Last Updated on 2024-03-05 08:28 by 荒木 啓介
サイバーセキュリティの責任者(CISO)は、CEOからの十分な支援を受けていると感じているのは30%に過ぎないというPwCの報告がある。予算制約やサイバーセキュリティの人材不足にもかかわらず、組織を悪意のある行為から守ることの難しさが増している。さらに、SolarWindsとそのCISOに対する詐欺の告発、Uberの元CISOの判決など、2023年にはCISOが犯罪の責任を問われる可能性がある状況が生じている。このような状況から、Gartnerは2025年までにほぼ半数のサイバーセキュリティリーダーが職を変えると予測している。
CEOとCISOの間の支援的なパートナーシップは重要であり、CEOがCISOを支援するためにできることがいくつか挙げられている。まず、CISOがCEOに直接報告できるようにすること、CISOの背中を守ること、CISOと共にレジリエンス戦略を作ること、そしてAIの影響について合意することが含まれる。これらの措置は、CISOが直面する膨大な期待に対処するための支援となり、組織にとっても大きな利益となる。
【ニュース解説】
現代のビジネス環境において、サイバーセキュリティは企業運営の重要な柱の一つとなっています。その中心にいるのが、企業の情報セキュリティを守る責任者であるCISO(Chief Information Security Officer:最高情報セキュリティ責任者)です。しかし、PwCの報告によると、CISOがCEO(最高経営責任者)から十分な支援を受けていると感じているのは30%に過ぎないという現状があります。これは、サイバーセキュリティの脅威が増加する中で、予算制約や人材不足に直面しながらも、組織を守ることの難しさが増していることを示しています。
さらに、2023年には、SolarWinds社とそのCISOに対する詐欺の告発や、Uberの元CISOの判決など、CISOが犯罪の責任を問われる可能性がある状況が生じています。これらの事例は、CISOの職務が以前にも増してリスクを伴うものになっていることを示しており、Gartnerは2025年までにほぼ半数のサイバーセキュリティリーダーが職を変えると予測しています。
このような状況の中で、CEOとCISOの間の支援的なパートナーシップが非常に重要になってきます。CEOがCISOを支援するためにできることとして、以下の4点が挙げられます。
1. CISOがCEOに直接報告できるようにすること。これにより、サイバーセキュリティ戦略と実行において、両者が密接に連携できるようになります。
2. CISOの背中を守ること。これには、CISOがリーダーシップを発揮し、サイバーセキュリティミッションを実行できるようにすること、必要なリソースを提供すること、そして職務の難しさに共感することが含まれます。
3. CISOと共にレジリエンス戦略を作ること。攻撃の予防だけでなく、攻撃が避けられない場合に備えて、最も重要なデータを保護し、攻撃の影響を最小限に抑え、迅速に対処し、ビジネスを継続できるようにすることが重要です。
4. AIの影響について合意すること。AIはサイバー攻撃者と防御者の両方にとって有用なツールとなっていますが、製品開発や顧客サポート機能でのAIの使用がセキュリティリスクを高める可能性がある場合、CISOはそのリスクを慎重に評価する必要があります。
これらの措置は、CISOが直面する膨大な期待に対処するための支援となり、組織にとっても大きな利益となります。CEOとCISOが協力し合うことで、サイバーセキュリティの脅威に対するより強固な防御体制を築くことができるでしょう。
“CISO支援不足にCEO対策必須、PwC報告が警鐘” への1件のコメント
この記事を読んで、サイバーセキュリティの世界では、技術的なスキルだけではなく、組織内でのコミュニケーションやサポート体制が非常に重要であることがよくわかりました。特に、CISOとCEOの関係は、企業の情報セキュリティを強化するためには欠かせないパートナーシップだと感じます。
今の時代、私たちの生活もインターネットやSNSが密接に関わっているので、サイバーセキュリティの問題は身近なものになっています。私自身、InstagramやTikTokを使う際にも、個人情報の管理やセキュリティには注意していますが、企業レベルで考えると、その重要性や複雑さはもっと大きなものだと思います。
CEOがCISOへ十分な支援を提供することで、企業全体のセキュリティ意識が高まり、攻撃に対する防御力を強化できると思うので、記事で提案されているような措置は非常に有効だと思います。特に、AIの影響について合意することは、今後ますます技術が進化していく中で、サイバーセキュリティの戦略において重要なポイントになるでしょう。
個人としても、企業としても、サイバーセキュリティへの意識を高め、それに対応するための学びや投資を続けることが大切だと改めて感じました