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京都発Mui Labs、木の板に機能を統合したスマートホームコントローラー「Mui Board」を一般販売開始

京都発Mui Labs、木の板に機能を統合したスマートホームコントローラー「Mui Board」を一般販売開始 - innovaTopia - (イノベトピア)

日本のMui Labsが開発したスマートホームコントローラー「Mui Board」の第2世代が2026年初めに購入可能となった。The Vergeが2026年1月3日に報じた。価格は999ドルで、セール価格は799ドルである。Raspberry Piベースのデバイスで、木製の板に静電容量式タッチインターフェースを組み込んだスクリーンレス設計となっている。タッチすると光るドットマトリックスアイコンが表示され、照明や音楽などを制御できる。MatterコントローラーとしてSonos、Philips Hue、LIFX、SwitchBot、Ecobee、Google Calendar APIなどと統合する。

日本のサービスではRadikoやEchonetにも対応する。接続はWi-Fi(2.4GHz)とBLEで、寸法は23 x 3 x 1インチ。カラーはメープルとダークチェリーの2色展開。

From: 文献リンクThis smart home controller is literally a piece of wood

【編集部解説】

Mui Boardは、京都を拠点とするMui Labsが長年開発を続けてきた製品です。2019年のCESで初披露されてから7年越しでようやく一般販売にこぎつけた本製品は、スマートホームインターフェースに対する根本的な問いかけを体現しています。

注目すべきは「カームテクノロジー」という設計思想です。これは、テクノロジーが人間の注意を奪うのではなく、必要なときだけ控えめに機能すべきだという考え方を指します。Mui Boardは使用していないときは単なる木の板として存在し、触れたときだけドットマトリックスで情報を表示する仕組みになっています。

技術的に重要なのはMatterプロトコルへの対応でしょう。Matterは、Amazon、Google、Appleなどが共同で策定したスマートホーム統一規格で、異なるメーカーのデバイスを単一のコントローラーで制御できるようになります。Mui BoardがMatterコントローラーとして機能することで、特定のエコシステムに縛られない柔軟な運用が可能です。

ただし、999ドルという価格設定は一般消費者向けとしては極めて高額と言わざるを得ません。一般的なスマートディスプレイと比較すると大幅に高額であり、記事でも指摘されているように、これは「美しく実現されたコンセプト」であり、マスマーケット製品ではないでしょう。

一方で、寝室などスクリーンを避けたい空間でのインターフェースとしての価値は認められます。スマートフォンへの依存を減らし、物理的な操作感を取り戻すという方向性は、デジタルウェルビーイングの観点からも意義があります。

現時点ではソフトウェアの完成度にも課題があり、シーンやオートメーションの作成機能は発展途上のようです。Thread対応も予定段階に留まっており、製品としての成熟にはまだ時間を要すると考えられます。

【用語解説】

Matter
スマートホームデバイスの統一規格。Amazon、Google、Apple、Samsungなどが共同で策定し、異なるメーカーの製品を相互運用できるようにするプロトコルである。2022年に正式リリースされた。

Thread
低消費電力のメッシュネットワーク技術。スマートホームデバイス間の通信に使用され、Matterプロトコルの基盤技術の一つとして採用されている。

Raspberry Pi
イギリスのRaspberry Pi財団が開発する小型のシングルボードコンピューター。教育用途やIoTデバイスの開発に広く使用されている。

カームテクノロジー
テクノロジーが人間の注意を過度に奪わず、必要なときだけ控えめに機能すべきだという設計思想。Calm Tech Instituteによって提唱されている概念である。

ドットマトリックス
LEDや液晶などを格子状に配置して文字や図形を表示する方式。古典的なディスプレイ技術だが、シンプルで視認性が高い。

Echonet
日本で策定された家電制御用の通信プロトコル。エアコンや給湯器などの家電機器を統一的に制御するための規格である。

CES
Consumer Electronics Showの略。毎年1月に米国ラスベガスで開催される世界最大級の家電・技術見本市である。

【参考リンク】

Mui Labs公式サイト(外部)
京都を拠点とするスタートアップ企業。木材を使用したカームテクノロジー製品を開発している。

Matter公式サイト(外部)
CSAが運営するMatterプロトコルの公式サイト。規格の詳細や対応製品リストを確認できる。

Sonos(外部)
ワイヤレススピーカーシステムを開発する米国企業。マルチルームオーディオシステムで知られる。

Philips Hue(外部)
Signify社が展開するスマート照明ブランド。カラー変更可能なLED電球やライトストリップを提供。

【参考記事】

mui Lab has showcased a Smart-yet-Calm home living at CES2023(外部)
Mui Labsの公式サイトによるCES 2023レポート。Mui Board第2世代がMatter対応となり、「カームベッドルーム」コンセを展示した経緯を解説。Dezeen、The Vergeなど主要メディアでの評価を紹介し、「スクリーンの存在感を減らし、情報過多や気を散らすことを防ぐ」という設計思想を詳述している。

Calm Technology & Design – mui Lab(外部)
Mui Labsの公式サイトによるカームテクノロジーの設計思想の解説。「余白のデザイン」というアプローチ、木材を使用する理由、非言語情報の重要性など、Mui Boardの根底にある哲学を詳細に説明。デジタルと人間を穏やかにつなぐ「Calm UI」の創造を目指す企業理念を示している。

Calm Tech Products Featured Across CES 2023 — Including mui Lab’s Calm Sleeping Space!(外部)
Calm Tech Instituteのアンバー・ケースによるMedium記事。Mui Labsの公式アドバイザーとしての立場から、CES 2023でのMui Board展示を解説。カームテクノロジーの概念と、スマートフォンを使わずに起床・就寝する「より調和的な方法」を提供する製品の意義を説明している。

Matter Protocol Explained for Smart Homes: Complete Guide 2025(外部)
Matterプロトコルの包括的な解説記事。2019年のProject Connected Home over IP(CHIP)としての始まりから、Amazon、Apple、Google、Samsungなどの主要企業が支援する統一規格への発展を説明。Wi-Fi、Thread、Ethernetでの動作、ローカルファースト設計、エンドツーエンド暗号化などの技術的特徴を詳述している。

Why Matter Protocol is The Future of IoT Connectivity?(外部)
Matterプロトコルの意義と将来性を解説。Connectivity Standards Alliance(CSA)による開発背景、エコシステム間の標準化されたコミュニケーション、セキュリティ機能(エンドツーエンド暗号化、安全なオンボーディング)、相互運用性の実現方法などを技術的観点から説明している。

The Minimally Elegant ‘mui Board’ IoT dashboard gets upgraded at CES 2024 (外部)
Yanko DesignによるCES 2024でのMui Board第2世代の紹介記事。2022年のKickstarterキャンペーン成功後の進化として、Matterプロトコル対応とChatGPT統合を報告。「カームテクノロジー」に焦点を当て、気を散らすスクリーンを最小化し、スマートデバイスとのより控えめな対話方法を提供する設計思想を解説している。

【編集部後記】

私たちの生活空間には、いつの間にか無数のスクリーンが溢れています。スマートフォン、タブレット、スマートディスプレイ。便利になった一方で、常に何かが光り、通知し、注意を奪っていく日常に疲れを感じることはないでしょうか。

Mui Boardのような「必要なときだけ現れる」インターフェースは、テクノロジーとの新しい関係性を示唆しているように思います。みなさんは、自宅のどの場所からスクリーンを減らしたいと考えますか。寝室でしょうか、それともリビングでしょうか。価格の壁はあるものの、このアプローチが私たちに問いかけているものについて、一緒に考えてみたいと思います。

投稿者アバター
Ami
テクノロジーは、もっと私たちの感性に寄り添えるはず。デザイナーとしての経験を活かし、テクノロジーが「美」と「暮らし」をどう豊かにデザインしていくのか、未来のシナリオを描きます。 2児の母として、家族の時間を豊かにするスマートホーム技術に注目する傍ら、実家の美容室のDXを考えるのが密かな楽しみ。読者の皆さんの毎日が、お気に入りのガジェットやサービスで、もっと心ときめくものになるような情報を届けたいです。もちろんMac派!

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