Netscout調査:アフリカのDDoS攻撃が急増、モロッコとエジプトで通信インフラへの脅威が深刻化
- 中東・アフリカ地域全体でDDoS攻撃が前四半期比30%増加
- モロッコ(インターネット普及率90%)で61,000件の攻撃を記録
- うち16,461件が無線通信事業者向け
- 6,000件以上が有線通信会社向け
- エジプトで45,108件の攻撃を確認
- 最大規模の攻撃は332.96Gbit/s
- 主な標的は有線通信事業者
- チュニジアで4,511件の攻撃を確認
- 最大27種類の攻撃手法を組み合わせた高度な攻撃を観測
主な攻撃に使用された技術:
- Apple Remote Management Service
- CLDAP(Connection-less Lightweight Directory Access Protocol)
- COAP(Constrained Application Protocol)
- DNS増幅技術
データソース
- 調査機関:Netscout社
- 調査期間:2024年1月〜6月
- 分析責任者:Richard Hummel氏(Netscout脅威インテリジェンス部門ディレクター)
- 追加分析:アフリカ戦略研究センター(米国防総省機関)
影響を受けた主要産業
- 通信事業者(有線・無線)
- 教育機関
- 政府機関
- 重要インフラ施設
- 銀行セクター
from:DDoS Attacks Surge as Africa Expands Its Digital Footprint
【編集部解説】
アフリカのデジタル化がもたらす新たなサイバーセキュリティの課題
アフリカのデジタルトランスフォーメーションは、予想以上のスピードで進んでいます。特にモロッコでは90%というインターネット普及率を達成し、アフリカのデジタル化を牽引しています。
しかし、このデジタル化の波は新たな課題も生み出しています。2024年上半期のデータを詳しく分析すると、アフリカ全土で発生しているDDoS攻撃の実態が明らかになりました。特に南アフリカでは23万件以上の攻撃が確認され、アフリカ大陸で最も多い攻撃数を記録しています。
地域別の特徴的な攻撃傾向
北アフリカ地域では、モロッコ、エジプト、チュニジアが主な標的となっています。特にエジプトでは332.96Gbit/sという大規模な帯域攻撃が観測されました[1]。
西アフリカでは、ガーナ、ギニア、ナイジェリアが攻撃の中心となっています。特にナイジェリアでは、23種類もの異なる攻撃手法を組み合わせた高度な攻撃が確認されており、攻撃の洗練度が増していることを示しています。
金融セクターへの影響
特に注目すべきは金融セクターへの攻撃の増加です。南アフリカの保険代理店とブローカーは、6ヶ月間で10,720件もの攻撃を受けており、最大183.84Gbpsの攻撃によって深刻な影響を受けています。
今後の展望と対策
アフリカのデジタル化は、経済発展の重要な推進力となっていますが、同時にサイバーセキュリティの脆弱性も露呈しています。特に通信インフラや金融サービスへの攻撃は、社会全体に大きな影響を及ぼす可能性があります。
専門家は、AIを活用した異常検知システムやゼロトラストアーキテクチャの導入を推奨しています。また、地域間での情報共有と協力体制の構築も重要な課題となっています。
アフリカのデジタル化は今後も加速することが予想されます。そのため、サイバーセキュリティ対策は、単なる技術的な課題ではなく、持続可能な経済発展のための重要な要素として位置づけられるべきでしょう。