イラン革命防衛隊関連ハッカー、米大統領選に干渉 – サイバー攻撃の新たな脅威

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Last Updated on 2024-10-01 08:56 by admin

2024年9月27日、米国司法省は、ドナルド・トランプ大統領候補の選挙運動を標的としたハッキング作戦に関与したとして、イラン人3名を起訴した。起訴されたのは、マスード・ジャリリ、セイエド・アリガミリ、ヤサル・バラギの3名で、イランの革命防衛隊(IRGC)と関連があるとされている。

彼らは2020年から2024年5月にかけて、現職および元政府高官、ジャーナリスト、非営利団体などを標的とした広範なハッキング活動を行った。特に2024年夏には、トランプ陣営のシステムに侵入し、内部文書を盗み出した。

盗まれた情報には、トランプの副大統領候補であるJDヴァンスに関する機密ファイルも含まれていた。ハッカーたちは、この情報を複数の主要メディアに配布しようとしたが、ニューヨーク・タイムズやワシントン・ポストなどは公開を控えた。

起訴状によると、ハッカーたちは米国政府高官になりすまし、偽のメールアカウントを使用して標的を欺こうとした。また、6月下旬から7月上旬にかけて、ハリス陣営関係者にも盗んだ情報の一部を含む迷惑メールを送信したが、返信はなかった。

この事件は、イラン、ロシア、中国などの敵対的な外国勢力が米国の選挙プロセスを妨害しようとする脅威が高まっていることを浮き彫りにした。米国の情報機関は、これらの国々が人工知能を使用して偽情報を拡散し、世論を操作しようとしていると警告している。

3名のハッカーは現在イランに居住しており、米国の裁判所で裁かれる可能性は低い。彼らは詐欺、窃盗、テロ組織への物質的支援、およびさまざまなサイバー犯罪で起訴されている。

from:DoJ Charges 3 Iranian Hackers in Political ‘Hack & Leak’ Campaign

【編集部解説】

この事件の背景には、米国とイランの長年にわたる緊張関係があります。2020年のソレイマニ司令官殺害以降、両国の対立は一層深まっており、サイバー空間での攻防もその一環と見ることができます。

注目すべきは、ハッカーたちの高度な手法です。彼らは単に情報を盗むだけでなく、盗んだ情報を巧妙に利用して選挙プロセスを混乱させようとしました。これは、サイバー攻撃が単なる情報窃取から、より複雑な心理戦へと進化していることを示しています。

また、この事件は人工知能(AI)の悪用という新たな脅威も浮き彫りにしました。AIを使用した偽情報の拡散は、今後の選挙においてさらに大きな課題となる可能性があります。

一方で、米国の法執行機関や情報機関の迅速な対応も注目に値します。彼らの努力により、攻撃の詳細が明らかになり、対策を講じることができました。これは、サイバーセキュリティにおける国際協力の重要性を示しています。

しかし、この事件は同時に、デジタル時代の選挙の脆弱性も露呈させました。有権者の皆さんは、オンライン上の情報をより批判的に見る必要があるでしょう。

最後に、この事件は、テクノロジーと民主主義の関係について深い問いを投げかけています。私たちは、デジタル技術の恩恵を享受しつつ、どのようにして民主主義のプロセスを守っていくべきなのでしょうか。これは、技術者だけでなく、政策立案者や市民社会全体で考えていくべき重要な課題と言えるでしょう。

【参考情報】

用語解説:

  • IRGC (イラン革命防衛隊): イランの軍事組織で、イスラム革命体制を守ることを目的としています。日本の自衛隊とは異なり、政治的な影響力も持っています。
  • JD ヴァンス: アメリカの政治家で、オハイオ州選出の共和党上院議員です。

【参考リンク】

  1. 米国司法省 (DOJ)(外部)
    米国の法執行を担当する連邦政府機関。今回の起訴を行った組織です。

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