OpenAIは2023年12月6日、米軍向け防衛企業Andurilとの提携を発表した。
主要な事実
OpenAIのAIモデル(GPT-4を含む)が、Andurilの防空システムの性能向上に活用される。目的は無人航空機(ドローン)の脅威に対する検知・対応能力の向上だ。
Andurilは現在時価総額140億ドルで、米海兵隊と2億ドルの対ドローンシステム契約を締結している。同社の主力製品ALTIUS-600/700シリーズは、ISR、電子戦、通信中継などの多目的ドローンとして運用されている。
from:OpenAI Is Working With Anduril to Supply the US Military With AI
【編集部解説】
OpenAIとAndurilの提携は、AIの軍事利用に関する大きな転換点を示しています。この提携の背景には、現代の戦場における無人航空機(ドローン)の脅威の増大があります。
特に注目すべきは、OpenAIが提供するGPT-4などの最新モデルがAndurilのLatticeソフトウェアプラットフォームと統合される点です。これにより、ドローンの脅威検知と対応の自動化が大幅に進むことが期待されています。
この提携では、AIの使用範囲を防衛目的に限定し、攻撃的な武器開発には使用しないという明確な境界線が引かれています。これは、テクノロジー企業が軍事分野に参入する際の新しいアプローチを示唆しています。
興味深いのは、OpenAIが2024年1月に軍事利用に関するポリシーを変更していた点です。この変更により、防衛目的でのAI活用が可能となり、今回の提携につながりました。
この動きは、シリコンバレーと軍事産業の関係性の変化を象徴しています。2018年のGoogleのProject Maven撤退から、わずか数年でテック企業の姿勢は大きく変化しました。
特筆すべきは、AndurilのRoadrunnerドローンインターセプターシステムへのAI統合です。このシステムは、すでに米軍に採用されており、AIによる性能向上は即座に実戦での効果をもたらす可能性があります。
しかし、この提携にはリスクも存在します。AIの判断が人命に関わる状況で、その責任の所在や倫理的な問題をどう扱うのかという課題は残されたままです。
さらに、この提携は米中のAI軍事開発競争にも影響を与える可能性があります。民間のAI技術が軍事分野に応用されることで、技術革新のスピードが加速する一方、国際的な緊張が高まる可能性も否定できません。
このような動きは、今後のAI開発における民間企業と軍事産業の協力モデルとして、新たな標準となる可能性を秘めています。