Last Updated on 2024-11-15 08:18 by admin
2024年11月14日(木)、米連邦準備制度理事会(FRB)のジェローム・パウエル議長がテキサス州ダラスで講演を行った。
主な要点:
- パウエル議長は「経済は利下げを急ぐ必要性を示していない」と発言した。
- 12月のFOMC(連邦公開市場委員会)での利下げ確率は83%から62%に低下した。
- 講演後、暗号資産市場は下落:
- ビットコイン:88,300ドルから88,000ドルへ(24時間で3.2%下落)
- イーサリアム:同程度の下落
一方で:
- CoinDesk 20インデックスは0.5%上昇
- XRPは13%上昇(ゲンスラーSEC委員長の退任示唆を受けて)
- 週間ベースでは:
- ビットコイン:15%上昇
- カルダノ(ADA)、XRP、NEAR、XLM:20-40%の上昇
伝統的市場への影響:
- ナスダック:取引終了直前に0.75%下落
背景:
- インフレ率:9月時点で2.1%(FRBの目標は2%)
- FRBは2022年から2023年にかけて積極的な利上げを実施
- 2024年9月には0.5%ポイント、先週には0.25%ポイントの利下げを実施[1][2][3]
from:Fed Chair Jerome Powell’s Hawkish Comments Throw Some Cold Water on Crypto
【編集部解説】
パウエルFRB議長の発言は、現在の暗号資産市場と伝統的金融市場の密接な関係性を浮き彫りにしています。
特に注目すべきは、暗号資産市場が金融政策に対してより敏感に反応するようになってきている点です。これは、機関投資家の参入や、スポットETFの承認といった要因により、暗号資産が従来の金融商品との相関性を強めていることを示しています。
2024年に入ってからの暗号資産市場は、利下げ期待とトランプ氏の当選という二つの強力な追い風を受けて急上昇しました。ビットコインは88,000ドル台まで上昇し、時価総額は1.7兆ドルを超える規模にまで成長しています。
しかし、パウエル議長の「慎重な」利下げ姿勢は、市場の期待を若干抑制する形となりました。CME FedWatchによると、12月のFOMCでの利下げ確率は83%から62%に低下しています。
注目すべきは、この「悪材料」に対する暗号資産市場の反応が限定的だった点です。これは、市場が以前に比べて成熟し、一時的なニュースに過剰反応しにくくなっていることを示唆しています。
特にXRPの13%上昇は、ゲンスラーSEC委員長の退任示唆という個別材料が、マクロ経済環境の影響を上回る場合があることを示しています。
今後の展望として、トランプ政権下での経済政策(関税引き上げや移民政策)がインフレ圧力となる可能性があり、これは利下げペースの鈍化要因となる可能性があります。
一方で、暗号資産市場にとってトランプ政権は概してポジティブと見られています。規制緩和的な姿勢や、ビットコインに対する好意的な発言が、市場心理を支える可能性が高いためです。
投資家の皆様は、マクロ経済環境と個別の規制動向の両方に目を配りながら、投資判断を行う必要があるでしょう。特に、12月のFOMCと、新政権の経済政策の具体的な内容が、今後の市場動向を左右する重要なポイントとなりそうです。