ETHZilla Corporation(Nasdaq: ETHZ)は2026年2月12日、完全子会社ETHZilla Aerospace LLCを通じてEurus Aero Token Iの発行を発表した。これはEthereumネットワーク上で取引可能なトークン化航空資産で、米国大手航空会社にリース中のCFM56商業用ジェットエンジン2基を担保とする。
エンジンの取得総額は約1,220万ドルである。トークンはLiquidity.ioを通じて適格投資家向けに1つ100ドルで提供され、最低購入数は10トークンとなる。リース期間は2028年まで延長され、フルターム保有時の目標リターンは約11%である。ERC-20トークン構造により月次で現金分配が行われる。各リースには300万ドルのプット/コールオプションが含まれ、リース完了後のメンテナンスはAero Engine Solutionsが担当する。
ETHZillaは2025年8月設立以降、実世界資産トークン化のインフラを構築しており、今後ZippyおよびKarusとの契約を通じて製造住宅ローンと自動車ローンのトークン化も予定している。
【編集部解説】
今回のETHZillaによる発表は、実世界資産(RWA: Real World Assets)のトークン化という、ブロックチェーン業界が数年来追求してきた命題の具体的な実装例として注目に値します。
従来、航空機エンジンのリース投資は数百万ドル規模の初期資本を要求されるため、機関投資家やプライベートエクイティファンドにしかアクセスできない資産クラスでした。業界データによれば、エンジンリースは年間10-15%の安定したリターンを生み出すとされていますが、この市場への参入障壁は極めて高かったのです。
ETHZillaが選択したCFM56エンジンは、Boeing 737やAirbus A320といった世界で最も運用されている旅客機に搭載される主力エンジンです。2019年時点で10億飛行時間を超え、350億人以上を運んできた実績を持ち、アフターマーケットでの需要も堅調に推移しています。
ブロックチェーン上での実装により、月次のリース収入が自動的にトークン保有者へ分配される透明性の高い仕組みが実現されました。ERC-20トークン構造を採用することで、オンチェーンでの検証可能性と流動性が担保されています。
ただし、投資家は複数のリスクを認識する必要があります。まず、適格投資家のみに限定されたRegulation D準拠の私募であるため、一般投資家は参加できません。また、航空業界特有のリスク(需要変動、燃料価格、地政学的要因)や、トークン自体の流動性リスクも存在します。さらに、プレスリリースには「実際の結果は大きく異なる可能性がある」という注意書きが明記されており、目標リターン11%は保証されたものではありません。
興味深いのは、韓国のKyobo Lifeが2025年3月に同様の航空機エンジンのトークン化プロジェクトを発表しており、グローバルで実物資産のトークン化が加速している点です。
ETHZillaは今後、製造住宅ローンや自動車ローンなど他の資産クラスへも展開を予定しており、伝統的金融とブロックチェーン技術の融合がどこまで進むのか、その試金石となるプロジェクトといえるでしょう。
【用語解説】
RWA(Real World Assets / 実世界資産)
不動産、航空機、債券、商品など、物理的に存在する資産や伝統的金融資産をブロックチェーン上でトークン化したもの。デジタル化することで、従来は流動性が低かった資産の分割所有や取引を可能にする。
ERC-20
Ethereumブロックチェーン上で発行されるトークンの技術標準規格。この規格に準拠することで、異なるウォレットや取引所での互換性が確保され、スマートコントラクトによる自動処理が可能になる。
適格投資家(Accredited Investor)
米国証券法で定義される、一定の資産や収入基準を満たす投資家。個人の場合は純資産100万ドル以上、または年収20万ドル以上などの要件がある。高リスク投資への参加資格として設定されている。
Regulation D
米国証券取引委員会(SEC)が定める私募規制。特定の条件下で証券登録を免除し、適格投資家への限定的な募集を認める。スタートアップやプライベート投資で広く活用される法的枠組みである。
CFM56エンジン
GE AviationとSafran Aircraft EnginesによるCFM Internationalが製造する商業用ターボファンエンジン。Boeing 737やAirbus A320シリーズに搭載され、世界で最も多く運用されている航空機エンジンの一つ。
【参考リンク】
ETHZilla Corporation 公式サイト(外部)
実世界資産のトークン化プラットフォームを提供する金融技術企業。Ethereumレイヤー2プロトコルを活用し、航空宇宙資産から自動車ローンまで幅広い資産クラスのトークン化を展開。
Liquidity.io(外部)
規制対象のデジタル資産取引プラットフォーム。ブローカーディーラーライセンスを保有し、トークン化された証券の上場・取引サービスを提供する金融機関。
CFM International(外部)
GE AviationとSafran Aircraft Enginesの合弁企業。CFM56およびLEAPエンジンシリーズを製造し、世界の商業航空市場で最大のシェアを持つエンジンメーカー。
【参考記事】
ETHZilla Launches Aviation Token Backed By Jet Engines(外部)
ETHZillaが航空資産トークン化に参入したニュースを報じる記事。Eurus Aero Token Iの仕組みと、ブロックチェーンを活用した実世界資産投資の新しいモデルについて解説。
Ethereum Treasury Firm ETHZilla Pivots to Jet Engine Lease(外部)
ETHZillaのビジネスモデル転換を詳報。元々Ethereum保有企業として知られた同社が、1,220万ドルのジェットエンジン購入を通じて実世界資産トークン化事業へ本格参入した経緯を説明。
ETHZilla’s $12.2M Jet Engine Purchase and the Future of Tokenized Real World Assets(外部)
1,220万ドルのジェットエンジン取得取引の詳細と、RWAトークン化市場の将来展望を分析。航空資産投資の伝統的な構造と、ブロックチェーンによる民主化の可能性を比較検討。
Ether.fi RWA Token Launch: The Revolutionary Aircraft Engine Investment(外部)
航空機エンジンのトークン化トレンドを広く解説。業界データとして、エンジンリース投資が年間10-15%のリターンを生み出す資産クラスであることを示し、ブロックチェーン活用による投資機会拡大を論じる。
Korea’s Kyobo Life to tokenize aircraft engines with Shinhan consortium(外部)
韓国Kyobo Lifeが2025年3月に発表した航空機エンジンのトークン化プロジェクトを報道。グローバルで実物資産のトークン化が加速している状況を示す重要な事例として参照。
【編集部後記】
航空機エンジンという、これまで一部の機関投資家だけが触れられた資産が、ブロックチェーン技術によって個人投資家の選択肢になりつつあります。1,000ドルから参加できるこの仕組みは、投資の民主化といえるのか、それとも新たなリスクの入り口なのか。みなさんはどう感じますか?
実世界の資産がデジタル化されていく流れは、今後さらに加速していくでしょう。不動産、美術品、インフラ―次にトークン化される資産は何だと思いますか?私たちと一緒に、この変化の意味を考えていければと思います。





































