Last Updated on 2024-01-27 14:30 by 荒木 啓介
ノースカロライナ州は、肥満治療薬のコストが高騰しているため、州職員の保険によるこれらの薬の支払いを停止することを決定しました。2024年4月1日から、WegovyやZepboundといった高価な減量薬の保険適用がなくなります。
ノースカロライナ州の財務官であるデール・フォルウェル氏は、製薬会社ノボノルディスクがWegovyの価格を不当に吊り上げていると強く批判しています。2021年6月には、ノースカロライナ州の州職員の保険プランで2,800人が減量薬の支払いを受けていましたが、昨年には約25,000人に増加しました。これらの薬のコストは昨年、ノースカロライナ州の健康プランにとって1億ドルに上り、処方薬支出の10%を占めるまでになりました。
健康プランの運営委員会は、コストの急増に警鐘を鳴らし、Wegovyを含む肥満治療薬のカバーを終了することを決定しました。ただし、糖尿病患者向けの薬のバージョンについては引き続きカバーされます。
近年、食欲を抑制する薬は、患者の体重減少に非常に効果的であるため、人気が急上昇しています。研究によると、これらの薬は長期的には、巨額の入院費用につながる心臓発作や脳卒中を防ぐことで、自己負担額を相殺するか、あるいは節約につながる可能性があるとされています。
【ニュース解説】
ノースカロライナ州が、州職員の健康保険プランにおける肥満治療薬の支払いを停止するという決定を下しました。この措置は、特にWegovyという薬のコストが急激に増加したことに対する反応です。Wegovyは食欲を抑制する効果があり、体重減少に非常に効果的であることから人気が高まっていましたが、その人気に伴い、保険プランにかかる費用も膨らんでいました。
この決定の背景には、保険プランの財政的な持続可能性があります。肥満治療薬の支払いが急増し、プラン全体の処方薬支出の10%を占めるようになったため、州はこの支出を抑制する必要に迫られました。このような状況は、他の州や保険プランでも起こり得るため、医療費の管理とコスト削減のバランスをどのように取るかが重要な課題となっています。
肥満治療薬がもたらす長期的な健康上の利益は、短期的なコスト削減とは異なる視点を提供します。これらの薬は、心臓発作や脳卒中などの重篤な健康問題を予防することで、将来的に医療費を節約する可能性があるとされています。しかし、その効果を実感するには時間がかかり、保険プランの即時の財政状況には影響しません。
このような決定は、肥満治療薬に依存している患者にとっては大きな打撃となります。治療の継続性が損なわれることで、健康状態が悪化する可能性があり、結果として医療費の増加につながるかもしれません。また、肥満治療薬の保険適用を停止することは、医薬品の価格設定や医療保険の規制に関する議論を呼び起こす可能性があります。
長期的には、このような決定が医療保険のカバレッジの範囲や、医薬品の価格設定に対する規制の強化につながるかもしれません。また、肥満治療薬のコストと効果に関するさらなる研究が求められることになるでしょう。医療費の持続可能性と患者の健康を守るための適切なバランスを見つけることが、今後の大きな課題となります。
from Buried in Wegovy Costs, North Carolina to Stop Paying for Obesity Drugs.