Last Updated on 2024-07-16 07:13 by admin
Intelはアリゾナ州のチップ工場で製造施設技術者を訓練するための米国初の見習いプログラムを開始した。
このパイロットプログラムは、今後5年間で施設技術者見習いを訓練する。アリゾナ商務局(ACA)、フェニックスビジネスおよび労働力開発委員会、SEMI財団、マリコパコミュニティカレッジ地区(MCCD)、フレッシュスタート女性財団との協力のもとで実施される。
IntelのCEOであるPat Gelsingerは、IDM 2.0戦略に注力しており、これはIntelがチップの設計だけでなく製造も行う「統合デバイスメーカー」を意味する。この戦略に基づき、IntelはCHIPS法と科学法を通じて米国政府から85億ドルの資金を受け取った。この法律は、米国をより競争力のあるものにすることを目的としている。
選ばれた見習いは初日からフルタイムのIntel従業員となり、1年間のプログラムを成功裏に完了すると、証明書と大学の単位を獲得する。施設技術者は、半導体を製造するために使用される複雑な機械の設定、保守、および性能を担当する。
半導体業界は2030年までに約115,000の仕事を追加すると予想されており、これらの新しい仕事の約58%が未充足のリスクにある。
見習い制度は、これらの役割のための個人を訓練する実用的かつ効果的な方法を提供し、個人と組織の両方に利益をもたらす。
Intelの最新工場であるFab 42は、2020年にアリゾナ州チャンドラーのオコティロキャンパスで完全稼働した。1年間の登録見習いプログラムは、教室での指導と実地訓練の組み合わせを含む。参加者は、施設技術者の役割に必要なコアコンピテンシーを学びながらIntelの従業員として雇用される。
Intelは、過去5年間で学術協力に2億5000万ドル以上を投資し、半導体産業の雇用ニーズの増加に対応し、資源が不足しているコミュニティの間で新しいキャリアパスへの関心を喚起することを目指している。さらに、CHIPS法の追加資金を活用して、他の米国サイトへの新しい見習いプログラムの拡大を目指している。
【編集者追記】用語解説
- アプレンティスシッププログラム
これは、職業訓練と教育を組み合わせた実践的な学習プログラムです。日本の「徒弟制度」に似ていますが、より体系的で、教育機関との連携も含まれています。 - IDM 2.0戦略
IDMは「Integrated Device Manufacturer(統合デバイスメーカー)」の略で、半導体の設計から製造までを一貫して行う企業モデルを指します。IDM 2.0は、このモデルを進化させ、外部の製造能力も活用しつつ、自社の製造能力も強化する新しい戦略です。 - アリゾナ州チャンドラー市
アメリカ南西部に位置する都市で、近年ハイテク産業の集積地として注目されています。
【参考リンク】
インテルオフィシャルサイト(外部)
アリゾナ州チャンドラー市オフィシャルサイト(外部)
【関連記事】
【ニュース解説】
Intelがアリゾナ州のチップ工場で製造施設技術者を訓練するための米国初の見習いプログラムを開始したことは、半導体業界における人材不足問題に対する革新的な解決策を提供します。このプログラムは、実践的な訓練と教育を組み合わせることで、技術者としての必要なスキルセットを身につける機会を提供します。
この取り組みは、IntelのIDM 2.0戦略の一環として位置づけられており、チップの設計から製造までを一貫して行うことで、半導体産業における競争力を高めることを目指しています。CHIPS法と科学法を通じて受け取った85億ドルの資金は、このような教育プログラムの実施を可能にし、米国内での半導体製造能力の強化に貢献します。
見習い制度は、半導体業界が直面する技術者不足の問題に対処するための有効な手段です。2030年までに約115,000の新しい仕事が生まれると予想されていますが、その多くが未充足のリスクにあります。特に、技術者の役割に必要な特定のスキルセットを持つ人材は少なく、このギャップを埋めるためには、実践的な訓練が不可欠です。
見習いプログラムを通じて、参加者は実際の工場での作業を経験しながら、半導体製造に必要な技術的スキルを習得します。これにより、半導体業界における人材の質と量の両方を向上させることができます。また、このプログラムは、参加者にとってキャリアアップの機会を提供するだけでなく、半導体産業の持続可能な成長にも寄与します。
さらに、Intelはこの見習いプログラムを他の米国サイトにも拡大する計画を持っており、これによりより多くの人々が半導体製造のキャリアに進むことが可能になります。このような取り組みは、半導体産業の人材不足を解消し、技術革新を促進するための重要なステップです。
このプログラムの成功は、半導体業界だけでなく、技術革新が進む多くの産業にとっても重要な意味を持ちます。高度な技術スキルを持つ労働力の確保は、新しい技術の開発と実装を加速させ、経済全体の競争力を高めるために不可欠です。Intelの見習いプログラムは、このような人材を育成し、将来の技術革新を支えるための基盤を築くことに貢献するでしょう。
from Intel launches apprenticeship for U.S. manufacturing workers.