株価33%下落、含み損39%という厳しい状況下でも、東京証券取引所上場のMetaplanetはビットコイン購入戦略の継続を表明した。CEOサイモン・ゲロビッチ氏は「方針に変更はない」と明言し、140億円を追加投資する計画を発表——この決断は勇気か、それとも無謀か。
東京証券取引所に上場するMetaplanetは2026年2月6日、Bitcoin購入戦略を継続すると表明した。CEOのサイモン・ゲロビッチ氏がX上で株主向けに声明を発表した。同社株価は金曜日に5.56%下落し340円で終了、5日間で18.27%下落、過去1か月では33.33%下落している。
Metaplanetは世界第4位の公開企業Bitcoin保有者で、35,102 BTCを保有する。2025年第4四半期に4億5,100万ドル相当のBitcoinを購入し、平均購入価格は107,716ドルである。現在価格では約39%の含み損を抱えている。同社は株式発行を通じて122億円(約7,950万ドル)の資金調達を完了し、株式取得権を含めると最大1億3,700万ドルの調達が可能である。
約140億円(9,120万ドル)を追加Bitcoin取得に充てる予定だ。2025年度の収益は89億円、営業利益は63億円となった。
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Japan’s Metaplanet vows to keep buying Bitcoin despite $65K dip
【編集部解説】
このニュースは、日本企業によるビットコイン戦略の本気度を示す重要な一報です。Metaplanetは「日本のMicroStrategy」と呼ばれ、ビットコインを企業財務の中核資産として位置づける大胆な経営方針を貫いています。
注目すべきは、同社が株価33.33%下落という厳しい状況下でも方針転換しないと明言した点です。一般的な上場企業であれば、これだけの株価下落があれば株主からの圧力で戦略変更を迫られるケースが多いでしょう。しかし同社CEOのサイモン・ゲロビッチ氏は「ビットコイン蓄積戦略に変更はない」と明言し、むしろ追加で140億円をビットコイン取得に充てる計画を公表しました。
ビットコイン市場全体が厳しい局面にあることも事実です。わずか4か月前に記録した史上最高値から47%以上下落し、2026年2月初旬には一時62,000ドル付近まで下落しました。この急落により、世界最大のビットコイン保有企業であるStrategy(旧MicroStrategy)も2025年第4四半期に124億ドルという巨額の純損失を計上しています。
Metaplanetの平均購入価格は107,716ドルのため、現在価格では約39%の含み損を抱えている計算になります。しかし、これはあくまで会計上の評価損であり、ビットコインを売却しない限り実現しない損失です。
同社の戦略背景には、日本特有のマクロ経済環境があります。日本は国債残高がGDP比260%という先進国最悪の財政状況を抱え、長期的な円安圧力にさらされています。従来型の円建て資産や国債では企業価値を維持できないという危機感が、ビットコインという希少性のある資産への転換を促しているのです。
今回の資金調達では、第25回シリーズワラント(新株予約権)を発行し、2026年2月16日から2027年2月15日の間に行使可能としています。これは市場環境が好転した際に追加資金を確保する仕組みであり、柔軟な資本戦略と言えます。
一方でリスクも存在します。ビットコイン価格がさらに下落すれば含み損は拡大し、株価への下押し圧力が続く可能性があります。また、日本の会計基準では保有する暗号資産を期末時点の時価で評価する必要があり、価格変動が四半期ごとの決算に直接影響を及ぼします。
しかし長期的視点で見れば、Metaplanetの戦略は日本における機関投資家のビットコイン採用の先駆けとなる可能性を秘めています。同社は東京証券取引所に上場しており、その動向は他の日本企業や機関投資家にとって重要な判断材料となるでしょう。
2025年度の業績面では、収益が89億円(前回予想68億円から31%増)、営業利益が63億円と堅調に推移しています。ビットコイン戦略と並行して事業収益も確保している点は、財務安定性の観点から評価できます。
今後、ビットコイン市場が回復に転じた際、Metaplanetの戦略が正当化されるのか、それとも過度なリスクテイクと評価されるのか。2026年は日本企業のビットコイン戦略を占う試金石の年となりそうです。
【用語解説】
ワラント(新株予約権)
あらかじめ決められた価格で、将来株式を購入できる権利のこと。企業は資金調達の手段として発行し、投資家は株価上昇時に利益を得られる可能性がある。行使期間内であれば任意のタイミングで権利を行使できる。
第三者割当
既存株主ではなく、特定の第三者に対して新株や新株予約権を割り当てる資金調達方法である。迅速な資金調達が可能だが、既存株主の持株比率が希薄化するリスクがある。
含み損(評価損)
保有する資産の時価が取得価格を下回っている状態を指す。実際に売却するまでは確定した損失ではなく、帳簿上の損失に留まる。日本の会計基準では、保有する暗号資産を期末時点の時価で評価する必要があり、価格変動が決算に影響を与える。
トレジャリー戦略
企業が余剰資金を現金や国債ではなく、ビットコインなどの希少資産で保有する財務戦略のこと。インフレや通貨価値下落から資産を守ることを目的とするが、価格変動リスクも伴う。
BTC
ビットコインの通貨単位を示す略称である。1 BTCは分割可能で、最小単位は0.00000001 BTC(1サトシ)となる。
【参考リンク】
Metaplanet 公式サイト(外部)
東京証券取引所上場の日本企業。ビットコインを企業財務の中核資産として保有する戦略を展開し、リアルタイムの保有状況を公開している。
BitcoinTreasuries.NET(外部)
世界中の企業、政府、ETFによるビットコイン保有状況を追跡するデータベースサイト。各企業の保有量、平均購入価格、含み損益を一覧表示。
Strategy(旧MicroStrategy)公式サイト(外部)
世界最大のビットコイン保有企業。2020年以降、ビットコインを主要な財務戦略資産として大量購入を続けている。
東京証券取引所(Tokyo Stock Exchange)(外部)
日本最大の証券取引所。Metaplanetは証券コード3350で上場しており、時価総額や株価情報を公式に提供している。
【参考記事】
Strategy Announces Fourth Quarter 2025 Financial Results(外部)
世界最大のビットコイン保有企業Strategyの2025年第4四半期決算発表。124億ドルの純損失を計上した詳細を報告。
Bitcoin Giant Strategy Records $12.4 Billion Q4 Loss(外部)
Strategyの巨額損失の詳細を報じる記事。ビットコイン価格下落により、平均購入価格を下回ったことで評価損が発生。
Bitcoin Crashes To Around $60,000 as Historic Free Fall Worsens(外部)
2026年2月初旬のビットコイン価格急落を詳報。史上最高値から50%近く下落し、一時62,000ドル付近まで暴落した市場を分析。
Metaplanet to Continue with Bitcoin Buying Despite Crash(外部)
Metaplanetがビットコイン価格下落にもかかわらず購入戦略を継続すると発表。株価下落と含み損下でも方針不変の姿勢を報じる。
Bitcoin Price Plunges 50%, Drawdown Nears FTX-Era Crash(外部)
2026年2月のビットコイン価格下落を2022年のFTX破綻時と比較。市場調整局面が企業保有者に与える影響と長期戦略の意義を論じる。
【編集部後記】
Metaplanetの姿勢を見て、皆さんはどう感じられたでしょうか。株価が3割以上下落し、含み損が約4割に達してもなお戦略を貫く経営判断——これは勇気なのか、それとも無謀なのか。
私たち自身も明確な答えを持っているわけではありません。ただ、企業がどのように未来に賭けるのか、その選択の背景にある思想は興味深いものです。もし皆さんが経営者だったら、どんな財務戦略を選びますか?伝統的な安全資産か、それとも新しい価値の保存手段か。この問いに正解はないからこそ、Metaplanetの今後を一緒に見届けていきたいと思います。






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