Prenetics、2,000万ドルのビットコイン投資でヘルスケア業界初の暗号資産財務戦略を実行

2025年6月19日10:03

Last Updated on 2025-06-19 10:03 by TaTsu

香港と米国に本社を置くヘルスサービス企業Preneticsは水曜日、2,000万ドル相当のビットコイン投資を発表した。同社はKrakenの管理口座を通じて187.42BTCを取得し、ヘルスケア業界でビットコイン財務戦略を実行する企業となった。

発表と同時に、元OKEx最高執行責任者のアンディ・チャン氏が取締役会に就任した。また、Krakenの戦略的イニシアチブ担当チーフスタッフでトランプ大統領の暗号資産採用転換を主導したとされるトレーシー・ホヨス・ロペス氏がエリートアドバイザリーチームのメンバーに加わった。

同社は今後ビットコイン保有量を大幅に増加させ、世界最大級のヘルスケア企業ビットコイン保有者を目指すと表明した。ロペス氏は「トランプ大統領のビットコイン支持を成功裏に導き、規制環境が世界的に強化される中、Preneticsの包括的なビットコイン戦略は機関投資家の採用加速から大きな恩恵を受ける立場にある」と述べた。

From: Healthcare company onboards Trump crypto adviser, buys $20M BTC

【編集部解説】

今回のPreneticsによるビットコイン投資は、ヘルスケア業界における新たなパラダイムシフトの始まりを示しています。同社がビットコイン財務戦略を実行するヘルスケア企業となったことは、従来の保守的な医療業界に大きな変化をもたらす可能性があります。

MicroStrategy戦略の医療版への適用

Preneticsが採用した戦略は、MicroStrategyのビットコイン保有戦略を医療業界に適用したものです。2025年6月時点で、ビットコインETFの総資産残高は約1,235億ドルに達し、機関投資家による暗号資産への関心が高まっています。医療企業特有の規制環境や顧客基盤を考慮すると、この戦略にはより複雑な側面があります。

政治的コネクションの戦略的意味

トレーシー・ホヨス・ロペス氏の参画は、単なる暗号資産専門知識の獲得を超えた政治的意味合いを持ちます。同氏がトランプ大統領の暗号資産政策転換を主導したとされる人物であることから、今後の規制環境の変化を見据えた戦略的布石と解釈できます。米国政府の「戦略的ビットコイン準備」構想では、5年間で100万BTCの取得が検討されており、このような政策動向との連携可能性も示唆されています。

市場環境の追い風

2025年6月の暗号資産市場は堅調な推移を見せており、ビットコイン価格は104,000ドル台で安定しています。コインベース・プレミアム指数が20日間連続でプラス圏を維持するなど、米国投資家からの継続的な買い需要が確認されています。このような市場環境は、Preneticsの投資タイミングとして適切だったと考えられます。

実用的統合への展望

同社がビットコインを単なる保有資産としてではなく、実際の事業運営に統合する計画を持っていることは注目に値します。CircleDNAやIM8 Healthプラットフォームでの暗号資産決済受け入れにより、顧客エンゲージメントの向上と従来の決済システムへの依存度削減を目指しています。

潜在的リスクと課題

医療データを扱う企業がビットコインのような変動性の高い資産を大量保有することには、規制当局からの精査が予想されます。特に、患者データの機密性や医療サービスの継続性に対する影響が懸念される可能性があります。また、ビットコインの価格変動が同社の財務安定性に与える影響は、医療サービスの品質や研究開発投資にも波及する恐れがあります。

業界への波及効果

Preneticsの動きは、他のヘルスケア企業による類似戦略の採用を促す可能性があります。従来の保守的な医療業界における資本配分戦略の根本的変化を示唆しており、今後5〜10年間で業界全体のデジタル化と金融革新が進む可能性があります。

【用語解説】

オレンジピル（Orange-pill）
ビットコインの価値や重要性について他者を説得し、ビットコインに投資させることを指すスラング用語である。映画「マトリックス」の赤い薬（真実を知る薬）になぞらえて使われる。

MicroStrategy戦略
企業の財務戦略としてビットコインを大量保有する手法である。同社は数百億ドル相当のビットコインを保有し、企業財務におけるビットコイン採用の先駆者となった。

コインベース・プレミアム指数
コインベースと他の取引所とのビットコイン価格差を示す指標である。プラス圏の継続は米国投資家からの継続的な買い需要を示している。

ビットコインETF
2025年6月時点で総資産残高約1,235億ドルに達し、機関投資家による暗号資産投資の主要手段となっている。

【参考リンク】

Prenetics Global Limited（外部）
NASDAQ上場のヘルスサイエンス企業。ゲノミクス技術を活用した予防医療、早期発見、治療サービスを提供。

CircleDNA（外部）
次世代シーケンシング技術を使用した包括的DNA検査サービス。500項目以上の遺伝子解析により健康リスクを分析。

IM8 Health（外部）
デビッド・ベッカムが共同創設者として参画するプレミアムサプリメントブランド。92種類の成分を配合。

【参考動画】

【参考記事】

Healthcare firm Prenetics, advised by Trump bitcoin advocate
Tracy Hoyos LopezとTOKEN2049創設者Raphael Strauchのアドバイザー就任について詳述。Preneticsのビットコイン戦略の包括性と長期的ビジョンを解説している。

Prenetics Becomes First Healthcare Company to Execute Aggressive Bitcoin Treasury Strategy
Preneticsの包括的ビットコイン戦略の詳細を公式プレスリリースで発表。取締役会承認による資産配分計画、機関投資家との協議、アルファ生成戦略について説明している。

Prenetics Acquires $20 Million In Bitcoin To Boost Healthcare
Yahoo Financeによる財務分析を含むPreneticsのビットコイン投資報告。同社の流動性状況と今後の成長戦略について投資家向けの視点で解説している。