラジャーへのログインを許可することで、私物端末からの利用や不正アクセスを防ぐ。

フロントラインワーカー(Frontline Worker)
オフィスや固定席を持たず、小売・物流・介護・医療・建設・製造などの現場で直接業務にあたる労働者の総称。日本語では「現場従事者」「現場スタッフ」とも呼ばれる。移動中・作業中にスマートフォン画面を注視できない状況が多く、音声コミュニケーションツールの需要が高い層。

フィラー(Filler / Filled Pause)
発話中に意味を持たず発せられる音や言葉。「えー」「あのー」「えっと」などが代表例。LINE WORKSラジャーは音声の文字起こし時にフィラーを自動除去し、テキストとして読みやすい形に整形する機能を持つ。

【参考リンク】

LINE WORKSラジャー 製品サイト(外部)
機能紹介・料金プラン・導入事例・FAQを掲載。フリー・スタンダード(¥450/月・年額)・アドバンスト(¥800/月・年額)の3プラン。

LINE WORKSラジャー 無料トライアル申込み(外部)
アドバンストプラン相当の環境を30日間無料で試せるトライアル申込みページ。マルチチャンネルを含む有償プランの全機能が体験可能。

LINE WORKSラジャー 外部MDM連携設定ガイド(外部)
外部MDM連携機能の公式設定マニュアル。対応MDMソリューションの種類や管理者コンソールでの設定手順を詳説。

LINE WORKSラジャー 導入事例(外部)
小売・医療・介護・建設など業種別の導入事例ページ。実際の運用イメージ把握に活用できる。

【参考動画】

【参考記事】

Buddycom 機能一覧 — サイエンスアーツ(外部)
PoC先行サービスBuddycomの機能ページ。複数グループ同時受信など現行の機能水準が参照できる。

Buddycom(IP無線アプリ)— ソフトバンク法人サービス(外部)
2024年12月の電波法改正(アナログ簡易無線の使用制限)の概要を含む解説ページ。

【関連記事】

【編集部後記】

複数の音声を同時に聞き取れる機能が、現場の管理者の手元にやって来ました。考えてみれば、私たちもすでに、いくつものチャットや通知を並行して追いかける日々を送っています。便利さの一方で、注意がどこにも深く着地しない感覚を持ったことはないでしょうか。「同時に多くを掴む」ことと「一つに深く向き合う」ことのバランスを、私たちはこれからどう設計していくか——一緒に考えていきたい問いです。

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りょうとく
趣味でデジタルイラスト、Live2Dモデル、3Dモデル、動画編集などの経験があります。最近は文章生成AIからインスピレーションを得るために毎日のようにネタを投げかけたり、画像生成AIをお絵描きに都合よく利用できないかを模索中。AIがどれだけ人の生活を豊かにするかに期待しながら、その未来のために人が守らなけらばならない法律や倫理、AI時代の創作の在り方に注目しています。