「面白い映画が見たい」と話しかけるだけで、AIが70万本以上のコンテンツから最適な作品を提案し、照明まで調整してくれる。EpsonがCES 2026で発表したLifeStudioプロジェクターは、Gemini統合によってプロジェクター業界に会話型AI時代の幕を開けます。
Epsonは2026年1月6日、ラスベガスで開催されたCESにおいて、MediaTekのシステムオンチップ(SoC)スマートプロジェクタープラットフォームを搭載した一部の新しいLifestudioプロジェクターがGoogle TV with Geminiを統合すると発表した。プロジェクターにGoogle TV with Geminiを統合した最初の企業の一つである。
Geminiは音声制御による70万本以上の映画・エピソード・ライブTVへのアクセス、パーソナライズされたレコメンデーション、スマートホームデバイスの制御を可能にする。Lifestudioプロジェクターは、Boseと共同開発したオーディオシステムとEpson 3LCD技術を搭載している。Lifestudio Grandプロジェクターは今後数か月以内にGoogle TV with Geminiをサポートし、2026年に追加モデルでも展開される予定である。
【編集部解説】
今回のEpsonの発表は、プロジェクター業界におけるAI統合の大きな転換点となります。これまでプロジェクターは「映像を投影する装置」という位置づけでしたが、Google TV with Geminiの統合により、会話型AIアシスタントを備えた「スマートホームの中核デバイス」へと進化を遂げることになります。
特に注目すべきは、MediaTekのSoCプラットフォームによって外部ストリーミングデバイスが不要になる点です。従来はFire TV StickやChromecastなどの外付けデバイスが必要でしたが、これが不要になることでセットアップの簡素化とユーザー体験の向上が期待できます。
Geminiの統合によって実現する「会話型インタラクション」は、従来の音声アシスタントを大きく超える可能性を秘めています。単純なコマンド入力ではなく、文脈を理解した自然な対話が可能になるため、「面白い映画を見たい」といった曖昧なリクエストにも適切に対応できるようになります。70万本以上のコンテンツから最適な作品を提案する能力は、コンテンツ過多の時代において大きな価値を持つでしょう。
さらにスマートホーム制御機能の統合により、プロジェクターが照明やサーモスタット、ドアベルなどを制御するハブとしての役割も担います。映画鑑賞時に「映画モード」と一声かけるだけで照明を暗くし、適切な温度に調整するといった、シームレスな環境制御が可能になります。
一方で、AIアシスタントの常時接続によるプライバシーの懸念も存在します。音声データの収集や処理がどのように行われるのか、ユーザーデータの管理体制については今後も注視が必要です。また、ファームウェアアップデートによる展開というアプローチは、既存ユーザーにも恩恵をもたらす反面、アップデート配信の遅延やバグのリスクも伴います。
Lifestudio Grandが「今後数か月以内」に対応し、2026年中に他モデルへ展開されるというスケジュールは、Epsonが慎重かつ段階的なアプローチを取っていることを示しています。プロジェクター市場全体を見渡すと、BenQやXGIMIなどの競合他社も同様の統合を進める可能性が高く、2026年はプロジェクター業界におけるAI統合元年となるかもしれません。
【用語解説】
Google TV with Gemini
Googleが提供するスマートTVプラットフォームに、生成AI「Gemini」を統合したシステムである。従来の音声コマンド入力を超えて、文脈を理解した自然な会話形式でのコンテンツ検索やデバイス制御が可能になる。70万本以上の映画・エピソード・ライブTVへのアクセスとパーソナライズされたレコメンデーション機能を提供する。
SoC(システムオンチップ)
System on Chipの略称で、プロセッサ、メモリ、グラフィックス処理、通信機能などを1つのチップに統合した半導体である。プロジェクターにSoCを搭載することで、外部ストリーミングデバイスなしで直接アプリやサービスを実行できるようになる。
3LCD技術
Epsonが採用する液晶プロジェクション方式で、赤・緑・青の3原色それぞれに専用の液晶パネルを使用して映像を生成する技術である。高い色再現性と明るさを実現し、カラーブレイクアップ(色割れ)が発生しにくいという特徴を持つ。
スマートホーム統合
照明、サーモスタット、ドアベル、セキュリティカメラなど複数のIoTデバイスを単一のインターフェースから制御できる機能である。音声コマンドやアプリを通じて、各デバイスを連携させた自動化やシーン設定が可能になる。
【参考リンク】
Epson LifeStudio公式サイト(外部)
Lifestudioプロジェクターの製品情報。Bose共同開発オーディオシステムと3LCD技術搭載モデルの詳細仕様と購入方法を掲載
Google TV CES 2026発表(外部)
GoogleがCES 2026で発表したGoogle TV with Geminiの新機能詳細。会話型AI検索とスマートホーム制御パネル情報を提供
MediaTek MT9630プロジェクターSoC(外部)
MediaTekの4K対応スマートプロジェクター向けSoCプラットフォーム。ストリーミング機能、AI処理能力、省電力設計の技術仕様を掲載
Epson公式サイト(外部)
Epson America, Inc.の公式ウェブサイト。プロジェクター、プリンターなどの製品情報とサステナビリティ目標を掲載
【参考記事】
Epson’s 2026 projectors are getting a Google TV with Gemini upgrade(外部)
Lifestudio Grandモデルが数か月以内にアップデート予定であることと、音声による会話型コンテンツ検索の利点を解説
CES 2026: Google TV with Gemini is coming to Epson’s new projectors(外部)
EpsonがGoogle TV with Gemini統合の先駆者であることを強調。BoseオーディオシステムとMediaTek SoC採用について言及
Epson’s Google TV projectors are getting a big Gemini upgrade(外部)
既存Google TV搭載プロジェクターユーザーもファームウェアアップデートでGemini機能を利用可能になる点を分析
Google introduces new Gemini for Google TV features(外部)
GoogleによるCES 2026公式発表。Gemini for Google TVの新機能詳細と複数デバイスへの展開計画を説明
Gemini has entered the projector chat(外部)
プロジェクター市場におけるAI統合トレンドとEpsonの先行的取り組み。MediaTek SoC技術の普及加速可能性を指摘
【編集部後記】
プロジェクターが単なる映写機から「会話できるスマートホームの中心」へと変わろうとしています。みなさんは、どんな場面でAI搭載プロジェクターを使ってみたいと思いますか?
リビングでの映画鑑賞はもちろん、寝室の天井に映像を投影しながら就寝前のリラックスタイムを過ごしたり、キッチンでレシピ動画を壁に映しながら料理を楽しんだり。AIとの対話によって、これまで思いつかなかった使い方が生まれるかもしれません。
一方で、常時接続されるAIアシスタントとプライバシーのバランスをどう考えるかも重要なテーマです。みなさんの生活空間に、このテクノロジーはどのようにフィットすると思いますか?ぜひご意見をお聞かせください。
































