Last Updated on 2025-07-16 17:56 by 乗杉 海
国立衛生研究所(N.I.H.)の研究者たちは、慢性疲労症候群(ME/CFS)を患う患者と健康な患者の間に、免疫系やその他の生理機能に顕著な違いがあることを発見した。この研究は、長期にわたるCOVID-19(長引くコロナ)への手がかりを提供する可能性がある。
約10年前、バクテリア感染症に罹った後に激しいめまい、疲労感、記憶障害を発症したジェニファー・コールドウェル氏は、ME/CFSと診断された。コールドウェル氏は、スキーやダンスを楽しんだり、臨床研究コーディネーターおよびケータリングの仕事をこなしていたが、現在はほとんど毎日ベッドから出られない状態である。彼女は、脚を上げていないときには重度のめまいを感じるなど、認知機能にも影響を受けていると述べている。
国立衛生研究所は7年前にME/CFS患者の研究を開始し、コールドウェル氏を含む17人の参加者が血液、体、脳の一連のテストと評価に参加した。この研究の結果は「Nature Communications」誌に掲載され、ME/CFS患者と21人の健康な研究参加者との間に、免疫系、心肺機能、腸内微生物群、脳活動において顕著な生理的差異があることが示された。
【ニュース解説】
約10年前にバクテリア感染症に罹患し、その後、激しいめまい、疲労感、記憶障害を経験したジェニファー・コールドウェル氏は、慢性疲労症候群(ME/CFS)と診断されました。かつては活動的であった彼女ですが、現在はほとんど毎日ベッドから出られない状態にあります。この状態は、彼女の認知機能にも影響を及ぼしており、新しいことを覚えることが困難であると述べています。
この背景にある、国立衛生研究所(N.I.H.)によるME/CFS患者の研究は、ME/CFS患者と健康な人々の間に免疫系、心肺機能、腸内微生物群、脳活動における顕著な生理的差異を明らかにしました。この研究結果は、長引くCOVID-19(長期コロナ)の理解に新たな手がかりを提供する可能性があります。
長期コロナは、COVID-19に感染した後も症状が長引く状態を指し、世界中で多くの人々が苦しんでいます。ME/CFSと長期コロナは、疲労感や認知機能の低下など、いくつかの共通点を持っています。このため、ME/CFSの研究が長期コロナの治療法や理解の進展に寄与することが期待されています。
この研究は、長期コロナの患者に対する治療法の開発や、将来的な予防策の検討に役立つ可能性があります。また、免疫系や腸内環境など、人体の複雑なシステムの理解を深めることで、他の疾患に対する治療法の開発にも影響を与えるかもしれません。
しかし、この研究には潜在的なリスクも伴います。例えば、特定の治療法が一部の患者には効果的でも、他の患者には副作用を引き起こす可能性があります。また、個人の健康情報の取り扱いに関する倫理的な問題も考慮する必要があります。
規制に関しては、この研究が進むにつれて、新たな治療法の承認プロセスや、患者のプライバシー保護に関する規制の見直しが必要になるかもしれません。長期的な視点では、この研究が長期コロナを含む様々な疾患の理解を深め、より効果的な治療法の開発につながることが期待されます。
from Study of Patients With a Chronic Fatigue Condition May Offer Clues to Long Covid.
“慢性疲労症候群研究が長引くコロナ解明へ光、N.I.H.が生理機能の差異を発見” への1件のコメント
国立衛生研究所の研究が、慢性疲労症候群(ME/CFS)と長引くCOVID-19の間に共通点があることを明らかにしたのは、非常に興味深いですね。私のような年配者にとっても、このような研究は大変重要です。なぜなら、高齢になると免疫力が低下するため、COVID-19のような新たな感染症に対するリスクが高まるからです。また、長引く症状に悩まされるケースも増えているように感じます。
この研究が示すように、免疫系や心肺機能、腸内微生物群、脳活動の違いを理解することは、長引くCOVID-19だけでなく、他の多くの疾患に対する治療法の開発にも役立つ可能性があります。特に、私のような年配の人々は、健康維持のためにも、これらの研究結果に注目する必要がありますね。
ただ、新しい治療法の開発には時間がかかるものですし、副作用のリスクや倫理的な問題も伴います。患者一人ひとりの状態に合った治療法を選択することの重要性が、この研究を通じて改めて浮き彫りになっています。また、患者のプライバシー保護や、治療法の承認プロセス