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Amazonドローン配送、シカゴ郊外で本格展開。約35kgドローンで2.3kg以下を60分配送

[更新]2026年2月12日

2026年2月11日、Amazonはシカゴ南郊外で早ければこの夏にもドローン配送サービスを開始すると発表した。重量約35kgのPrime Airドローンは、MarkhamとMattesonのフルフィルメントセンターから離陸し、8マイル圏内に住む顧客に荷物を配送する。対象地域にはTinley Park、Harvey、Flossmoorが含まれる。

ドローンはすでに全米7都市で展開されており、約2.3kg以下の商品を2時間以内に配送する。Prime会員は1回の注文につき4.99ドル、非会員は9.99ドルの追加料金を支払う。配送地点は顧客の前庭、私道、裏庭などに事前に設定される。

各フルフィルメントセンターには10から15機のドローンが配備され、日中のみ飛行する。ドローンは連邦航空局の認証を受けているが、Flossmoorの一部住民は環境への影響を懸念している。過去にはテキサス州でドローンがクレーンに衝突する事故も報告されている。

From: 文献リンクAmazon to launch drone delivery service in south suburbs as soon as summer

【編集部解説】

Amazonのドローン配送サービスが、いよいよシカゴ南郊外という都市近郊エリアで本格展開されます。これは単なる配送手段の追加ではなく、ラストワンマイル物流の根本的な変革を示す重要な一歩です。

Prime Airプログラムは2013年に発表されて以来、長い試験期間を経てきました。今回のシカゴ南郊外への展開により、Amazonは全米で合計9拠点体制となり、都市近郊市場での大規模展開に向けた重要な段階に入ります。特に注目すべきは、デトロイトでの冬季運用から得られた知見です。北部の厳しい気候条件下での運用経験は、技術の信頼性を大きく向上させる要素となります。

配送範囲については、元記事では8マイル圏内とされていますが、他の報道機関や公式情報では約7.5マイルとも報じられています。いずれにしても、Tinley Park、Midlothian、Homewood、Flossmoor、Dolton、Blue Island、Chicago Heights、Country Club Hillsなど、広範な郊外地域がカバーされることになります。

配送料金の設定も興味深い点です。Prime会員で4.99ドル、非会員で9.99ドルという価格設定は、緊急性の高い小型商品の配送に対する需要を見込んだものでしょう。最新のMK30ドローンでは60分以内の配送を目指しており、薬や日用品の緊急需要に応えることができます。

技術的な制約も明確です。約2.3kg以下、靴箱より小さいサイズという制限は、現在のドローン技術のペイロード能力を反映しています。また、日中のみの運用という制約は、視認性と安全性を重視した慎重なアプローチを示しています。

地域経済への影響も見逃せません。Amazonは2つのフルフィルメントセンターで約100の新規雇用を創出する予定で、既存の約6,000人の従業員に追加される形となります。これらは「純増」の雇用であり、既存の労働力を削減するものではないと同社は強調しています。

一方で、地域住民からの懸念も見逃せません。Flossmoorのような緑豊かな住宅地では、ドローンの飛行音や視覚的な影響が生活の質に影響を与える可能性があります。これは技術導入における社会的受容性という重要な課題を浮き彫りにしています。

安全面では、テキサス州やアリゾナ州でのクレーン衝突事故が報告されており、技術的な課題が完全に解決されているわけではありません。連邦航空局の認証を受けているとはいえ、都市近郊での大規模展開には継続的な安全性の向上が不可欠です。最新のMK30ドローンは、従来モデルと比較して騒音を40%削減し、軽い雨天でも飛行可能、障害物検知能力も向上しているとされています。

配送地点の事前設定システムは、プライバシーと利便性のバランスを取る試みです。裏庭配送オプションは、盗難リスクを軽減し、顧客の安心感を高める工夫と言えます。最新システムでは、以前のようなQRコードマットが不要になり、より正確な配送時間の予測も可能になっています。

10から15機という各センターでの配備数は、初期段階の慎重な展開を示しています。各ドローンが1回の配送につき1フライトという運用方法は、効率性よりも安全性と信頼性を優先した現実的なアプローチです。

Amazonは2026年3月2日にTinley Park Convention Centerで対面の地域説明会を開催する予定で、住民との対話を重視する姿勢を示しています。この展開は、物流業界全体に大きな影響を与える可能性があり、労働力不足が深刻化する中、ドローン配送は人手に頼らない配送手段として注目されています。しかし、完全な自動化にはまだ時間がかかり、人間のドライバーとの共存が当面の現実的な姿となるでしょう。

【用語解説】

Prime Air
Amazonが開発するドローン配送サービスの名称。2013年に構想が発表され、長年の研究開発と規制当局との調整を経て、段階的に実用化が進められている自律飛行配送システムである。最新のMK30ドローンは騒音を40%削減し、軽い雨天でも飛行可能になった。

フルフィルメントセンター
Amazonが運営する大規模な物流倉庫施設。商品の保管、ピッキング、梱包、出荷までを一括して行う統合物流拠点であり、ドローン配送の離着陸基地としても機能する。Markham施設は全米最大級のロボティクスフルフィルメントセンターとされている。

ラストワンマイル
物流における最終配送区間を指す用語。配送センターから最終顧客までの配送を意味し、物流コストの大部分を占める領域である。ドローン配送はこの課題を解決する手段として期待されている。

連邦航空局(FAA)
米国における航空安全を統括する政府機関。ドローンの商用利用には同局の認証と規制遵守が必須であり、安全基準の策定と監督を行っている。2024年5月にはBVLOS(視界外飛行)を承認し、都市規模での運用を可能にした。

MK30ドローン
Prime Airの最新機種。従来モデルと比較して騒音を40%削減し、軽い雨天でも飛行可能。障害物検知能力が向上し、7.5マイル圏内に60分以内で配送できる性能を持つ。完全電動で排気ガスゼロを実現している。

【参考リンク】

Amazon Prime Air(外部)
Amazonの公式ドローン配送サービスページ。サービス概要、技術仕様、展開地域などの最新情報を提供している。

FAA – Unmanned Aircraft Systems(外部)
連邦航空局の無人航空機システムに関する公式ページ。ドローンの規制、認証プロセス、安全基準について解説している。

Amazon One Amazon Lane – Air Delivery(外部)
AWSによるPrime Airの技術解説ページ。MK30ドローンの仕様やクラウドサービスを活用した配送システムの詳細を紹介している。

【参考記事】

Amazon to launch drone delivery service in Chicago’s south suburbs(外部)
NBC Chicagoによる詳細報道。7.5マイル圏内での配送、Markham市の「スマートシティ」構想との関連、住民の反応などを取材している。

Amazon drone delivery coming to south suburbs(外部)
Crain’s Chicago Businessによる経済面からの分析。100の新規雇用創出、対象となる郊外都市の詳細、全米9拠点体制への拡大などを報じている。

Amazon Makes Changes to Prime Delivery: What to Know(外部)
Newsweekによる最新のPrime Air展開状況。MK30ドローンの騒音削減技術、2030年までに年間5億個の配送目標などを報告している。

Prime Air expands drone deliveries after FAA approval(外部)
Amazon公式ブログによる2024年5月のFAAによるBVLOS承認に関する発表。都市規模での展開を可能にした重要な規制緩和について解説している。

【編集部後記】

ドローン配送は、私たちが想像していた未来がついに日常に降り立とうとしている瞬間です。シカゴ南郊外での展開は、Amazonにとって全米9拠点目となる重要なマイルストーンであり、都市近郊という複雑な環境でのドローン配送がどのように機能するのか、重要な試金石となるでしょう。

技術的な可能性と社会的な受容性の間には、まだ埋めるべきギャップが存在します。騒音や安全性への懸念、プライバシーの問題など、解決すべき課題も少なくありません。しかし、100の新規雇用創出や環境負荷の低減など、ポジティブな側面も見逃せません。皆さんの住む地域にドローン配送が導入されたら、どのように利用したいですか?この技術が私たちの生活にもたらす変化について、一緒に考えていきたいと思います。

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菊池 紗槻
テクノロジーと民主主義、自由、人権の交差点で記事を執筆しています。 データドリブンな分析が信条。具体的な数字と事実で、技術の影響を可視化します。 しかし、データだけでは語りません。技術開発者の倫理的ジレンマ、被害者の痛み、政策決定者の責任——それぞれの立場への想像力を持ちながら、常に「人間の尊厳」を軸に据えて執筆しています。 日々勉強中です。謙虚に学び続けながら、皆さんと一緒に、テクノロジーと人間の共進化の道を探っていきたいと思います。

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