Nothing、2027年にスマホラインアップを約2倍へ|インドで専売店も拡大

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Nothingは、なぜ今スマートフォンのラインアップを増やそうとしているのでしょうか。メモリ価格が高騰するなかで、製品数を絞るのではなく拡大へ向かう判断には、同社なりの成長戦略が見えてきます。デザイン性を重視する日本のユーザーとも相性のよいブランドだからこそ、2027年に向けた動きを改めて追う価値がありそうです。


ロンドン拠点のNothingは、2027年のスマートフォン投入数を、2026年のNothing Phone 4a、Phone 4a Pro、Phone 4bの3機種から約2倍へ拡大する計画だ。実現すれば少なくとも6機種となり、台数も前年比50%増を目指す。

インドでは2027年第1四半期までに専売店を2店舗追加するほか、オーディオやAIネイティブ製品の事業拡大、CMFスマートフォンの2027年投入も検討している。

From: 文献リンクExclusive: Nothing Confirms Plans To Double Its Smartphone Lineup In 2027, More India Stores Coming

【編集部解説】

メモリ高騰の最中に「6機種」は逆行しているように見える

Nothingは2026年に3機種だったスマートフォンを、2027年には約2倍へ増やし、台数も前年比50%増を目指しています。一見すると、現在のスマートフォン市場を考えればかなり強気な計画です。

2026年は、スマートフォン用メモリの価格が急激に上昇しています。TrendForceによると、2026年第2四半期のモバイルDRAM価格は、LPDDR4Xで前四半期比70~75%、LPDDR5Xで78~83%上昇すると推計されています。

Counterpoint Researchも、2026年第2四半期のモバイル向けLPDDR4/5価格が2025年第4四半期の約3倍に達するとの見通しを示しています。供給の逼迫は2027年後半まで続く可能性があり、2026年の世界スマートフォン出荷台数は前年比13.9%減の10億8,000万台になると予測されています。

その環境で、なぜNothingは機種を減らすのではなく増やすのでしょうか。

鍵は「すべての価格帯が同じように苦しいわけではない」こと

メモリ高騰の影響は、特に低価格スマートフォンで深刻です

IDCによると、インドでは2026年第1四半期に100ドル未満のスマートフォン出荷が前年同期比59%減少し、市場シェアも18%から8%へ縮小しました。一方、400~600ドル帯は29%増、600~800ドル帯は32%増でした。市場全体の出荷台数は4.1%減ったものの、平均販売価格は10.4%上昇して過去最高の302ドルとなり、販売金額では5.8%増えています。

つまり現在のインド市場では、「安いスマートフォンを大量に販売する」モデルほどメモリ高騰の影響を受けやすく、より上の価格帯は相対的に需要を維持しています。Counterpoint Researchも、150ドル未満の一部価格帯について、採算上の問題から市場で維持することが難しくなる可能性を指摘しています。

ここで注目したいのが、Nothingと低価格ブランドCMFで判断が分かれている点です。

元記事によれば、Nothingはメモリ価格上昇を理由に2026年の新しいCMFスマートフォンを中止し、2027年についても投入を確定していません。一方、Nothingブランドについては、製品ポートフォリオを約2倍へ増やす計画を「pretty much set」と説明しています。

この違いからは、単純に低価格モデルを増産するのではなく、メモリ価格を吸収しにくい低価格帯には慎重になりながら、Nothingブランドではより幅広いラインアップを用意し、市場との接点を増やす戦略が読み取れます。これは現時点で発表された2027年の製品構成ではなく、元記事と市場データを踏まえた編集部の考察です。

Nothingには「今のうちに広げる」理由もある

Nothing自身の成長が続いていることも、この判断の背景として考えられます。

IDCによると、2025年第2四半期のインド市場でNothingのスマートフォン出荷は前年同期比84.9%増となり、主要ブランドの中でも高い成長率を記録しました。またCounterpoint Researchは、2025年第4四半期についてもNothingの出荷台数が前年同期比32%増加したと報告しており、その背景としてオフライン小売網の拡大を挙げています。

さらにインド市場では、2026年第1四半期に実店舗などのオフラインチャネルがスマートフォン出荷の62%を占め、前年の58%から拡大しています。Nothingが2027年第1四半期までにインドで専売店を2店舗追加する計画も、この流れと一致します。

販売拠点の拡大とラインアップ拡充を組み合わせることで、より多様な需要との接点を作ろうとしていると考えられます。

ただし、機種を増やせば開発費や在庫管理、販売網の負担も増えます。実際にどの価格帯へ少なくとも6機種を配置するのかはまだ発表されておらず、Nothingがメモリ高騰下でも利益を確保できるかは分かりません。また、2027年に計画する各スマートフォンの日本投入についても、現時点で具体的な発表は確認できません。

2027年のラインアップ拡大は、単なる「製品数の倍増」というより、低価格帯の採算が悪化する市場で、成長中のNothingがより多くの需要を取り込もうとする選択と見ることができます。CMFを慎重に扱いながらNothingブランドを広げる判断には、現在のメモリ市場を無視するのではなく、むしろその変化を前提に製品構成を組み直そうとする姿勢が表れています。

【編集部後記】

Nothingは日本でも独特のデザインやブランド性で、少しずつ存在感を高めている印象があります。実際、周囲でもNothingのスマートフォンを気にしている人を見かけるようになりました。2027年にラインアップがさらに増えれば、日本のユーザーにとって選択肢も広がりそうです。
個人的にも、次にどんなデザインや価格帯のモデルを出してくるのか気になります。日本での展開を含め、これからもNothingの動きにはますます注目していきたいと思います。


【用語解説】

LPDDR(Low Power Double Data Rate)
スマートフォンやタブレットなどで使われる低消費電力のDRAM規格。LPDDR4X、LPDDR5Xなどの世代があり、アプリの動作やマルチタスクなど端末全体の処理に使われる。

ASP(Average Selling Price/平均販売価格)
一定期間に販売された製品の平均価格。スマートフォン市場では、消費者がどの価格帯の端末へ移行しているかを見る指標の一つとして使われる。

CMF
Nothingが展開する製品ブランド。スマートフォン、オーディオ、ウェアラブル製品などを展開している。

オフラインチャネル
実店舗を通じた販売経路。メーカー直営店、通信キャリアショップ、家電量販店などを含む。

【参考リンク】

Nothing 日本公式サイト・スマートフォン(外部)
Nothingが日本で展開するスマートフォンのラインアップ、価格、製品情報を確認できる公式ページ。

Nothing インド公式サイト(外部)
Phone 4a、Phone 4a Pro、Phone 4bなど、Nothingがインドで展開する製品と販売情報を掲載する公式サイト。

CMF 日本公式サイト(外部)
CMF Phone 2 Pro、CMF Headphone Pro、CMF Watch 3 Proなど、CMFブランドの国内製品ラインアップを確認できる公式ページ。

【参考記事】

Mobile DRAM Contract Prices Continue Rising in 2Q26|TrendForce(外部)
2026年第2四半期のモバイルDRAM価格について、LPDDR4Xが前四半期比70~75%、LPDDR5Xが78~83%上昇するとの予測を示した調査。

2026 Smartphone Shipments to Post Worst Annual Decline on Record as Memory Crisis and Geopolitical Shocks Converge|Counterpoint Research(外部)
2026年の世界スマートフォン出荷を前年比13.9%減の10億8,000万台と予測。モバイルメモリ供給不足が低価格帯へ特に大きな影響を与えていると分析している。

Why India’s Smartphone Market Declined 4.1% in Q1 2026 — and Where It’s Headed Next|IDC(外部)
2026年第1四半期のインド市場を価格帯別に分析。100ドル未満の出荷が前年同期比59%減る一方、平均販売価格は過去最高の302ドルに上昇している。

India’s Smartphone Market Grew 1% YoY in 1H25 to 70 Million Units|IDC(外部)
2025年上半期のインドスマートフォン市場を分析したIDC資料。Nothingは2025年第2四半期に前年同期比84.9%増となり、主要ブランドの中で高い成長率を記録した。

India Smartphone Market Share: Quarterly|Counterpoint Research(外部)
インド市場の四半期別データ。Nothingは2025年第4四半期に前年同期比32%の出荷増を記録し、オフライン小売網の拡大が成長要因として挙げられている。

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乗杉 海
SF小説やゲームカルチャーをきっかけに、エンターテインメントとテクノロジーが交わる領域を探究しているライターです。 SF作品が描く未来社会や、ビデオゲームが生み出すメタフィクション的な世界観に刺激を受けてきました。現在は、AI生成コンテンツやVR/AR、インタラクティブメディアの進化といったテーマを幅広く取り上げています。 デジタルエンターテインメントの未来が、人の認知や感情にどのように働きかけるのかを分析しながら、テクノロジーが切り開く新しい可能性を追いかけています。

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