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セガ公認Web3ゲーム『CODE OF JOKER EVOLUTIONS』開発中止、NFT市場72%縮小の余波

[更新]2025年12月29日

セガ公認Web3ゲーム『CODE OF JOKER EVOLUTIONS』開発中止、NFT市場72%縮小の余波 - innovaTopia - (イノベトピア)

セガの人気アーケードゲームをWeb3で復活させるプロジェクトが、サービス開始直前で開発中止となった。20億ドル規模のタイトルを手掛けたベテランプロデューサー陣が率いていたにも関わらず、2025年のWeb3ゲーム市場が直面する構造的危機は、このプロジェクトさえも飲み込んでしまったのだ。


Jokers株式会社(本社:東京都渋谷区、共同代表:佐藤渉・西山泰弘)は、株式会社セガからライセンス許諾を受けて開発していた『CODE OF JOKER EVOLUTIONS』の開発中止を決定した。

本年末から来年初頭のサービス開始を目指していたが、WEB3ゲーム市場環境の変化を理由に中止に至った。先日発売した『CODE OF JOKER EVOLUTIONS × 科学忍者隊ガッチャマン コラボカードパック』の購入者には返金対応を実施する。返金対応期間は2025年12月22日15時から2026年3月23日23時59分までの3ヶ月間である。

NFTカードパック及び開封済みNFTカードの保有者には、今後『科学忍者隊ガッチャマンTCGカード』へのコンバートを検討している。

From: 文献リンク『CODE OF JOKER EVOLUTIONS』開発中止のお知らせ

【編集部解説】

今回の開発中止は、単独企業の経営判断というより、2025年のWeb3ゲーム業界が直面している構造的危機を象徴する事例です。

GameFiプロジェクトへの資金調達は前年比70%減少し、主要なゲームトークンは90%以上の価値を失いました。NFT市場全体も1月の92億ドルから12月には25億ドルへと72%縮小しており、購入者数も13.5万人程度まで減少しています。こうした市場環境の悪化により、2025年だけで15以上のWeb3ゲームタイトルが開発中止や運営終了に追い込まれました。

特筆すべきは、Jokers株式会社の共同代表である西山泰弘氏と佐藤渉氏が、いずれもセガ出身のベテランゲームプロデューサーである点です。西山氏は20億ドル以上、佐藤氏は17億ドル以上のタイトルを手がけた実績を持ち、元々のCODE OF JOKERは2013年から2019年まで稼働し、最盛期には全国650以上のアミューズメント施設で2,760台が設置されていた人気タイトルでした。

つまり、IPの知名度も開発陣の実力も申し分ない状況でありながら、市場環境の変化によって開発継続が困難になったということです。

今回Jokersが採用した返金対応とNFTコンバート施策は、Web3ゲーム開発中止における一つの参考事例となるでしょう。購入者に対しては3ヶ月間の返金期間を設け、NFT保有者には『科学忍者隊ガッチャマンTCGカード』への変換という代替価値を提示しています。これは単なる撤退ではなく、ユーザー資産の保護とブランド信頼の維持を両立させようとする姿勢の表れです。

Web3ゲーム市場は長期的には成長が予測されており、2025年の337億ドルから2035年には1,841億ドル規模へと年率18.5%で拡大するという調査もあります。しかし現実には投機的な資金流入が減退し、持続可能なゲーム経済の構築が求められる転換期を迎えています。

今後のWeb3ゲーム業界は、トークン経済への依存から脱却し、ゲーム性そのものの面白さと、ブロックチェーン技術が提供する真の価値(資産の相互運用性、透明な経済圏など)を両立できるタイトルのみが生き残る時代に入ったと言えるでしょう。

【用語解説】

Web3ゲーム
ブロックチェーン技術を基盤とし、NFTやトークンを活用してゲーム内資産の所有権をプレイヤーに付与するゲームの総称。従来のゲームと異なり、アイテムやキャラクターを実際の資産として取引できる点が特徴である。

NFT(Non-Fungible Token)
ブロックチェーン上で発行される代替不可能なデジタル資産。ゲーム内では、カードやアイテムなど個別の価値を持つコンテンツの所有権証明として機能する。

GameFi
ゲーム(Game)と金融(Finance)を組み合わせた造語。プレイヤーがゲームをプレイすることで収益を得られる仕組みを持つブロックチェーンゲームのカテゴリーを指す。

コンバート(変換)
既存のデジタル資産を別の形式や用途に変換すること。本件では、開発中止となったゲームのNFTカードを、別のゲームで使用可能なカードへ変換する措置を指す。

IP(Intellectual Property)
知的財産のこと。ゲーム業界では、キャラクターや世界観などの創作物に対する権利を指す。CODE OF JOKERやガッチャマンなど、既存の人気タイトルを指す文脈で使用される。

【参考リンク】

JOKERS Inc. 公式サイト(外部)
CODE OF JOKER EVOLUTIONSを開発していたJokers株式会社の公式サイト。セガ出身の共同代表が率いる開発スタジオ。

CODE OF JOKER 公式サイト(セガ)(外部)
2013年から2019年まで稼働していたセガのアーケード対戦型トレーディングカードゲームの公式サイト。

株式会社セガ 公式サイト(外部)
日本を代表する大手ゲームメーカー。CODE OF JOKERの原作権を保有し、Jokersにライセンス許諾していた。

【参考記事】

NFT Market Cap Crashes 72% in 2025 as Traders Retreat(外部)
NFT市場が1月の92億ドルから12月には25億ドルへと72%縮小し、購入者数も13.5万人まで減少したことを報じる。

Crypto Gaming’s Brutal 2025: Failures, Fallout, and Flickers of Hope(外部)
GameFi資金調達が前年比70%減少、主要トークンが90%以上の価値を失った2025年のWeb3ゲーム業界の危機を分析。

Play-To-Zero? Web3 Games That Shut Down in 2025 (So Far)(外部)
2025年に開発中止や運営終了となったWeb3ゲームタイトルを一覧化。15以上のプロジェクトが撤退した状況を報告。

Web3 Gaming Market Size & Trends 2025 to 2035(外部)
2025年の337億ドルから2035年には1,841億ドル規模へと年率18.5%で成長するというWeb3ゲーム市場の長期予測。

Arcade game Code of Joker coming to Sui in first Japanese IP wave(外部)
元のアーケード版が2013年から2019年まで650以上の施設で稼働していた実績とWeb3版の開発計画を紹介。

【編集部後記】

Web3ゲームの可能性に期待していた方々にとって、今回のニュースは残念に感じられるかもしれません。ただ、この出来事は業界が投機から本質的な価値創造へとシフトする転換点を示しているようにも思えます。ゲームとしての面白さと、ブロックチェーンが提供する真の価値は、どこで折り合いをつけられるのでしょうか。

皆さんは、今後どのようなWeb3ゲームなら「プレイしたい」と感じますか?市場の淘汰が進む今だからこそ、次世代のゲーム体験について一緒に考えてみませんか。ぜひコメント欄でご意見をお聞かせください。

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TaTsu
『デジタルの窓口』代表。名前の通り、テクノロジーに関するあらゆる相談の”最初の窓口”になることが私の役割です。未来技術がもたらす「期待」と、情報セキュリティという「不安」の両方に寄り添い、誰もが安心して新しい一歩を踏み出せるような道しるべを発信します。 ブロックチェーンやスペーステクノロジーといったワクワクする未来の話から、サイバー攻撃から身を守る実践的な知識まで、幅広くカバー。ハイブリッド異業種交流会『クロストーク』のファウンダーとしての顔も持つ。未来を語り合う場を創っていきたいです。

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