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Uniswap、1億UNI(約900億円)バーンを可決──プロトコルフィー導入で価値蓄積モデルへ転換

[更新]2025年12月29日

Uniswap、1億UNI(約600億円)バーンを可決──プロトコルフィー導入で価値蓄積モデルへ転換 - innovaTopia - (イノベトピア)

Uniswap LabsとUniswap Foundationによる「UNIfication」提案が2025年12月、5日間の投票期間を経て1億2500万票以上の賛成を獲得し、反対票はわずか742票だった。この提案は、暗号資産業界最大の分散型取引所であるUniswapにおいてプロトコルフィーを有効化し、UNIトークンをバーンするものである。

DeFiLlamaのデータによると、Uniswapは1日平均約20億ドルの取引量があり、年間6億ドルの手数料を生み出している。これまで手数料はすべて流動性プロバイダーに配分されていたが、今後は一部がトークンバーンのメカニズムに振り向けられる。さらにトレジャリーから1億UNIトークン、現在のレートで5億9000万ドル以上の価値がバーンされる。

これは2018年のUniswap創設以来の手数料を反映する遡及的措置である。UNIトークンは過去24時間で2.5%上昇し5.92ドルとなった。

From: 文献リンクUniswap’s token burn, protocol fee proposal backed overwhelmingly by voters

【編集部解説】

今回のUniswapの決定は、DeFi(分散型金融)における経済モデルの転換点として注目に値します。なぜなら、これまで純粋なガバナンス機能しか持たなかったトークンに、プロトコルの活動と直接連動する経済的価値を付与する試みだからです。

「フィースイッチ」と呼ばれるこのメカニズムは、実は2022年から議論されてきた懸案事項でした。当初は流動性プロバイダー(LP)への報酬削減を懸念する声が強く、実装が見送られてきた経緯があります。しかし今回、99.9%という圧倒的な支持率で可決されたのは、プロトコルの長期的な持続可能性を重視する声が勝ったことを意味します。

技術的には、0.05%のプロトコルフィーが取引手数料から徴収され、その全額がUNIトークンのバーンに充てられます。これにより「デフレーショナルループ」が生まれます。取引量が増えるほどバーン量が増加し、供給量が減少することで希少性が高まるという循環です。

特筆すべきは、1億UNIという規模のバーンが一度に実行される点です。これは流通供給量の約16%に相当し、トレジャリーの価値は21億ドルから16億ドルへと大幅に減少しました。この措置は「2018年の創設以来、フィースイッチが有効だった場合に蓄積されていたはずの価値」を遡及的に反映させる象徴的な意味を持ちます。

ただし、潜在的なリスクも存在します。流動性プロバイダーにとっては収益が減少するため、他のDEXへ資金が流出する可能性があります。また、トークンバーンという形で価値を還元する仕組みが、証券規制の観点からどう解釈されるかは未知数です。

長期的には、この決定がDeFi業界全体の「価値蓄積モデル」の標準となる可能性があります。プロトコルの使用量と直接連動する経済設計は、投機的な需要ではなく実需に基づいたトークン評価を促進するでしょう。

【用語解説】

プロトコルフィー
分散型プロトコルが取引手数料の一部を徴収し、トークンホルダーやプロトコル自体に還元する仕組み。Uniswapの場合、0.05%が徴収される。

トークンバーン
暗号資産の供給量を恒久的に減少させるため、トークンを使用不可能な状態にする行為。供給量減少により希少性を高め、価値向上を図る。

流動性プロバイダー(LP)
分散型取引所に暗号資産を預け入れ、取引の流動性を提供する参加者。その対価として取引手数料の一部を受け取る。

フィースイッチ
Uniswapのスマートコントラクトに組み込まれた機能で、手数料をLPだけでなくプロトコル側にも配分できるようにする切り替えメカニズム。

ガバナンストークン
プロトコルの運営方針や仕様変更について投票権を持つトークン。従来のUNIは経済的価値を持たず、投票機能のみだった。

デフレーショナルループ
取引量増加→バーン量増加→供給量減少→希少性向上という循環構造。需要が一定であれば価格上昇圧力となる。

トレジャリー
プロトコルが保有する資金や資産の貯蔵庫。開発費用やエコシステム支援などに使用される。

【参考リンク】

Uniswap公式サイト(外部)
世界最大級の分散型取引所(DEX)の公式サイト。プロトコルの仕組み、統計データ、ガバナンス情報を提供。

Uniswap Foundation(外部)
Uniswapエコシステムの発展を支援する非営利組織。ガバナンス提案の詳細や投票状況を確認できる。

DeFiLlama(外部)
DeFiプロトコルのTVL(Total Value Locked)や取引量、手数料などの統計データを集約する分析プラットフォーム。

【参考記事】

Uniswap Passes ‘UNIfication’ Fee Switch Proposal(外部)
UNIfication提案の可決を報じた記事。フィースイッチの技術的な仕組みと、1億UNIバーンの実施スケジュールを詳述。

Uniswap’s Governance-Driven Capital Destruction: A New Paradigm for DeFi Token Valuation(外部)
トレジャリーが21億ドルから16億ドルへ減少した経緯と、流通供給量の16%に相当する1億UNIバーンの意義を分析。

Uniswap Fee Switch Set to Launch: A Protocol Confronts Its Own Value(外部)
フィースイッチの導入がUniswapの価値創造モデルをどう変えるかを考察。0.05%のプロトコルフィーの徴収メカニズムを詳述。

Uniswap Burns $596M in UNI as Fee Switch Goes Live(外部)
5億9600万ドル相当の1億UNIバーンの実施を報告。2018年創設以来の累積手数料を遡及的に反映する象徴的な意味を解説。

Uniswap’s Proposed ‘Fee Switch’ Would Cut Into Liquidity Provider Payouts(外部)
2022年からフィースイッチ導入が議論されてきた経緯と、流動性プロバイダーへの影響に関する懸念を報じた記事。

【編集部後記】

DeFiプロトコルが「持続可能な価値をどう生み出すか」という問いは、私たち投資家やユーザーにとっても重要なテーマではないでしょうか。今回のUniswapの決断は、ガバナンス機能だけのトークンから価値蓄積資産への転換という大きな実験です。

あなたが使っているDeFiサービスは、どのような経済モデルで成り立っているでしょうか?また、流動性プロバイダーとトークンホルダーの利害をどうバランスさせるべきか、一緒に考えてみませんか。この変化が他のプロトコルにどう波及するのか、今後も注目していきたいですね。

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TaTsu
『デジタルの窓口』代表。名前の通り、テクノロジーに関するあらゆる相談の”最初の窓口”になることが私の役割です。未来技術がもたらす「期待」と、情報セキュリティという「不安」の両方に寄り添い、誰もが安心して新しい一歩を踏み出せるような道しるべを発信します。 ブロックチェーンやスペーステクノロジーといったワクワクする未来の話から、サイバー攻撃から身を守る実践的な知識まで、幅広くカバー。ハイブリッド異業種交流会『クロストーク』のファウンダーとしての顔も持つ。未来を語り合う場を創っていきたいです。

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