OAuth認証の脆弱性が航空会社のマイレージシステムを直撃 ー 数百万人のアカウント情報が危険にさらされる

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あなたのマイレージアカウントが狙われているかもしれません。航空会社の予約システムに潜む脆弱性が明らかになり、数百万人の個人情報が危機に直面しています。

APIセキュリティ企業Salt Labsは2025年1月、主要航空会社の旅行予約サービスに影響を与える重大な脆弱性を発見し、公開した。この脆弱性は現在修正済みである。

発見された主な問題点

  • OAuth認証システムの実装における重大な欠陥
  • 複数の主要航空会社の予約システムに影響
  • 攻撃者による以下の不正行為が可能:

    – ユーザーアカウントへの不正アクセス

    – ロイヤリティポイントの不正利用

    – 予約情報の改ざんや取り消し

from:OAuth Redirect Flaw in Airline Travel Integration Exposes Millions to Account Hijacking

【編集部解説】

今回発見された脆弱性は、航空業界のデジタルトランスフォーメーションにおける重要な課題を浮き彫りにしています。

この問題の本質は、OAuthという認証の仕組みにあります。OAuthは、ユーザーが自分のパスワードを第三者のサービスに直接教えることなく、安全に連携できる仕組みとして広く採用されています。しかし、今回の事例では、この便利な仕組みが逆に脆弱性となってしまいました。

特に注目すべきは、この脆弱性が「正規のドメイン」を使用していた点です。通常のセキュリティ対策では、不審なドメインをブロックすることで攻撃を防ぎますが、今回の手法ではそれが通用しません。正規のドメインを使用しながら、URLパラメータを巧妙に操作するという手法は、今後も増加する可能性が高いと考えられます。

この問題が特に深刻なのは、航空会社のロイヤリティプログラムが標的となっている点です。近年、マイレージやポイントは「デジタル通貨」としての価値を持つようになっており、攻撃者にとって魅力的な標的となっています。

また、この事例は「APIサプライチェーン攻撃」という新しい脅威の典型例でもあります。複数のサービスがAPIで連携する現代のシステムでは、一つの脆弱性が連鎖的に影響を及ぼす可能性があります。

対策として重要なのは、開発者側でのセキュアなOAuth実装はもちろんですが、ユーザー側でも不審なリンクをクリックしないという基本的な注意が必要です。特に、航空会社からのメールを装った不正なリンクには注意が必要でしょう。

今後、同様の脆弱性が他の業界でも発見される可能性があります。特に、複数のサービスを連携させる「スーパーアプリ」の台頭により、このようなセキュリティリスクはさらに増加する可能性があります。

企業にとっては、便利さとセキュリティのバランスをどう取るかが重要な課題となっています。ユーザー体験を損なわずにセキュリティを確保する新しいアプローチが求められているといえるでしょう。

【用語解説】

  • OAuth(オーオース)
    電車の切符のような仕組みです。駅の改札(認証)で切符(アクセストークン)を使って電車(保護されたリソース)に乗れるように、ウェブサービス間でユーザーの許可を安全にやり取りする仕組みです。
  • サプライチェーン攻撃:攻撃者が信頼された第三者のソフトウェアやサービスを介して、最終的な標的に侵入する攻撃手法。

【参考リンク】

  1. Auth0公式サイト(外部)
    OAuth 2.0の実装に関する詳細な技術情報とベストプラクティスを提供する認証プラットフォーム
  2. NRIセキュアテクノロジーズ(外部)
    APIセキュリティとサプライチェーン攻撃に関する詳細な解説と対策情報を提供

【参考動画】

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