YouTubeやFacebookで視聴する動画の中に、本物と見分けがつかないディープフェイク詐欺が潜んでいます。Avastは2026年2月、AIでリアルタイムに悪意ある音声を検出する「Deepfake Guard」をグローバル展開し、2025年第4四半期だけで15万件超の詐欺インスタンスを検出した実績を公表しました。
Avastは2026年2月3日、モバイルデバイス向けのAvast Scam GuardianおよびScam Guardian Proの国際展開と、Windows PC向けのAvast Deepfake Guardのローンチを発表した。
Deepfake Guardはビデオコンテンツ内の悪意ある音声を分析・検出するAI搭載機能で、IntelとQualcommの最新世代AI PCおよび従来のWindows PCで動作する。
2025年第4四半期、Gen Threat Labsは159,378件のユニークなディープフェイク詐欺インスタンスを検出した。PC上でブロックされたディープフェイク詐欺ビデオはYouTubeが最大シェアを占め、次いでFacebook、Xとなっている。
Deepfake GuardはAvast Premium Securityに含まれ、YouTube、Facebook、Instagram、TikTok、X、Vimeo、Twitch、DailyMotionで英語の動画分析をサポートする。
From:
Avast Expands Scam Guardian Globally and Launches Deepfake Guard

Avast PRNewswireより引用
【編集部解説】
ディープフェイク詐欺が急速に巧妙化し、検出が困難になっている今、Avastの動きは単なる製品アップデート以上の意味を持っています。2025年には米国だけでディープフェイク関連の損失が11億ドルに達し、前年の3億6,000万ドルから3倍に跳ね上がりました。この数字が示すのは、もはやディープフェイクが特殊な攻撃手段ではなく、サイバー犯罪の主流になったという現実です。
Avastが採用した「デバイス上でのリアルタイム検出」というアプローチには、技術的な必然性があります。ビデオをクラウドに送信して解析する従来の方法では、プライバシーリスクが生じるだけでなく、処理に時間がかかるため詐欺動画を視聴し終えた後に警告が届く可能性があります。デバイス内で即座に判定することで、ユーザーは被害に遭う前に警告を受け取れるのです。
Gen Threat Labsが2025年第4四半期に検出した159,378件のディープフェイク詐欺インスタンスの中で、YouTubeが最大のシェアを占めていたという事実は示唆に富んでいます。詐欺師たちは、人々が日常的に視聴する「正規のコンテンツの流れ」の中に詐欺動画を紛れ込ませています。ダウンロードやリンクとして提供されるのではなく、通常の視聴体験の一部として現れるため、警戒心が働きにくいのです。
ただし、現時点では英語の動画分析のみに対応しており、多言語対応は今後の課題となります。また、低スペックPCでは手動検出のみ、ハイエンドPCでもデフォルトでは自動検出がオフになっているなど、すべてのユーザーが同じレベルの保護を受けられるわけではありません。
長期的に見れば、この種の防御技術は生成AIと詐欺との「軍拡競争」の一環です。攻撃側がより精巧なディープフェイクを生み出せば、防御側もAIを活用した検出精度を高める必要があります。IntelやQualcommの最新AI PCに最適化されている点は、将来的なハードウェアとセキュリティの統合を示唆しています。セキュリティがソフトウェアだけでなく、チップレベルで強化される時代が始まっているのです。
【用語解説】
ディープフェイク
AIを用いて人物の顔や音声を合成・加工し、本物と見分けがつかないほど精巧な偽動画や偽音声を作り出す技術。近年は詐欺や偽情報拡散に悪用されるケースが急増している。
AI PC
Intel Core UltraプロセッサやQualcomm Snapdragon Xシリーズなど、AI処理専用のニューラルプロセッシングユニット(NPU)を搭載したパソコン。従来のCPUやGPUに加え、AIタスクを高速かつ低消費電力で実行できる。
デバイス上(オンデバイス)での検出
クラウドサーバーにデータを送信せず、ユーザーのデバイス内で直接AI処理や分析を行う方式。プライバシー保護と応答速度の向上が主なメリットである。
Gen Threat Labs
Gen Digital社が運営するサイバーセキュリティ研究組織。世界中の脅威データを収集・分析し、新たなサイバー攻撃の傾向や統計を公開している。
【参考リンク】
Avast公式サイト(外部)
チェコ発のサイバーセキュリティ企業。世界中で数億人のユーザーを保護し、現在はGen Digital傘下で事業を展開している。
Gen Digital公式サイト(外部)
AvastやNortonなどのセキュリティブランドを傘下に持つグローバル企業。NASDAQ上場(ティッカー:GEN)。
Avast Deepfake Guard サポートページ(外部)
Deepfake Guardの使用方法、対応プラットフォーム、システム要件などの詳細情報を提供する公式ページ。
【参考記事】
Deepfake Statistics & Trends 2026 | Key Data & Insights(外部)
2025年に米国でディープフェイク関連の損失が11億ドルに達したというデータを報告している統計記事。
Avast Expands Scam Guardian Globally and Launches Deepfake Guard(外部)
Gen Digital公式ニュースルームによる発表。Deepfake Guardの技術仕様と検出統計を公表している。
On-Device AI in Smartphone Technology: What It Means for Your Privacy(外部)
オンデバイスAI処理がプライバシー保護にもたらすメリットとリアルタイム処理の技術的背景を解説。
Modern AI PCs Need Advanced Security(外部)
IntelによるAI PCのセキュリティに関する公式資料。ハードウェアレベルでのセキュリティ統合について解説。
【編集部後記】
YouTubeで投資情報を検索したり、SNSでニュース動画を見たりする日常の中に、すでにディープフェイク詐欺が紛れ込んでいるかもしれません。見慣れたプラットフォームだからこそ、私たちは警戒心を緩めがちです。
今回のAvastの取り組みは、ディープフェイクという新しい脅威に対して、AI技術で防御する試みの一つです。ただ、技術的な防御策だけでなく、私たち自身が「動画の中の情報を鵜呑みにしない姿勢」を持つことも大切ではないでしょうか。
みなさんは普段、どんな基準で動画コンテンツの信頼性を判断していますか?この機会に、ぜひ一度考えてみてください。







がもたらす「アンテザード・ソサエティ」の衝撃-300x200.png)





























