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Binanceが定期送信機能をリリース、暗号資産を「日常決済」へ進化させる新機能

[更新]2025年12月21日

Binanceが定期送信機能をリリース、暗号資産を「日常決済」へ進化させる新機能 - innovaTopia - (イノベトピア)

Binanceは2025年12月19日18:00、Binance PayとCrypto Withdrawalsの定期送信機能を導入したと発表した。Binance Payの定期送信機能は、Binanceユーザー間での定期的な支払いを自動化する。

受取人はBinance UID、メールアドレス、電話番号で指定でき、送信間隔は毎日、毎週、毎月から選択可能である。支払い1日前にリマインダーを受け取り、残高不足時には即座に通知される。この機能はBinanceアプリからアクセスできる。

Crypto Withdrawalsの定期送信機能は、Binanceユーザーまたは外部オンチェーンアドレスへの暗号資産出金を自動化する。頻度は毎日、毎週、毎月、毎年から選択可能で、ホワイトリストアドレスへの制限、複数スケジュール設定、残高不足時の代替資産利用に対応する。

この機能はウェブサイトとアプリの両方からアクセスできる。

From: 文献リンクIntroducing Recurring Send for Binance Pay and Crypto Withdrawals: Automate Your Transfers

【編集部解説】

今回Binanceが導入した定期送信機能は、暗号資産が「投機の対象」から「日常的な決済手段」へと進化していく過程を象徴する動きと言えます。従来の銀行口座における自動振込や定額送金と同様の機能を、暗号資産の世界で実現したものです。

この機能の最大の意義は、暗号資産特有の課題である「手動操作の煩雑さ」を解消した点にあります。毎回ウォレットを開いてアドレスを確認し、送金額を入力する作業は、特に定期的な支払いにおいては大きな負担でした。自動化によって、サブスクリプション料金の支払いや家族への仕送り、さらにはドルコスト平均法(DCA)による投資戦略まで、幅広い用途での活用が期待できます。

セキュリティ面では、ホワイトリストアドレスへの制限機能と事前通知システムが注目に値します。定期送信という「自動化」は利便性を高める一方で、設定ミスや不正アクセスのリスクも内包しています。送信1日前のリマインダーや残高不足時の即座の通知は、ユーザーが資金の動きを把握し続けるための重要な安全装置です。

一方で、規制面での課題も見逃せません。自動化された暗号資産の送金は、マネーロンダリング対策(AML)や顧客確認(KYC)の観点から、各国の金融当局が注視する領域です。特に外部ウォレットへの定期出金機能は、資金の流れを追跡しにくくする可能性があり、今後規制当局からの追加要件が課される可能性も考えられます。

この機能は、2025年の暗号資産決済市場全体のトレンドとも合致しています。ステーブルコインを中心とした決済の自動化、AIによる不正検知の強化、そしてオムニチャネル対応など、暗号資産決済は急速に成熟しつつあります。Binanceの今回の動きは、こうした業界全体の流れを加速させる触媒となるでしょう。

長期的な視点では、この機能が暗号資産の「実用性の証明」として機能するかが鍵となります。多くのユーザーがこの機能を日常的に使い始めれば、暗号資産は投機的な資産ではなく、実生活に根ざした決済手段として認知されていくはずです。

【用語解説】

Binance UID (BUID)
Binanceが各ユーザーに割り当てる固有の識別番号である。メールアドレスや電話番号の代わりに、このIDを使って他のBinanceユーザーを特定し送金することができる。

ドルコスト平均法(DCA)
Dollar Cost Averagingの略。一定の金額を定期的に投資し続ける手法である。価格変動のリスクを分散し、高値掴みを避ける投資戦略として広く用いられる。

ホワイトリストアドレス
事前に登録・承認された信頼できる送金先アドレスのリストである。ホワイトリスト機能を有効にすると、登録されていないアドレスへの送金が制限され、セキュリティが向上する。

オンチェーンアドレス
ブロックチェーン上に記録される暗号資産の送金先アドレスである。取引所内の送金とは異なり、ブロックチェーンネットワークを経由するため、トランザクション手数料が発生する。

AML(マネーロンダリング対策)
Anti-Money Launderingの略。不正な資金の洗浄を防止するための規制や手続きを指す。金融機関や暗号資産取引所は、疑わしい取引を監視・報告する義務がある。

KYC(顧客確認)
Know Your Customerの略。金融サービス提供者が顧客の身元を確認する手続きである。本人確認書類の提出などを通じて、不正利用やマネーロンダリングを防止する。

【参考リンク】

Binance公式サイト(外部)
世界最大級の暗号資産取引所。現物取引、先物取引、ステーキング、NFTマーケットプレイスなど幅広いサービスを提供している。

Binance Pay公式ページ(外部)
Binanceが提供する暗号資産決済サービス。Binanceユーザー間で手数料無料で即座に暗号資産を送金できる。

Binance定期送信機能設定ページ(外部)
Binance Payの定期送信機能にアクセスするための直接リンク。Binanceアプリから定期的な暗号資産送金を設定できる。

【参考記事】

Binance Automates Crypto Payments with ‘Recurring Send’ Feature(外部)
Binanceの定期送信機能導入について報じた記事。サブスクリプション料金やDCA投資を自動化できる利点を解説。

Binance Introduces Recurring Send Features for Pay and Crypto Withdrawals(外部)
Binance公式が発表した定期送信機能の詳細記事。セキュリティ機能、設定手順などが詳述されている。

State of Crypto Payments 2025: Market, Laws & Rails(外部)
2025年の暗号資産決済市場の現状と規制動向を分析。ステーブルコインの普及、決済インフラの成熟を解説。

Crypto Payment Gateway Market 2025: Trends, Growth & Future(外部)
2025年の暗号資産決済ゲートウェイ市場の成長トレンドを分析。自動化技術の導入、AI活用を報告。

What Is Dollar-Cost Averaging (DCA)? A Beginner’s Guide to Crypto(外部)
Binance公式によるドルコスト平均法の解説記事。暗号資産投資における定期積立の効果を初心者向けに説明。

【編集部後記】

暗号資産の「自動化」という新しい一歩を、みなさんはどう捉えますか? 便利さの裏側には、設定ミスや不正アクセスのリスクも潜んでいます。私たち自身、この技術が日常に溶け込む未来を期待しながらも、セキュリティと利便性のバランスをどう取るべきか、正直なところ答えを探している最中です。

定期送金を使ってみたいと思う用途はありますか? それとも、まだ慎重に様子を見たいでしょうか? 読者のみなさんの率直な感想や疑問を、ぜひ聞かせていただけたら嬉しいです。

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TaTsu
『デジタルの窓口』代表。名前の通り、テクノロジーに関するあらゆる相談の”最初の窓口”になることが私の役割です。未来技術がもたらす「期待」と、情報セキュリティという「不安」の両方に寄り添い、誰もが安心して新しい一歩を踏み出せるような道しるべを発信します。 ブロックチェーンやスペーステクノロジーといったワクワクする未来の話から、サイバー攻撃から身を守る実践的な知識まで、幅広くカバー。ハイブリッド異業種交流会『クロストーク』のファウンダーとしての顔も持つ。未来を語り合う場を創っていきたいです。

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