Last Updated on 2024-10-10 07:30 by admin
中国Huawei、NVIDIAに匹敵する新型AIチップ「Ascend 910C」を開発
中国の通信機器大手Huaweiが新型AIチップ「Ascend 910C」を開発し、テスト段階に入った。2024年8月、米ウォール・ストリート・ジャーナルや英ロイター通信が報じた。
Ascend 910Cは、米NVIDIAのH100チップに匹敵する性能を持つとされる。Huaweiは2024年10月から出荷を開始する計画で、初期注文が7万個以上、総額約20億ドル（約2兆7200億ウォン）に達する見込みだ。
主な顧客候補として、ByteDance、Baidu、China Mobileなどの中国大手IT企業が挙げられている。これらの企業は現在、Ascend 910Cのテストを進めている。
一方、NVIDIAも中国向けに新型チップ「B20」を開発中で、2025年第1四半期から出荷を開始する予定だ。
Huaweiの2024年上半期（1-6月）の売上高は4175億元（約8兆5500億円）で、前年同期比34.3%増となった。
この動きは、米国による対中輸出規制の強化を背景としている。2022年10月と2023年10月に米商務省が発表した規制により、NVIDIAの最先端AIチップの中国への輸出が制限されている。
from:ファーウェイが新AI半導体テスト中 NVIDIA代替狙う 「昇騰（Ascend）910C」準備中 – JBpress
【編集部解説】
Huaweiの新型AIチップ「Ascend 910C」の開発は、米中ハイテク競争の新たな局面を象徴する出来事といえるでしょう。この動きは、単なる技術革新にとどまらず、グローバルなAI産業の勢力図を塗り替える可能性を秘めています。
まず、Ascend 910CがNVIDIAのH100と同等の性能を持つという主張については、慎重に受け止める必要があります。現時点では具体的なベンチマーク結果が公開されていないため、この主張の妥当性を客観的に評価することは困難です。しかし、仮にこの主張が真実だとすれば、中国のAI産業にとって大きな転換点となる可能性があります。
Huaweiがこのチップの開発に成功した背景には、米国の輸出規制という外的要因が大きく影響しています。これは、技術開発における「必要は発明の母」という格言を体現するものといえるでしょう。米国の規制が、皮肉にも中国の技術自立を加速させる結果となっているのです。
一方で、Ascend 910Cの生産面での課題も看過できません。米国の制裁により、先進的な半導体製造装置へのアクセスが制限されているため、大量生産体制の確立には困難が予想されます。この点は、Huaweiの今後の戦略に大きな影響を与える可能性があります。
AIチップ市場における競争激化は、技術革新のペースを加速させる可能性があります。これは、AI技術の発展と普及を促進し、様々な産業分野に波及効果をもたらすかもしれません。例えば、自然言語処理や画像認識の精度向上、より効率的な大規模言語モデルの訓練など、AIの応用範囲が広がることが期待されます。
しかし、同時に懸念すべき点もあります。高性能AIチップの普及は、AIの悪用リスクも高める可能性があります。例えば、より精巧なディープフェイクの作成や、大規模な個人情報の解析など、プライバシーや情報セキュリティに関する新たな課題が浮上する可能性があります。
また、米中のテクノロジー競争が激化することで、グローバルなサプライチェーンの分断が進む可能性も考えられます。これは、技術標準の分断や、国際的な研究協力の障壁となる恐れがあります。
長期的な視点では、この動きが半導体産業全体にどのような影響を与えるかも注目すべきポイントです。中国が独自の高性能チップ開発に成功すれば、グローバルな半導体市場の勢力図が大きく変わる可能性があります。
結論として、Ascend 910Cの開発は、単なる技術競争を超えて、国際政治や経済、さらには社会のあり方にまで影響を及ぼす可能性のある重要な出来事だといえるでしょう。今後の展開を注視していく必要があります。