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Baidu Apollo Go、英国初のロボタクシーが2026年ロンドンで試験運行開始

[更新]2025年12月25日

Baidu Apollo Go、英国初のロボタクシーが2026年ロンドンで試験運行開始 - innovaTopia - (イノベトピア)

中国のウェブ大手Baiduは2025年12月23日、同社の自動運転タクシーサービス「Apollo Go」のパイロット運用を2026年前半にロンドンで実施すると発表した。

この計画にはUberとLyftが協力する。LyftのCEOデビッド・ライシャーはXにて、自動運転車(AV)と有人ドライバーが協働する「ハイブリッドネットワーク」により、ロンドン全体の移動ニーズに応える方針を示した。Baiduは、香港でのテスト経験を踏まえ、右ハンドルの海外市場への展開を見据えるとしている。英国では2024年に自動運転車法が成立し、ロボットタクシーの導入を後押ししている。

一方で、ロボタクシーは数百万回の運行実績があるものの、先週末にサンフランシスコで停電が発生した際、Waymoのロボタクシーが交差点で停止し渋滞を引き起こすなど、問題も報告されている。情報セキュリティ研究者は、攻撃者が自動運転車を混乱させられる可能性を指摘している。

From: 文献リンクUber and Lyft rolling Baidu robotaxis into London next year

【編集部解説】

今回のロンドンでのロボタクシー試験運行は、自動運転技術の社会実装に向けた重要な節目となる可能性があります。2024年に施行された自動運転車法により、英国は世界でも包括的な法的枠組みを整備しました。この法律は安全性を最優先としつつ、技術革新を促進する設計となっています。

注目すべきは、ロンドンが同時に複数の自動運転タクシー企業の実証実験場となることです。Baiduに加えて、Googleの親会社アルファベット傘下のWaymoも2026年にロンドンでサービスを開始する計画を発表しています。Waymoは米国ですでに1億マイル以上の完全自動運転走行を実現し、週25万回以上の有料乗車サービスを提供しています。

Baiduの「Apollo Go」は、現時点で世界22都市で展開され、累計1,700万回以上の乗車実績を誇ります。2025年10月時点で週25万回の完全無人走行を実施しており、これはWaymoと同水準の運用規模です。総走行距離は2億4,000万キロメートルを超え、そのうち1億4,000万キロメートルが完全無人走行によるものであると報じられています。

英国政府は、当初は2027年以降とされていた商用展開に先立ち、2026年春から小規模な商用パイロットプログラムを開始する方針を示しています。この積極的な姿勢の背景には、自動運転車産業が2035年までに420億ポンド(約9兆円)の経済効果と3万8,000人の雇用創出をもたらすという試算があります。

しかし、課題も存在します。先週末サンフランシスコで発生した停電時、Waymoのロボタクシーが交差点で停止したまま動けなくなり、渋滞を引き起こしました。また、情報セキュリティ研究者は、自動運転車が攻撃者によって容易に混乱させられる可能性を指摘しています。

ロンドンという複雑な都市環境での実証は、左側通行市場への展開の試金石となります。Baiduは香港での経験を活かし、オーストラリアや東南アジアなど他の左側通行市場への展開も視野に入れています。

この動きは、都市交通の未来像を大きく変える可能性を秘めています。ロボタクシーが既存の公共交通機関を補完し、移動の自由度を高める一方で、従来のタクシー運転手の雇用への影響や、技術の信頼性確立など、解決すべき課題も少なくありません。2026年は、自動運転技術が真に社会に受け入れられるかどうかを試される重要な年となるでしょう。

【用語解説】

Apollo Go(アポロ・ゴー)
Baiduが開発・運営する自動運転タクシーサービス。中国語名は「蘿蔔快跑(Luobo Kuaipao)」。2019年に湖南省長沙市で45台の車両から始まり、現在は世界22都市で展開。完全無人運転による商用サービスを提供している。

自動運転車法(Automated Vehicles Act 2024)
英国で2024年5月20日に成立した自動運転車の法的枠組みを定める法律。自動運転中の法的責任を運転者から車両の認可事業者に移行させる内容で、世界で最も包括的な自動運転車規制のひとつとされる。2026年から小規模な商用パイロットプログラムが開始予定。

UiC(User-in-Charge)とNUiC(No-User-in-Charge)
自動運転車法で定義される2つの運転モード。UiCは運転席に人が座り、必要時に制御を引き継げる状態。NUiCは車内に制御可能な人が不要で、完全自律走行が可能な状態を指す。

レベル4自動運転
SAE(米国自動車技術者協会)の定義による自動運転レベルのひとつ。特定の条件下で完全自動運転が可能で、人間の介入が不要な段階。緊急時のみシステムが安全に停止する。レベル5は条件なしの完全自動運転を指す。

【参考リンク】

Baidu Apollo(百度阿波羅)(外部)
中国の検索エンジン大手Baiduが開発する自動運転プラットフォーム。Apollo Goロボタクシーサービスや自動運転技術の研究開発を行っている。

Uber Technologies(外部)
米国のライドシェア大手。世界70カ国以上でサービスを展開し、2025年7月にBaiduとの提携を発表。数千台のApollo Go車両をUberプラットフォームに統合する計画。

Lyft(外部)
米国のライドシェア企業。2025年7月にヨーロッパのモビリティプラットフォームFreeNowを1億9,700万ドルで買収し、欧州市場に再参入。

Waymo(外部)
Googleの親会社アルファベット傘下の自動運転車開発企業。米国で週25万回以上の完全無人ライドシェアサービスを提供。2026年にロンドンでサービス開始予定。

英国運輸省(Department for Transport)(外部)
英国政府の運輸政策を所管する省庁。自動運転車法の実施や2026年春からのロボタクシーパイロットプログラムを推進している。

ロンドン交通局(Transport for London)(外部)
ロンドンの公共交通機関を管理運営する組織。地下鉄、バス、タクシーのライセンス発行などを担当し、ロボタクシーの規制当局としても機能する。

【参考記事】

百度与优步、Lyft合作,将自动驾驶汽车带到伦敦(Baidu/百度百家号)(外部)
Apollo Goの総走行距離や完全無人走行の内訳など、運用実績に関する一次情報。

Uber and Lyft to Pilot Baidu Robotaxis in London; UK Trials Set for H1 2026(外部)
UberとLyftがBaiduのApollo Go RT6車両をロンドンで2026年前半に試験運用開始。LyftはFreeNow買収により欧州市場に再参入し、初期50台から数百台への拡大を計画。

Baidu’s Apollo Go robotaxi service sets sights on global expansion(外部)
Baiduの2024年第4四半期業績発表で、Apollo Goが約110万回の乗車を提供し前年比36%増を記録。2025年1月までの累計乗車回数は900万回を突破。

China’s Baidu says weekly robotaxi rides hit 250,000(外部)
2025年10月31日時点でBaiduのApollo Goは週25万回の完全無人走行を達成。累計1,700万回の乗車注文を受け、総走行距離2億4,000万キロメートル。

Automated Vehicles Act 2024 implementation(外部)
英国政府が2025年6月10日に自動運転車法2024の実施計画を発表。2026年春から有料乗客を乗せた完全無人の商用パイロットプログラムを開始予定。

Waymo Eyes London Launch in 2026(外部)
Waymoが2026年にロンドンで自動運転ライドシェアサービスを開始予定。世界の自動運転車市場は2024年の2,070億ドルから2034年には4兆4,500億ドルに成長予測。

Baidu lines up London robotaxi launch via Uber and Lyft partnerships(外部)
BaiduがUberとLyftと提携してロンドンでApollo Goサービスを展開。RT6車両は完全電動でライドシェア専用に設計。現在世界22都市で稼働。

【編集部後記】

ロンドンの街を自動運転タクシーが走る光景が、わずか1年後に現実のものとなります。この動きは単なる技術実証を超えて、都市交通の未来像を具体的に示すものではないでしょうか。

興味深いのは、中国のBaiduと米国のWaymoが同時期にロンドンで競い合う構図です。みなさんは、この技術競争がどのような形で決着すると思われますか。また、もし日本でも同様のサービスが始まるとしたら、どんな期待や懸念をお持ちでしょうか。

自動運転技術は、移動の自由を広げる可能性と同時に、安全性や雇用への影響といった課題も抱えています。ぜひ、みなさんのご意見をお聞かせください。

投稿者アバター
omote
デザイン、ライティング、Web制作を行っています。AI分野と、ワクワクするような進化を遂げるロボティクス分野について関心を持っています。AIについては私自身子を持つ親として、技術や芸術、または精神面におけるAIと人との共存について、読者の皆さんと共に学び、考えていけたらと思っています。

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