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VOLLMONT、ヒューマノイド連携の交通誘導システム発表―警備業界の人手不足解決へ

[更新]2026年1月1日

VOLLMONT、ヒューマノイド連携の交通誘導システム発表―警備業界の人手不足解決へ - innovaTopia - (イノベトピア)

工事現場で「進め」「止まれ」と声を出しながら自立歩行するヒューマノイドロボット。日本の交通誘導警備が、人とロボットの協働という新時代に入ろうとしている。


株式会社VOLLMONTホールディングス(東京都青梅市、代表取締役:望月武治)は2025年12月24日、車両片側交互通行誘導システム「Comune+ model-S 2.0 アドバンス」を発表した。同システムは自立歩行型ヒューマノイドロボット「Comune+ Walker」と連携し、交通誘導警備の自動化を図る。Comune+ Walkerは高さ127cm、重さ約35kg、全身43ヵ所の関節が稼働可能で、誘導動作に応じて「進め」「止まれ」の音声を発する。

同社は2026年度に新会社「VOLLMONT AI誘導テクノロジーズ」を設立し、AI交通誘導システムの開発を加速する。また歩者誘導システム「工事現場包括見守りシステム 25」も開発した。同システムは360度全方位カメラとバルーンの自動伸縮で歩行者誘導を行う。2026年3月3日から6日まで東京ビッグサイト東展示棟で開催される「SECURITY SHOW 2026」の東7ホールSS7006ブースで、これらの製品をデモ展示する。

From: 文献リンクVOLLMONTホールディングス、車両片側交互通行誘導システム「Comune+® model-S 2.0 アドバンス」を発表

【編集部解説】

日本の交通誘導警備業界が直面する深刻な課題を、ロボティクスとAI技術で解決しようとする興味深い取り組みです。帝国データバンクの2024年調査によれば、メンテナンス・警備・検査業の人手不足割合は69.7%に達しており、警備員の平均年齢は55歳以上、約半数が60歳以上という極めて高齢化した業界構造となっています。

VOLLMONTホールディングスが今回発表した「Comune+ model-S 2.0 アドバンス」は、この業界課題に対する実践的な解決策として注目されます。特筆すべきは、単なる自動化システムではなく、ヒューマノイドロボット「Comune+ Walker」との連携によって、人間の交通誘導員に近い動作を実現している点です。高さ127cm、重さ約35kg、全身43ヵ所の関節を持つこのロボットは、システムから「進め」「止まれ」の指示を受けて誘導動作を行います。

技術的な進化のポイントは、同社が独自に定義したAI交通誘導のレベル分けにあります。Level1の「直線」「押しボタン信号に隣接」という最も単純な現場から、Level6の「工事帯体が両交差点に接続」という最高難度まで6段階に分類し、現在はLevel2以上の複雑な現場に対応可能な開発を進めています。これは、首都圏のような交通量が多く複雑な道路環境での実用化を見据えた戦略的なアプローチといえるでしょう。

2026年度に設立予定の新会社「VOLLMONT AI誘導テクノロジーズ」は、開発・実証・運用機能を集約する専門組織として位置づけられます。既存の「VOLLMONTセキュリティサービス」と役割分担することで、警備オペレーターがシステムを現場に運搬し、人間の交通誘導員と協働する体制を構築する計画です。これは完全な省人化ではなく、人間とロボットの協調作業を前提とした現実的なアプローチです。

片側交互通行は一車線で双方向の車両を通行させる作業で、交通誘導警備の中でも最も難易度が高く事故リスクが大きいとされています。炎天下や極寒の中での長時間立ち仕事、夜間勤務の頻度など、労働環境の厳しさが若年層の参入を阻む要因となっています。こうした「3K」的な作業をロボットが担うことで、人間の誘導員はより安全な環境で監視・管理業務に専念できる可能性があります。

一方で、課題も存在します。工事現場は気候、時間帯、地形が常に異なり、予期せぬ状況への対応が求められます。歩行者誘導システム「工事現場包括見守りシステム 25」では360度全方位カメラとバルーンの自動伸縮で対応していますが、自転車利用者や高齢者、子供など多様な通行者への対応には、まだ人間の判断力が不可欠でしょう。

長期的には、インフラの老朽化と耐震化対応で路上工事需要は今後も増加が見込まれる一方、労働力人口は減少が確実です。このギャップを埋めるには、単なる自動化だけでなく、熟練者のノウハウをいかにシステムに落とし込むかが鍵となります。VOLLMONTは2020年の「model-1」から段階的に開発を進めており、この蓄積が実用化の成否を分けることになるでしょう。

【用語解説】

片側交互通行
道路工事等において、一車線に対して双方向からの車両を通行させる方式。交通誘導警備の中でも最も難易度が高く、誘導員・車両とも事故発生の恐れが大きいとされる。熟練した誘導員の技術と判断力が求められる作業である。

交通誘導警備
警備業法第二条第二号に規定されている民間警備会社による警備業務。道路工事や建築工事、高速道路、商業施設での事故防止を行い、車両や歩行者の誘導が主な業務。雑踏警備とともに「二号警備」とも呼ばれる。

ヒューマノイドロボット
人間の姿や動作を模倣した形態を持つロボットの総称。本記事では交通誘導員の動作を再現し、自立歩行や誘導動作を行うロボットを指す。全身に複数の関節を持ち、人間に近い動きを実現する。

生産年齢人口
15歳から64歳までの人口を指し、労働力の中核を担う年齢層。日本では2020年時点で7,406万人だが、2065年には4,529万人まで減少すると予測されており、人手不足問題の根本的な要因となっている。

【参考リンク】

株式会社VOLLMONTホールディングス 公式サイト(外部)
交通誘導警備事業を基盤に、AI・ロボット技術を活用した次世代型誘導システム「Comune+」シリーズを開発する警備会社。

Comune+ 製品紹介ページ(外部)
AI、センサー技術、ロボットを活用した新交通誘導警備システムの詳細情報と開発コンセプトを紹介。

帝国データバンク 人手不足調査(外部)
2024年10月調査では、メンテナンス・警備・検査業の人手不足割合が69.7%に達していることを報告。

【参考記事】

交通誘導警備は人からヒューマノイドへ 次世代誘導システムをVOLLMONTが発表 | ロボスタ(外部)
AI交通誘導システムの難易度Level1~6の定義や2026年度の新会社設立計画について詳述。

【2025年問題】警備業界の人手不足が深刻化!現状と対策、未来の警備のあり方とは?(外部)
警備員の平均年齢が55歳以上で、60代・70代の割合が増加している業界の現状を詳細に分析。

人手不足に対する企業の動向調査(2024年10月)| 帝国データバンク(外部)
正社員不足企業51.7%、メンテナンス・警備・検査業種は69.7%と高水準を記録。

人手不足が深刻化する日本の現状|統計データのわかりやすい解説と企業の対応策(外部)
生産年齢人口が2065年には4,529万人まで減少、高齢化率も38.7%まで上昇する見通しを提示。

VOLLMONTが交通誘導ロボット「Comune+ Walker」を展示 | デジコン(外部)
高さ127cm、重さ35kg、全身43関節を備えたヒューマノイドロボットの仕様を詳述。

【編集部後記】

街を歩いていて、工事現場で誘導灯を振る警備員の姿を目にすることがあると思います。真夏の炎天下、真冬の極寒の中でも、私たちの安全を守るために立ち続けている方々です。もしその役割をロボットが担えるようになったとき、私たちの社会はどう変わるでしょうか。

完全な省人化ではなく、人間とロボットが協働する未来。危険で過酷な作業はロボットに任せ、人間はより高度な判断や管理に集中する。VOLLMONTの取り組みは、そんな「Tech for Human Evolution」の具体例かもしれません。みなさんは、この変化をどう捉えますか。ぜひご意見をお聞かせください。

投稿者アバター
Ami
テクノロジーは、もっと私たちの感性に寄り添えるはず。デザイナーとしての経験を活かし、テクノロジーが「美」と「暮らし」をどう豊かにデザインしていくのか、未来のシナリオを描きます。 2児の母として、家族の時間を豊かにするスマートホーム技術に注目する傍ら、実家の美容室のDXを考えるのが密かな楽しみ。読者の皆さんの毎日が、お気に入りのガジェットやサービスで、もっと心ときめくものになるような情報を届けたいです。もちろんMac派!

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